2024.01.15

得点力の高さが光るガードの山本麻衣…「ポジションにこだわらず、やれることを」

東京五輪は3人制で出場。パリ五輪は5人制での出場を目指す山本麻衣 [写真]=伊藤大允
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「試合ではボールを触ることも多かったし、積極的にシュートを狙っていこうと思っていました。それはコーチたちが求めていることでもあるので、しっかり表現できたのではないかなと思います」

 1月14日、高崎アリーナにて『WリーグSUPERGAMES ~To the World~』が行われ、このイベント内で「FIBA女子オリンピック世界最終予選(OQT)」に向けて強化合宿中の女子日本代表が紅白戦を公開した。紅白戦は、1クォーター8分方式で、18名の選手がチームホワイトとチームブラックとに分かれて争われた。

 赤穂ひまわり、馬瓜エブリン、木村亜美(いずれもデンソーアイリス)、林咲希(富士通レッドウェーブ)らともにホワイトのスターターとして出場した山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)は、ホワイトの先制点となるシュートを沈めると、その後も3ポイントシュートや合わせのプレーなどから得点。冒頭のコメントのとおり、積極的なシュートで前半だけで12得点を奪い、チームホワイトが前半を44ー24と大きくリードするキッカケを作った。最終的に、前半での大量リードを守り切ったチームホワイトは、チームブラックの追い上げを振り切り72ー63で勝利。山本は後半も攻防においてアグレッシブなプレーを披露した。

 試合では、主に2番ポジションとしての出場となったが、そのことについて山本は、「自分自身、武器はシュートだと思っていますし、1番ポジションでも2番ポジションでもやることはあまり変わらないと思っています。ボールプッシュできるときはしますし、ポジションにこだわらずに自分のできることをやっていけたら」という。

1番だけでなく2番での出場も視野に入れて準備を進めているという [写真]=伊藤大允


 2月に大一番のOQTを迎える女子日本代表だが、指揮を執る恩塚亨ヘッドコーチは、チームのテーマに“走り切るシューター軍団”を掲げた。それだけに、もともとシュート力に定評のある山本の外角シュートはチームにとっても大きな武器となる。

 もちろん、163センチの2番ポジションは、高さのあるヨーロッパの選手と比べればディフェンス面でのハンディもあるが、「前からプレッシャーディフェンスして、ハーフコートのディフェンスでも相手にやられないように先に動くことができたらベストだと考えてます。サイズがない分、リバンドは厳しくなると思うけれど、ポジション取りなどで負けないようにしてやっていけたらと思います」と、山本は言う。

 紅白戦では吉田亜沙美(アイシンウィングス)と同時に出場する時間も多く、1番ポジションを担ったベテランとのプレーに、「一緒にプレーしたのは初めてですが、すごく器用な選手だと感じます。パスの出し方もみんなとは違っていて、いろいろなところにパスが届くので、一緒に出てているときは最後まで気を抜かずに合わせようと意識しています」と、語る。

 高いスキルと勝負強さを持つガードの山本は、3年前の東京オリンピックでは3x3女子日本代表としてコートに立った。このときは、3x3女子日本代表のみ自国開催での出場枠がなかったため、OQTに出場し、自らの手でオリンピックの出場権をつかんだ経緯がある。今回、チーム内での競争に勝って最終メンバーに残れば、再び厳しい戦いが待っているわけだが、「3人制の厳しさも経験しましたが、5人制の方はみんながいるというか。(12人の)パワーは大きいと思うので、そこはチームで戦えたらいいなと思います」と、言う。また、最後には「(OQTは)どの国も必死にやってくるので、最後は気持ちだと思います。どれだけ強い気持ちを持つかが重要ですし、本当にやるしかないと思うので、やり切りたいです」と、決戦に向けて意気込んでいた。

文=田島早苗

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