第3クォーターまで、作新学院のチームディフェンスが浜松開誠館を抑える展開に [写真]=須田康暉
第3クォーターで作新学院が一気にスパート
鍛えてきた1対1を披露する作新学院の知久怜奈 [写真]=須田康暉
12月23日、「SoftBank
ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」女子の1回戦が行われ、新たに会場に加えられたエスフォルタアリーナ八王子(東京都八王子)では、
浜松開誠館高校(静岡県)と
作新学院高校(栃木県)という実力校同士の対戦。この試合、前半から一進一退の展開を繰り広げる大熱戦となった。
32-28と作新学院リードで折り返した後半の出だし、リードを一気に広げたのは作新学院だった。浜松開誠館のプレッシャーの強いディフェンスに対して、大越早姫がゴール下で粘りのシュートを決めきり、浜松開誠館にペースを与えない。さらに的を絞ったチームディフェンスとスピードに乗ったドライブで作新学院がこのまま引き離すかに思われた。
しかし、浜松開誠館は粘り強くゾーンディフェンスやトラップディフェンスを繰り出して作新学院の攻撃を止めることに成功すると、黒川菜津奈の3ポイント、さらに主軸の松岡木乃美、山本涼菜がドライブやジャンプシュートと連続得点で点差を縮めていく。すると第4クォーター残り5分37秒に松岡のシュートで逆転すると、その後は作新学院に逆転を許さず77-64で振り切った。
「負けたけど、悔いはありません」と作新学院の渡邊コーチは選手を称賛
作新学院の渡邊コーチは「特別な場所だけど気持ちはいつも通り。やってきたことをやろう」と選手を送り出した [写真]=須田康暉
ベンチでは最後まで笑顔で選手たちに檄を飛ばしていた作新学院の渡邊明美コーチは、「惜しいというか出来すぎ。この試合に焦点を当てて練習をしてきました。相手のディフェンスにひるまないこと、そして個々の能力を上げること。チームディフェンスの連携もしっかり取れて。それが結果的に表れたのだと思います」と、試合を振り返った。試合前、渡邉コーチは「特別な場所だけど気持ちはいつも通り。やってきたことをやろう」と選手たちを送り出したという。その言葉通り、練習で培ったもので浜松開誠館を追い詰めたのだった。
「やれることを出し切りました。負けたけど悔いはありません」と、渡邊コーチは最後も笑顔を見せてくれた。
一方の浜松開誠館の三島正敏コーチは「大会の初戦、入りの怖さを改めて感じました」と、ホッとした表情を見せた。「エースでスタート唯一の3年生の松岡が気負っていました。しかもファウルトラブルで松岡をベンチに下げた時、コートには下級生しかいなくなり、それもダメダメで。後半の出だしもゾーンディフェンスが一発目で効いて、反対に安心してしまい、オフェンスでは指示通りにできずパニックに陥っていました」と試合を振り返った。
それでも「ディフェンスをチェンジングさせて10点前後でしのいでいれば、チャンスが来ると思っていました」と、三島コーチは最後まで選手たちを信頼続けた。結果逆転勝ちを収めたが「ベンチのマネージメントの部分でもとても勉強になる試合でした」と本音を漏らした。
三島コーチは2回戦に向けて、「うちは自分たちがやれることをやるだけ。インサイドの守り方など、試合の中でどれだけ修正できるか。アジャスト力が大切」とコメント。明日は名古屋女子大学高校(愛知県)を破った昭和学院高校(千葉県)と対戦する。
取材・文=入江美紀雄