1時間前

「今を生きる」東京SR永吉佑也の生き様…“人を助ける”自身の名に込められた使命を胸に見据える未来【TOBI»RUSH】

バスケ情報専門サイト

 アスリートが歩んできた人生の「キオク」の扉を次々と開き、そこからつながる「ミライ」への誓いや展望をアーカイブする連続インタビュー企画『TOBI»RUSH(トビラッシュ)〜キオクとミライをつなぐドア〜』。

 今回、その扉を開いたのは、東京サンロッカーズに所属する永吉佑也だ。198cm・108kgの体躯を武器に、インサイドで身体を張り続ける日本人ビッグマン。力強いリバウンドと泥臭いハードディフェンスでチームの土台を支える彼は、ベテランの域に達した今もコート上で頼もしい存在感を放っている。

「今のご自身を一言で表すと?」という問いに対し、永吉は「今を生きる人って感じですね」という。「練習で起きた失敗や成功も、今日のモチベーションや課題になる。それをこなすために毎日必死です」と語る通り、目の前の一投、一瞬のプレイに全身全霊を注ぎ込む姿勢こそが彼の真骨頂だ。一方で、コートを離れれば「家族といる時はまったりしている」と明かす素顔からは飾らない人柄が窺える。過酷な戦場に身を置きながらも地に足をつけ、愚直に日々の練習に向き合い続ける彼の足跡には、いったいどのような「キオク」が刻まれているのだろうか。

自分を変えた夏の試練と、衝撃を受けた伝説のシューティング

 バスケットボールとの最初の出会いは、物心ついた頃にさかのぼる。父親の勤務先にあった体育館で、みんなと一緒にボールに触れたのがすべての始まりだった。その後、祖父の家でたまたま目にしたテレビ画面が、少年の運命を決定づける。コービー・ブライアント擁するロサンゼルス・レイカーズと、アレン・アイバーソン率いるフィラデルフィア・セブンティシクサーズが激突したNBAファイナル。「一目惚れでした。そこからバスケットをやらせてほしいとずっと言っていました」。親の意向で小学3年生までは空手教室などに通い、学校生活に慣れてから待望のバスケットボール生活を本格化させた。

 恵まれた体格を持つ永吉。小学生時代は練習前に近所のお店に寄りチキンカツを食べてから体育館に向かうような、根っからの“食いしん坊な少年”だったという。そんな彼に大きな転機が訪れたのは、中学1年生の夏だった。

 当時の指導者は、鹿児島県のジュニアオールスターのコーチも務める情熱あふれる人物。先輩たちが引退した夏の練習で、先生は永吉の潜在能力を見抜き、徹底的な鍛錬を課した。「自分を変えようと人生で初めて決意した瞬間でした」。お菓子を断ち、食生活を見直し、速く走れなくても諦めずに練習に食らいついた。過酷な練習を乗り越えたことで体は引き締まり、走れる選手へと成長。県大会優勝や選抜チーム入りという成果に結びつけ、「人生初の成功体験」として大きな自信を胸に刻んだ。

 厳しいプロの世界に入ってからも、苦しい時期や思い通りにいかない局面は何度も訪れた。そんな彼を支え続けてきたのは、家族やファン、昔からの友人や元チームメイトといった周囲の人々の存在だ。「次に会った時、自分がどんな顔でいられるか。頑張っている自分の方が良い顔をしているはず」。周囲への思いが日々の妥協なき積み重ねを生む原動力となっている。

 東芝ブレイブサンダース神奈川(当時)に加入した直後に目撃したニック・ファジーカスの練習風景も深く記憶に刻まれている。「とにかくシュートを落とさない。フローターやピック&ポップを日本に定着させた。一番記憶にある選手」。その圧倒的な練習の質と量に触れた体験は、永吉にとってプロの高い基準を意識する上で貴重な糧となった。

名前が示す“人を助ける”役割と、東京SRでの誓い

 キャリアを重ねた今、永吉がコートに向き合う上で最も大切にしているのは「どれだけの人に影響を与えられるか」という点だ。ベテランの日本人ビッグマンとして、限られた出場時間の中でチームに好影響を及ぼすことはもちろん、Bリーグ全体やバスケットボールを知らない子供たちへ魅力を伝える使命感を強く抱いている。「日々の積み重ねが大事だと子供たちに伝えるなら、自分がやらないことには言えない」。言葉ではなく行動で示す背中こそが、彼のアスリートとしての美学だ。

 これからのキャリアにおいて、彼が絶対に実現したい目標がある。それは、加入して4シーズン目を迎える東京SRを、近年遠ざかっているPOの舞台へと引き上げることだ。「これまでお世話になった人たちに恩返しをしたい。残されたキャリアの中で何を残せるかを常に考えています」と意気込みを語る。

 自身の名前である“佑”という文字には、“人を助ける”という意味合いが込められている。「自分の成功よりも、人の成功をサポートしたい。引退後に指導者やスタッフになったとしたら、ヘッドコーチや選手、クラブのために尽くしたいタイプ」と自己分析する。応援してくれるファンに見せたいのは、自身が笑顔で健康にプレーし続ける姿、そして東京SRの勝利という最高の景色だ。

 未来の自分へ向けたメッセージを問われると、永吉は「元気でいろよ! 健康第一でいてほしい」と朗らかな笑顔を見せた。35歳を迎えた今もなお、「憧れでありライバルでもある竹内譲次さん(大阪エヴェッサ)や竹内公輔さん(宇都宮ブレックス)、同級生の張本天傑(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)が第一線で戦っている姿を見ると、自分もまだまだ頑張りたいと火がつく」と熱く語る。ベテランと呼ばれる年齢になっても情熱の炎は決して絶えない。感謝の思いと「人を助ける」信念を胸に、永吉佑也は今この瞬間を全身全霊で駆け抜けていく。

国内の関連記事