2021.12.27

昭和学院の3年生たちが最後に立った冬のメインコート

昭和学院の田嶋優希奈はチーム最多の23得点をマーク [写真提供]=日本バスケットボール協会
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 12月27日、「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」の女子準決勝、3年ぶりにメインコートに立った昭和学院は、桜花学園の前に序盤からビハインドを負い、72-110で敗れた。

 3位となった今大会、昭和学院は1回戦の高知中央高校(高知県)で残り2秒での逆転勝ちから始まり、準決勝まで接戦続き。それでも、前回大会はメインコート目前のベスト8で敗退したが、今回は準々決勝でインターハイ・ベスト4の岐阜女子高校(岐阜県)に勝利し、苦しみながらもメインコートへと辿り着いた。

 しかし、「相手の方が試合の流れというか、連続得点や相手の弱いところを見つけてそこを突いてきていました。そこでの違いがあったと思います」(花島百香/3年)というように、桜花学園には一矢報いることができず。目標としていた優勝には届かなかった。

 今年の昭和学院は、花島をはじめ、田嶋優希奈、西ファトゥマ七南ら、中学時代にジュニアオールスターの千葉県代表として全国優勝した選手たちが3年生に多い。それも、その大会では圧倒しての優勝だっただけに、主力が多く進んだ昭和学院には期待も大きかった。

 その期待通り、花島、田嶋は1年生から主軸を担い、他の選手も徐々に力を発揮してポジションを獲得していった。だが、ここまでは夏のインターハイと冬のウインターカップを通じて優勝はおろか、ベスト4に進出することもできなかった。特に3年生となって迎えた今夏は、関東大会でも好成績を残し、前評判も高かったのだが、3回戦で大阪薫英女学院高校(大阪)に敗退。ベスト16に留まった。

 この敗戦後、3年生たちは「チームが一つにならないとトーナメント戦は勝っていけないので、ミーティングを重ねました」(田嶋)という。花島も「個人的にもインターハイで思うプレーができず、そこから模索しながらやってきました。すごくつらかったのですが、ウインターカップに入ってから少しずつ、自分のプレーを取り戻せたかなと思います」と夏以降の取り組みを振り返る。

 ケガから復帰した西は「周りへの声掛けを意識した」と、キャプテンとしてチームを引っ張るなど、選手個々が『このままではいけない』と危機感を持って4か月を過ごした。

 そんな選手たちを鈴木親光コーチは、「夏までは人任せのところが多かったのですが、田嶋や石橋(花穂/3年)が一生懸命チームに潤滑油を与えてくれて。少しずつ選手たちが独り立ちしていく姿が見られるようになったのが冬でした。まだ甘えはたくさんあるのですが、精神的な面で大人になったのかなと思います」と評する。

 高校3年間について「苦しいことの方が多かった」と、田嶋は本音を漏らしたが、努力の末に3位となった大会に、「最後のウインターカップではチームの雰囲気も良く、ウインターカップの期間がとても楽しかったです」と語った。

中学時代から活躍が期待された昭和学院の3年生。最後の大会でメインコートに立てた [写真提供]=日本バスケットボール協会


「自分から何かを発信したり指示するようなタイプではなかったのですが、3年生になって自分がやらないといけないという自覚を持ち、リーダシップ面で成長できたかなと思います。あとはここ一番でシュートを決めないといけない時に責任を持っていくようになりました」と自身の成長を振り返った田嶋。他の選手たちも同様にこの3年間で成長の跡を残した。

 酸いも甘いも経験した3年生たちは、実りの多い3年間を経て、それぞれのステージへと向かう。

文=田島早苗

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