2021.07.15

インターハイ男子注目校(2)前橋育英(群馬)「球際の強さとエースの爆発力で悲願達成を狙う」

前橋育英を引っ張るキャプテンの久岡[写真]=小沼克年
フリーライター

 7月25日から30日にかけて新潟県で行われる「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。2年ぶりとなった夏の祭典に向け、バスケットボールキングでは大会で見るべき注目のチームをピックアップした。

■男子注目チーム(2)前橋育英(群馬県)

 熊谷航信州ブレイブウォリアーズ)や船生誠也広島ドラゴンフライズ)など、Bリーグで活躍する選手を輩出している前橋育英高校(群馬県)。同校は今年開催された関東大会を3戦全勝で終えると、その後行われたインターハイ県予選では全5試合で平均114.4得点をマークし、危なげなく2年ぶりの夏の全国切符を獲得した。

「昨年のウインターカップから出ているメンバーが多い」と加賀谷寿コーチが言うように、今年のチームは昨年から先発を務めている久岡賢太郎野村康太を筆頭に齋藤優大、佐藤永遠ら3年生主体のチーム。中でも注目なのが背番号4を付ける久岡だ。

 指揮官が「オフェンスは抜群」と舌を巻くほどの得点力があるキャプテン兼エースは、身体能力も高くスピードを生かしたドライブ、アウトサイドシュートなど多彩なフィニッシュスキルで得点を積み上げる。関東大会の最終戦では37得点を叩き出し、近年負け続けていた桐光学園高校(神奈川県)を破る立役者となった。

 チームとしては「全員が外からのシュートを決められる」(久岡)ことが一つの強みではあるが、長身選手は南征宏(3年)の191センチと、全国的にはサイズで劣る点は否めない。ただ、「うちのチームはいつも小さい」と加賀谷コーチは特に心配しておらず、球際の強さで相手を上回るつもりだ。

「(球際の強さは)チームの永遠のテーマというか、常にその部分では負けてはいけない、上で負けても下では負けるなと伝えています。でも今年のチームは私が言わなくてもやれているので、選手たちの意識が高いと感じています」(加賀谷コーチ)

高崎だるまが名産の群馬県。悲願の日本一で右目を入れたいところだ[写真]=小沼克年

 前橋育英のベンチには、チームカラーの黒いだるまが置かれている。だが、選手たちを見守るそれには、まだ右目が塗られていない。「あれは日本一になったら塗ろうと思っているんですよ。毎年塗らないままなんですけど……」と、加賀谷コーチはやや恥ずかしそうに理由を明かした。

「やっぱり県で勝った、関東で勝ったではダメだと思いますので、なかなか難しいですが、日本一を目標にしています」と加賀谷コーチ。

 悲願達成へは全員でリバウンドとルーズボールに飛びつき、ここぞという場面でのエースの覚醒が必要だろう。前橋育英の初陣は7月26日、まずはこの一戦で勢いを付けたい。

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