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4月15日、「京王 presents Wリーグプレーオフ 2022-2023」ファイナル第1戦が武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都)で開催。リーグ3連覇を目指すトヨタ自動車アンテロープスと4年ぶりのリーグ制覇を目指すENEOSサンフラワーズが対戦した。
2戦先勝方式で行われるファイナルにあって、初戦の結果がこのシリーズの明暗を分けるの自明の理。それだけにこの試合に注目が集まったが、前半を38−17と21点ものリードを奪ったトヨタ自動車がENEOSの追い上げをかわし、55−47で大事な第1戦に勝利した。
重い展開が続いた第1クォーターの残り4分31秒、長岡萌映子が3ポイントシュートを決めて、ENEOSが9−7とこの試合で初めてリードを奪う。
ここから一気に試合が動いた。
その後、トヨタ自動車の山本麻衣がトップからのドライブでディフェンスを振り切りレイアップを決めるとここから一気にスパート。直後、ENEOSのターンオーバーに乗じて、山本が3ポイントをヒット。さらに3ポイントを狙った川井麻衣のシュートがリングを弾くと、そのボールを山本が回収、そしてシュートを沈め、トヨタ自動車の絶対的司令塔が7連続得点をマークした。
特に印象的だったのがトヨタ自動車のENEOS渡嘉敷来夢に対しての守りだ。マッチアップする梅沢 カディシャ樹奈とシラ ソハナ ファトー ジャがプレッシャーをかけうだけでなく、ダブルチーム、トリプルチームで対応。渡嘉敷に入るパスを遮断して、ENEOSのオフェンスのリズムを狂わせた。
第1クォーターでの約2分40秒に及ぶトヨタ自動車の攻防が、試合を決めてしまったと言っても過言ではないだろう。試合後の記者会見でトヨタ自動車の大神雄子、ENEOSの佐久本智の両ヘッドコーチが口にしたのが「試合の出だしがすべてだった」というコメント。
大神HCは「セミファイナルが終わってからの1週間、短い時間の中、選手たちが頑張ってくれました。選手全員で(ディフェンスを)理解してくれたと思うし、全員で守ってくれたました」と、選手たちを称えた。さらに「ディフェンスを仕掛けたことより、その後のプレーで自分たちのリズムを作り出せたことが大きかった。その後の得点につながったことも大きかったと思います」とその場面を振り返った。
ただ、手放しで喜べない内容だったとも言える。大神HCは「我慢できるようになったのがこのチームが成長した証。特に最後までリバウンドは崩れなかった」と語るも、前半での貯金を生かしたトヨタ自動車がENEOSの振り切る形に。後半のスコアを見れば、ENEOSの30−17と前半とほぼ反対の結果になっている。
佐久本HCは「プレッシャーディフェンスを受けてしまい、うちのスタイルのバスケができなかった」と反省の弁を語ったが、「後半は切りかえて自分たちのバスケができた。うちのガード陣がしつこくプレッシャーを掛けたことで相手のリズムを崩せたと思う。修正して明日に臨みたい」と、敗戦の中に光明を見出した。
トヨタ自動車が3連覇に王手をかけたファイナル第2戦、ともに主導権を握ろうと試合開始から激しいつば迫り合いが展開されそうだ。ディフェンスからゲームを作るのはトヨタ自動車、ENEOSともに同じスタイル。ティップオフ直後からプレッシャーの厳しい守り合いが期待される。
文=入江美紀雄