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『B MY HERO!』
「やれることはやったという試合ではなかったですけど、すべての面で相手が上手でした。こちらの実力が足りなかったということがハッキリと結果に出たのかなと思っています」
福岡第一高校(福岡県)との「令和4年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」準々決勝に敗れ、洛南高校(京都府)のインターハイはベスト8で幕を閉じた。
58-84と大差をつけられ、河合祥樹アシスタントコーチは冒頭の言葉で試合を総括。洛南はこの試合、「京都府内では経験できなかった」(河合AC)という留学生の高さに加え、福岡第一が誇る堅い守備に苦しめられ一度もリードを奪うことができなかった。
なかでも執拗なマークを受けたのは星川開聖(3年)だ。洛南のエースは試合開始からフェイスガード気味に守られ、ペイントエリアに切り込めば2人、3人と相手が寄ってきた。
主にマッチアップしていたのは、193センチの星川よりも身長でやや劣る相手。実際の身長よりも大きく見えるほどのがっちりとした体格を持ち、豪快さと柔らかなシュートタッチを兼ね備える星川であれば、それを掻いくぐっても得点を挙げられると思っていた。けれど、福岡第一の選手たちの守備力は予想以上に厄介だったようだ。
「高さとフィジカルでは勝っていましたけど、外でボールをもらったときは足元まで入ってきて、ずっと手を出してきました。あそこまで詰めてくるディフェンスをされたのは今まであまり経験がなかったので、結構やりにくかったです。あと、先生からは『チームで戦え』とも言われていたので、ちょっと周りを探しすぎてしまいました」
コートに立ち続ければ1人で2、30点をマークすることは決して珍しくない。今大会でも初戦の県立一関工業高校(岩手県)戦で32得点、3回戦の白樺学園高校(北海道)戦でも28得点を挙げてチームを勝利へ導いてきた。けれど、福岡第一との試合はフル出場ながらも得点は「10」。星川によれば、ここまで得点を奪えなかったのは「だいぶ久しぶり」だったようで、「今年に入ってからは初めてかもしれません」と振り返った。
「徹底的にマークに遭うのはわかっていました。全国ベスト8に入って、ここからベスト4、優勝を目指していくなかでは当たり前だと思っています」とは河合AC。今年のエースについてそう述べたが、「そうなったときにどういう打開の仕方ができたかを、僕としても彼に伝えきれていませんでした」と明かす。
それでも、「そこはこれから一緒に突き詰めていきたいです」と続け、河合ACは今後を見据えた。「チームとしても星川に頼るのではなく、全員で打開して彼を助けながら生かすというような方法を冬までには考えていかなければいけないと思っています」
「今年は開聖がチームのエースなんですけど、どうしても困ったときは頼ってしまいます。でも、それでは冬は戦っていけないですし、全員で攻めるのが洛南のバスケットです。全部あいつに頼るのではなく、自分たちももっと積極性を出して開聖を楽にさせてあげるのがチームとしての課題です」
洛南高校のインターハイは志半ばで敗退となった。だが、高校バスケにはウインターカップという冬の全国大会があり、この経験を大いに生かし挽回できるチャンスがある。
「今日はダブルチームをされて1on1があまりできない状態でしたけど、そうなっても自分でこじ開けられるようになりたいですし、冷静にパスをさばけるスキルも身に付けたいです」と課題を持ち帰った星川は、最後はスッキリとした様子でインターハイを後にした。
「優勝したかったですけどそんなに落ち込んではないです。やっぱりウインターカップが本番やと思ってるので、冬は『このインターハイが良い経験だった』と言えるようにこれから頑張りたいです」
取材・文=小沼克年