2021.09.27
9月21日、日本バスケットボール協会(JBA)は、女子日本代表チームの新ヘッドコーチに、恩塚亨氏(現:東京医療保健大学女子バスケットボール部HC、前バスケットボール女子日本代表チームアシスタントコーチ)が就任したことを発表した。
恩塚HCは、暫定的ではあるが、9月27日からヨルダンの首都アンマンで開催されるFIBA女子アジアカップ2021の指揮官を任されていた。しかし、今回の発表により、正式に女子日本代表の新ヘッドコーチとして、采配を振るうこととなった。
翌22日に記者会見に応じた恩塚HCは冒頭、「これまで素晴らしい選手やコーチが築き上げてきた日本代表チームのバトンを受け継いでHCに就任しました。私を信じて大任を与えてくださった皆さまの思いに応えるために全力を傾ける決意です」と意気込みを語ると、「目標はパリオリンピックで金メダルを獲得」とし、いつものように静かな口調ながら、強い意思を感じさせるコメントを口にした。
その目標である五輪での金メダル獲得のために、「世界一のアジリティを追求して、身長の高さをそのアジリティの高さで凌駕したいと考えています」と、目指すべきスタイルを示した恩塚HC。そのために、「アジリティとはネクストプレーの早さや適応力のことを考えています。原則の遂行と“ワクワク”がカギです。瞬間瞬間で先手を取り、チームが躍動感を持ってシンクロするバスケットを目指しています」と語った。
「1つ目として、選手もスタッフもなりたい自分、理想の自分へ向かいます。私は15年間代表チームに関わってきて、自分に自信を持てない選手を何人も見てきました。『私なんて』という言葉もたくさん目にしました。代表選手でも自信を持てないのです。きっとバスケット界全体を見渡したときにもっと多くの割合でこのような方がいるのではないかなと思います。だからこそなりたい自分、理想を語る人が増えるように、まずは私たちが理想を語っていきたいと思います。そして、理想を語り始めた人に『いいね、君ならできる』と応援できるようなバスケット界にしていきたいと思います。
次に、夢を抱いて全力で尽くす考え方を大切にしたいと考えています。数年前まで私は高圧的なコーチでした。人は厳しくしないと頑張らないと思っていたからです。結果を出そうとして私はいつしか寂しい人間になっていたと思います。たくさんの学びで気がつくことができました。人は夢を心に抱いて、効果的なやり方を理解して自信があれば全力を尽くすことができる存在であると、選手やスタッフが夢を抱いて全力を尽くせるように、誠実に向き合い、相手を信頼し、尊重する言葉で導いていきたいと考えています。
3つ目が、選手が自信を持って判断するバスケットの追求です。ナンバープレーでロボットのように選手が動くわけではなく、フリーで選手が混乱することもないバスケットを追求します。そのためのカギを原則としています。原則を活かして瞬時に5人が自信を持って判断してシンクロできるようになることを目指します。選手自身が自分でバスケットをしている。そういう感覚を大切にしたいと思います」
恩塚HCは「代表チームは結果がすべてと理解していますし、最重要課題だと考えています」と現実主義者でもある。「だからこそ、その重責の中で、それでも理想を語り、理想に向かって挑戦し続けることができたら、夢を残せるのではないかと考えています」とも語る。
そして、「私たちの金メダルへの挑戦によって、私も夢を持って挑戦したいという人が増えて、そんな人で溢れるバスケット界になっていたとしたら、私たちの目標も目的もどちらも達成できると信じています。ワクワクが溢れるバスケット界に向かっていけたらと思います。皆さまにはご理解とご協力を心からお願いします」と、女子代表の夢の実現のために協力を呼びかけた。
なお、現在恩塚HCは東京医療保健大学のHCも兼任しているが、それは今年度を最後として、来年度からは女子日本代表ヘッドコーチ専任となる予定だ。
2021.09.27
2021.09.25
2021.09.24
2021.09.22
2021.09.21
2021.09.21