Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
「今年は自分が点を取る」
前橋育英高校の久岡賢太郎(3年)は、その意気込み通りエースとしての役目を果たした。
桐光学園高校(神奈川県)と全勝をかけて臨んだ「令和3年度 関東高等学校男子バスケットボール大会 第75回関東高等学校男子バスケットボール選手権大会」の準決勝、久岡は両チーム最多となる37得点。とくに拮抗したまま迎えた後半、もう一段ギアを上げたかのようにリングへ向かい続けた姿は目を見張るものがあった。
一瞬でトップスピードになり相手を置き去りにするドライブもあれば、ディフェンスの間をスルリと抜ける駆け引きの上手さもある。そこから放たれるレイアップシュートや打点の高いプルアップシュートは次々とリングに吸い込まれた。加賀谷寿コーチによれば群馬県予選で41得点を奪ったそうだ。
兄はBリーグでプレー(幸太郎/アースフレンズ東京Z)し、その上の姉、真歩子(アランマーレ秋田)もバスケを続けている3人兄弟の末っ子。そんなこともあってか、コートの外に出た久岡はどこかのほほんとしている印象を受けた。
聞けば「自分は(気が)抜けてしまうときがある」と自覚があるようで、加賀谷コーチも久岡の課題を把握した上でさらなる成長を期待している。
「オフェンスは抜群なのですが、厳しいことを言うのであればもう少しディフェンスを頑張ってほしい。あとはメンタル面でも少し波があるので、そこを直せばもっとすごい選手になると思っています」
今年はキャプテンにも就き、「みんなへの声かけを大事にしていて、チームの雰囲気が悪くなったときも自分が鼓舞し続けたい」と、新たな意識も芽生えた。試合中は仲間の腰に手を当てて声をかける様子も見られ、精神的にもチームを支えなければならない。
とはいえ、チームが最も久岡に求めるもの、対戦相手の驚異になることはその突出したオフェンス力だ。関東大会でインパクトを残した大エースは、群馬県のウインターカップ出場枠を「2」にする立役者となった。そして、これから迎える夏、そして冬に向けて意欲を示した。
「大事な場面でも点を決められるように、これからも頑張っていきたいです」
写真・文=小沼克年