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仙台大学附属明成高校(宮城県)と対戦した「SoftBank ウインターカップ2021 令和3年度 第74回全国高等学校バスケットボール選手権大会」男子準決勝、福岡大学付属大濠高校(福岡県)は第2クォーターで背負った16点ビハインドをひっくり返し、12月29日の決勝戦へと駒を進めた。
勝利の立役者となったのは、福大大濠のエースガードを担う岩下准平(3年)だ。追いかける展開の中、第1クォーターから9得点を挙げて攻撃をけん引していた背番号13は、23−39の第2クォーター残り4分20秒に山﨑一渉(3年)との1on1から3ポイントシュートをヒット。次の攻撃でも自らのボールプッシュから迷わず3ポイントを射抜いて点差を「10」とした。
このプレーで息を吹き返した福大大濠。相手の攻撃を川島悠翔(1年)、泉登翔(3年)のブロックショットで防ぐと、再び岩下が2本の3ポイント、湧川颯斗(2年)や泉らの得点も生まれ、前半終了時点で43−43の同点に追いつく。岩下は後半に入っても鬼気迫るプレーでコート上の主役となり、第3クォーターでは3本、2点リードで迎えた試合終了残り3分4秒にも3ポイントを沈めた。
「彼がしっかり3ポイントを打つことで、湧川や川島には(自分たちは)中に突っ込んでいかなきゃいけないという意図が伝わりました。シュートがよく入ったというのもありますけど、そういった意味では岩下がしっかりとチームが勝つためのこと、チームがうまく循環するためのプレーに徹してくれました」と、片峯聡太コーチはこの日の岩下のプレーを評価。岩下は9本の3ポイントを含む38得点に加え15リバウンドをマークし、湧川も1人で29本もの2ポイントシュートを放って計24得点。ルーキーの川島もフル出場で体を張り続け、10得点9リバウンド5ブロックを挙げた。
最終スコア81−73。自分が中心となり仙台大明成を退けた岩下だが、試合を終えた直後は冷静であった。「先生からは今日は我慢比べ、第4クォーターのブザーが鳴ったときに1点差で勝っていればいいと言われていたので、16点開いても焦らずに、チーム一丸となって冷静に戦えました」。
それでも、試合中の表情やプレーからも汲み取れるように、コートでは「絶対に負けたくないという気持ちでプレーしていました」と岩下は言う。「自分のいいところはパスだけじゃなくて得点もできることだと思っているので、しっかり点数を取りにいこうと思っていました」と振り返った。
夏の王者を倒し、前回大会覇者も倒した福大大濠は明日、帝京長岡高校(新潟県)との最終決戦に挑む。勝てば1993年以来となる悲願達成。決勝戦もゲームキャプテンとしてコートに立つ岩下は、「大濠のいいところは、自分だけじゃなくて全員がリングに向かってドライブできることだと思っているので、明日もディフェンスからブレイクという自分たちのバスケットをして勝ちたいです」と青写真を描いている。
文=小沼克年