フランスへの初勝利で手応えをつかむ比江島「W杯の悔しさは忘れちゃいけない」

　7月18日、「Softbankカップ2021 バスケットボール男子日本代表国際強化試合」がサイデン化学アリーナ（さいたま市記念総合体育館）にて行われ、FIBAランキング42位の男子日本代表が同7位のフランス代表と対戦し、オリンピック前の最後となる強化試合を81−75と勝利で飾った。

　日本は八村塁（ワシントン・ウィザーズ）が19得点、渡邊雄太（トロント・ラプターズ）が18得点をマーク。加えて比江島慎（宇都宮ブレックス）が18分49秒の出場で3ポイントシュート2本を含む15得点2アシスト1リバウンド1スティールを挙げた。積極的な姿勢を見せた比江島は、ゲームハイとなる8本のフリースローを獲得するとその内7本を沈め、チーム第3の得点源として勝利に大きく貢献した。

　試合後の記者会見に応じた比江島は「相手が世界のトップクラスということもあって、僕らの現在の位置を知れる貴重な試合でした。フランスはそこまでスカウティングしてきている状態ではないと思うんですが、僕らのやりたいバスケットが1試合通してできたんじゃないかなと思います」と振り返った。

　NBAの直近4シーズンで3度の最優秀守備選手賞を受賞しているフランスのセンター、ルディ・ゴベアとの対戦について聞かれると「ワールドクラスの彼を経験できたのは大きい。あれ以上の高さはないわけで、どこが相手だろうと臆することなくいける自信にはなったと思います」とコメント。

「夢でもあったオリンピックの舞台でプレーできるので本当に楽しみ」

　合流した八村との連携について聞かれると「どうしても塁が休まないといけない時間帯があるので、そういうときは自分もよりアグレッシブにいかないといけないと思います。今日はそこがしっかりできました。塁がプレーしている時間帯はスペーシングを空けたり、攻めやすいようにズレを作ってあげることが必要で、試合は少ないですが手応えはつかめていると思います」と語った。

　2016年の強化試合でフランスとの対戦を経験している比江島は「正直、前回のフランス戦は悪い言い方をすれば遊ばれた記憶しかないです。そこから比べると、今回は個人としても余裕を持ってやれたし、チームとしても相手に向かっていって、優勝候補にもしっかり戦えることを示せたので、すごく成長できている」と話し、5年間での成長を実感しているようだ。

　強化試合とはいえ歴史的勝利となった試合直後のロッカールームの雰囲気を聞かれると「普通に勝って当たり前という雰囲気でした。僕はすごくうれしくて、あのフランスに勝ったということでテンションが上がっていたんですけど。ヘッドコーチははすごくほめてくれてはいましたが、みんなはけっこう冷静でした」と男子日本代表の裏側を話してくれた。5年前に74－91で敗れ、悔しい経験をした比江島の喜びは特別なのかもしれない。

　2年前のワールドカップを経験してから「ゴールにアタックしていく意識」を身につけるようにしてきたと話す比江島は、最後にオリンピックへの思いを力強く語った。

「いよいよ全員そろって、チームも徐々に出来上がってきて、すごくモチベーション高くやれています。夢でもあったオリンピックの舞台でプレーできるので、本当に楽しみです。ワールドカップの悔しさは忘れちゃいけないし、オリンピックができるのは当たり前じゃないので、やれることに感謝して世界と戦っていきたいです」

八村不在の時間帯は、比江島の積極的なプレーが必要となる[写真]＝伊藤 大允