2021.12.26

中部大第一を下した福大大濠…エース湧川颯斗は3年生に支えられ4Qで15得点

福大大濠の湧川颯斗(左)は岩下ととも両チーム最多の22得点の活躍 [写真提供]=日本バスケットボール協会
フリーライター

 インターハイ王者の中部大学第一高校(愛知県)と同大会3位の福岡大学附属大濠高校(福岡県)による注目の一戦は、65−57で福大大濠に軍配が上がった。

「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」3回戦で組まれたこのカードは、第3クォーター中盤で46−39と中部大第一がリード。しかし同クォーター終盤、福大大濠は「いつ仕掛けようかなと昨日からずっと考えていました」(片峯聡太コーチ)と、初戦の開志国際高校(新潟県)戦でも相手の脅威となったゾーンプレスを発動。これで流れを戻すことに成功した福大大濠は、最後の10分間で21−11と差をつけ、勝負を決めた。

 福大大濠は前半から岩下准平(3年)がオフェンスをけん引。岩下は第3クォーターまでに24得点の活躍を見せていたが、他の選手たちの得点が伸び悩み、なかなか主導権を握れずにいた。しかし、勝負の時間帯に輝きを放ったのは2年生エースの湧川颯斗だった。

「タップを狙おうとしたら留学生が前に出てきたので、とっさに回転しようと思って打ったら入りました」

 第4クォーター序盤、岩下からのパスを受けた湧川は、空中で相手と接触した際にそこから1回転してゴール下のシュートをねじ込むというビッグプレーで会場をどよめかせた。直後にはパスカットから自らリングへ突進して同点のレイアップを沈めると、チームはそこから連続8得点を奪って一気に点差を8点に広げた。

「前半は准平さんに頼ってしまった部分があったので、後半は自分がチームを引っ張ろうと思って、その思いがゾーンプレスでも出たかなと思います」と振り返った湧川は、第4クォーターだけで15得点、守備でも193センチのサイズと運動量を生かして3スティールを奪ってみせた。

実はこの日、湧川は前半で3つのファウルを犯してしまい、ファウルトラブルに苦しんでいる。それをコート内外で支えたのは針間大知、泉登翔、森岡裕貴らの3年生たちであり、「3年生が声をかけてくれたので、後半はしっかり自分のプレーが出せました」と湧川は感謝を述べる。片峰コーチも「湧川が最後、自分の持ち味を出してくれました」とコメントしながらも、ベンチスタートの森岡を話に挙げ「やっぱり6番の森岡が私の中で安心材料。ルーズボールやリバウンド、オフェンスもミスせずやってくれました」と称えた。

湧川の活躍に福大大濠ベンチも盛り上がる [写真提供]=日本バスケットボール協会


「インターハイ王者を倒したことは自信になりますし、明日は初めてのメインコートなのでしっかり自分のプレーを出していきたいです」

 最後の勝負どころで役目を果たした2年生エースは明日、自身として初めて冬のメインコートに立つ。

文=小沼克年

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