2024.08.10

IH3連覇も「通過点」…京都精華をリードする林咲良、橋本芽依、桃井優がさらなる成長を誓う

京都精華をリードする(左から)橋本、林、桃井 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部

 8月2日から9日にかけて、福岡市の照葉積水ハウスアリーナ(福岡市総合体育館)を中心に開催された「令和6年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会(インターハイ)」。女子の部は、京都精華学園高校(京都府)の3連覇で幕を閉じた。

 女子のインターハイ3連覇は平成以降に達成したのは桜花学園のみ。それ以前には浦和第一女子高校(埼玉県)と名古屋女子商業高校(現名古屋経済大学市邨高校(愛知県)が達成しているのみで、京都精華は史上4校目の偉業を達成したことになる。

 2連覇にはイゾジェ ウチェ、堀内桜花(ともにシャンソン化粧品シャンソンVマジック)、八木悠香(ENEOSサンフラワーズ)、ディマロ ジェシカ ワリエビモ エレ(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)といった当時の高校バスケ界を沸かしたスーパースターたちが貢献。しかし、彼女たちが卒業した後、その伝統を引き継いだのが林咲良橋本芽依桃井優の3年生たちだ。3人は錚々たる先輩たちに混じり主力として連覇を経験した。

「素晴らしい先輩たちにかけがいのない経験をさせてもらいました。3連覇へのプレッシャーは特にないです。自分たちは1試合1試合、次を見ないで今日の試合に勝つのみです」

 大会中にキャプテンの林はこの言葉を繰り返した。それでも優勝した瞬間の喜び方を見れば、少なからず3連覇の重圧がかかっていたことがわかる。3人はコートで喜びを爆発させた。

優勝の瞬間、喜びを爆発させる3人 [写真]=佐々木啓次


 どんなに追い詰められた状況でもチームは崩れなかった。苦しいときにコートで確認したのは山本綱義コーチの言葉。「まずはディフェンスを徹底。そして3ポイントシュートよりも2ポイントを取りにいこう」。終盤までもつれた3回戦の桜花学園、準決勝の昭和学院高校(千葉県)、決勝の岐阜女子高校(岐阜県)の戦いの中で徹底していった。コート上でも常にコミュニケーションを図り、その輪の中心にいたのが、林であり、橋本と桃井もチームを支えた。

 決勝戦で10得点をマークした桃井優は「上手くいかない時間帯もあったのですが、タイムアウトのときなど、ベンチに入れず後ろから応援してくれるメンバーとも声かけてくれたりして、みんなで集まっているときもしっかり話していたし、コミュニケーションしっかり取っていました。なので、雰囲気はすごくよく試合ができていたし、その結果が諦めなかったりとか、今回勝ったのにつながったと思います」と、決勝戦を振り返った。

 今大会、なかなか調子が上がらなかった橋本は決勝戦で2本の3ポイントシュートを決めて意地を見せた。「結果的に優勝できて心の底からうれしいのですけど、今大会通して全体的に調子が悪い部分が多くてみんなに助けてもらいながら、最後の試合は自分も皆の励ましが合ってプレーできたなと思います」と、橋本はチームメートに感謝の言葉を述べた。

 そして3人がそれぞれ口にするのが「この優勝は通過点」ということ。

「自分たちには課題がありますし、ダメなところが決勝に出たので、そこをみんなで修正してチーム一丸となってまた優勝を目指して頑張りたいと思います」(桃井)

「また日清U18トップリーグからチーム全体でさらに強くなるように一戦一戦の試合を大事にして。ウインターカップでは(京都府)予選からしっかり勝ち進んでいかないといけないと思うので、ウインターカップを確実に出れるとかではなくて、目の前の試合を大事にするように頑張っていきたいと思います」(橋本)

「課題がたくさんできた試合の中で勝ちきれたのは自信になったと思います。今年はスタートだけではなく、全員でプレーしなければ勝てないので、その中で勝てたことはうれしいです」(林)

 夏を制した今、秋には日清U18トップリーグ、そして冬にはウインターカップが待っている。3人はさらなる成長を誓った。

文=入江美紀雄