2019.12.28

2年連続でメダル獲得。大阪薫英女学院の安藤コーチが3年生に贈った“メッセージ”

今年はキャプテンを志願して1年間チームを引っ張った大阪薫英女学院の森岡[写真]=大澤智子
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競った試合を勝ち上がり3位に

「本当に手も足も出なかった。相手が強かったです。圧倒的に力の差があるなと感じました」

SoftBank ウインターカップ2019 令和元年度 第72回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準決勝。試合後、大阪薫英女学院高校(大阪府)の安藤香織コーチは、こうコメントした。

 2年連続の決勝進出を目指した大阪薫英女学院は、準決勝でインターハイ覇者の桜花学園高校(愛知県)と対戦。しかし、試合は出だしから桜花学園ペースとなる。インサイドを起点に得点を重ねる桜花学園に対し、大阪薫英女学院は森岡奈菜未福田希望(ともに3年)らがシュートをねじ込んだものの、前半を終えて25―43と大きなビハインドを負った。

「ディフェンスも対策としていくつか用意していましたが、どれも『少しでも崩れればいいな』というもの。点を取られても取り返しながらファウルを得るなど、相手のメンタルバランスにほころびができたらワンチャンスあるかなと思っていましたが、そういった意味でも桜花さんは隙がなかったです」と安藤コーチ。

 後半も桜花学園を揺さぶることができず。終わってみれば61―95で敗れた。

 桜花学園と岐阜女子高校(岐阜県)が頭一つ抜けていると言われていた今大会、大阪薫英女学院はその“2強”の対抗馬として名前が挙がっていた。だが試合後、「高い評価をいただいていましたが、うちはそんなチームではない。(準決勝で)撃沈したことで自分たちの現在地が分かったと思います」と安藤コーチは冷静に語る。

 とはいえ、大会では準々決勝の聖カタリナ学園高校戦(愛媛県)など苦しい試合を制して勝ち上がってきた。試合巧者ぶりを発揮して2年連続でメインコートに立ったことについて、「昨年の3年生たちが残してくれたものなのかなと思います。カタリナの試合は本当によくやったと思いますが、勝った時に選手たちは喜んでいなかったですから」と指揮官は言う。

 準決勝進出は通過点。優勝を目標としているからこそ、準々決勝の勝利にも笑顔はなかったのだろう。それは昨年大会で準優勝を経験し、高い目標の中、1年間を取り組んだからだともいえる。

それぞれの持ち味を発揮した福田(左)と塩谷(右)[写真]=大澤智子

昨年からスターターを務めていた3年生3人

「3年生もここにきてしっかりしてきました」
 
 指揮を執る安藤コーチは、大会を終え、昨年から主力である森岡、福田、塩谷心海ら3年生たちの労をねぎらった。

「日本一のチームを倒すというのが目標だったので、薫英でチャレンジしようと思って入りました」と東京の中学から大阪の伝統校へと門を叩いた理由を語ったのは、体を張ったプレーを見せる3年生の塩谷。彼女も大阪薫英女学院に入って着実に成長を遂げた選手の一人で、「入学時は、自分の意見を言えなかったけれど、ちゃんと考えて、言葉を発するようになった。本当に見違えるくらいレベルは上がったと思っています」と安藤コーチは言う。

 また、「森岡にしても高校でバスケットを続けるか悩んでいたような選手がアンダーカテゴリーの日本代表にも選ばれるようになった。福田は(出身の)京都では府大会での優勝はない。そういった選手たちがこの3年間で(トップレベルへ)駆け上がったのではないかと思います」(安藤コーチ)と3年生の成長に目を細めた。

3年生の成長と今後の期待を語った安藤コーチ[写真]=大澤智子

 チームを2年連続のメインコートへと導いた3年生たち。だが、彼女たちのバスケット人生は続いていく。だからこそ、安藤コーチは最後にこのような言葉を贈った。

「3人ともこの先バスケットを続けていこうと思ったら、もっと技術を磨いてメンタルを鍛えないと桜花や岐阜女子の選手たちとは到底戦っていけない。(大差で)恥ずかしい結果だったかもしれないですが、恥じることはないと彼女たちには伝えました。自分たちはそれぐらいの力なんだと自覚した上で気持ちよく敗れた方が、これからの彼女たちにの糧になると思います」

文=田島早苗

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