2022.10.19

【Wリーグ開幕特集】予想不可能な混戦のシーズンがいよいよ開幕

トヨタ自動車の2連覇で幕を閉じた昨シーズン。今季は指揮官やメンバー構成が変わるも3連覇を目指す [写真]=伊藤大允
フリーライター

どのチームにもチャンスあり。優勝争いは混沌?
 10月19日より開幕する第24回Wリーグ。だが、今シーズンこそ優勝予想が難しいシーズンもないだろう。というのも、指揮官の交代や選手のメンバー編成など、昨シーズンから大きく変わったチームが多いからだ。

 例えば、2連覇中のトヨタ自動車アンテロープスは、3シーズン指揮を執ったルーカス・モンデーロヘッドコーチから大神雄子ヘッドコーチとなりシーズンを迎える。また、昨シーズンの上位チームでは、ENEOSサンフラワーズ、デンソーアイリスも同様に新ヘッドコーチとなった。さらに、昨シーズンはプレーオフ進出を逃したものの、今シーズンでの上位進出を目指す山梨クィーンビーズ、アイシンウィングス、新潟アルビレックス BBラビッツも新たな指揮官のもとで再起を誓っている。

 また戦力面で見ても、トヨタ自動車は三好南穂、長岡萌映子、馬瓜エブリンら東京五輪メンバーをはじめとする5名の選手が引退や移籍などで退団。11名と少数精鋭で戦うこととなった。

 昨シーズン準優勝の富士通レッドウェーブも、篠崎澪という絶対的なスコアラーが引退。勝敗を左右する存在だっただけに、その影響は大きいだろう。さらに得点源のオコエ桃仁花もギリシャリーグへ移籍となっている。

 他にも長岡萌映子の加入はあったが、岡本彩也花が昨シーズンのケガにより長期の離脱を強いられているENEOSや司令塔やベテランが多く引退したデンソー、大黒柱の2人が移籍となった日立ハイテククーガーズなど、主力の顔ぶれが大きく変わったチームは多い。

 とはいえ、どのチームも、もともと地力のあるチーム。しっかりと強化を図ってシーズンに臨んでくるだろう。実際に3ブロックに分かれて行われた「Wリーグ オータムカップ 2022 in 高崎」(9月開催)では、日本代表選手を欠く中、富士通は優勝、トヨタ自動車、ENEOS、デンソーも準優勝となった。やはり今シーズンも優勝候補と呼ばれるチームであることに変わりはない。

 一方で、注目は昨シーズン4位のシャンソン化粧品シャンソンVマジックだ。シャンソンや富士通など、チーム強化に実績を持つ李玉慈ヘッドコーチ就任3シーズン目。日本代表の吉田舞衣や司令塔の小池遥らをはじめ、主力に大きな変動がなく、逆に谷村里佳、北村悠貴といった実力派たちが加入。ガードからセンターまで充実した布陣で、優勝に向けて視界は良好といえる。

若いメンバーの成長に加え、有力選手の加入でチーム力をアップさせたシャンソン [写真]=Wリーグ


 また、トヨタ紡織サンシャインラビッツもエースの東藤なな子をはじめ、昨シーズンからの中心選手たちが健在。そこにベテランの河村美幸がトヨタ自動車から加わったことでチーム力に厚みが増した。

 さらには、三菱電機コアラーズもベテラン陣が今シーズンも顔をそろえており、より一層精度の高いプレーで優勝の座を虎視眈々と狙っている。

 萩原美樹子ヘッドコーチ2年目となる東京羽田ヴィッキーズも、指揮官の求めるプレースタイルがより選手に浸透しているだろう。

新規参入の姫路と新人王争いも必見
 今シーズンの大きな話題といえば、姫路イーグレッツが新たに参入することだ。昨シーズンはプレステージ・インターナショナル アランマーレが東北チームとして初参戦となったが、今シーズンは関西から姫路が加わり、Wリーグは14チームで優勝争いが繰り広げられる。

 2021年6月に2022-23シーズンからの参入が発表され、これまで着実に力を付けてきた姫路は、いよいよ10月に新たな一歩を踏み出す。記念すべき初勝利はいつか!? その戦いぶりも気になるところだ。

新規参入の姫路の奮闘にも期待(写真は白崎) [写真]=Wリーグ


 そして個人タイトルの行方にも注目だ。特にルーキー オブ ザ イヤーは、選手にとっても一生に一度となるタイトルで、アーリーエントリーで昨シーズンから活躍を見せているデンソーの木村亜美やアイシンウィングスの峰晴寿音らは筆頭の候補たちといえる。だが、こちらもシーズンが始まってみないことにはわからず、新たな選手の台頭にも期待が高まる。

 群雄割拠の今シーズン。1試合の結果で大きな順位変動も起こりうるだけに、開幕戦からレギュラーシーズン最終週まで、目が離せない戦いが続きそうだ。

文=田島早苗

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