2020.09.28

女子の正智深谷がウインターカップ初出場、埼玉予選を勝ち抜き悲願達成

悲願を達成した正智深谷 [写真]=小沼克年
フリーライター

昨年優勝の埼玉栄は苦しみながらも決勝へ

 9月27日、越谷市立総合体育館にて「令和2年度 全国高等学校バスケットボール選手権大会 埼玉県予選会」の男女準決勝、決勝戦が無観客で開催。女子は埼玉栄高校、久喜高校、正智深谷高校、昌平高校がベスト4まで勝ち進み、優勝チームのみに与えられるウインターカップ出場枠を争った。

 正智深谷vs昌平の準決勝は、第2クォーターで23−7と差をつけた正智深谷が81−58で快勝。もう一方の埼玉栄vs久喜は、最後まで勝敗の行方がわからない大接戦となった。

 試合前は2年連続の優勝とウインターカップ出場を目指す埼玉栄が有利に思えたが、立ち上がりから主導権を握ったのは久喜。チームコンセプトの『PLAY SMILE、PLAY HARD』を体現するかのように、全員がミスを恐れずに積極的にシュートを放ち、強みである3ポイントやスピードに乗ったプレーで第1クォーターを17−30とした。

 埼玉栄も第2クォーター以降はディフェンスを修正して徐々に点差を詰めていったが、試合終盤まで追いかける展開が続く。それでも、2点差に迫った第4クォーター残り2分30秒、野尻愛架(3年)の3ポイントシュートが決まってこの試合初めて前に出ると、そのまま相手を押し切り逆転で決勝進出を果たした。

 最終スコアは82−75。惜しくも敗れた久喜・早川拓コーチは「逃げたわけではないですけど、楽なシュートを打ちにいってしまった。力強くいけなかったですね」と勝負どころの場面を振り返り、「選手たちはよく頑張ってくれました。ただ、勝たせてあげたかったですね……」と悔しさを隠しきれなかった。

 最後の最後で力尽きた選手たち。試合終了のブザーが鳴った瞬間、まるでそれが合図だったかのように顔が涙でくしゃくしゃになった。チームメートが見守った2階応援席では、健闘を称える「お疲れ様」という声と拍手が、しばらく止まなかった。

久喜は決勝進出へ1歩力及ばず姿を消した [写真]=小沼克年

後半に流れを掴んだ正智深谷が初優勝

 迎えた埼玉栄と正智深谷による決勝戦。前半はともに動きが重くロースコアで折り返したが、後半に試合が動いた。正智深谷はキャプテン・網野碧波(3年)の3ポイントなどで第3クォーターに23得点を記録。ディフェンスも機能し始め、最終クォーターを前に10点リードを作ることに成功した。これで流れを掴むと、最後の10分間は網野のアシストに周りの選手たちが合わせ、コート上の5人が伸び伸びとプレー。相手に反撃の糸口すら与えず、終わってみれば82−58と大差をつけて初優勝を飾った。

 全国常連校でもある男子とは異なり、正智深谷の女子バスケ部は県内の大会やインターハイ予選を含めても初となる埼玉県1位を勝ち取った。ウインターカップ出場を決めたのも今回が初だ。この結果には「とにかく3年生の頑張りが素晴らしかったです。感動させてもらえました。その一言に尽きます」と、指揮を執る飯野英利コーチも試合後は興奮を抑えきれない様子であった。

 インターハイ予選も中止となり、「最後のワンチャンス」(飯野コーチ)を自分たちの手で掴み取った。12月開催予定のウインターカップでは、“全員バスケ”でまずは初戦突破を目指す。

チームに流れを呼び込んだ網野碧波 [写真]=小沼克年

写真・文=小沼克年

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