2025.04.09

テーブス流河がルーキーシーズンを回想…家族のサポートを受け強豪カンファレンスで成長

強豪カンファレンスでの1年目を終えたテーブス流河 [写真]=Eddie Shabomardenly/Boston College Athletics
ロサンゼルス在住ライター

 テーブス流河の米大学1年生のシーズンが終わった。全米大学体育協会(NCAA)1部(以降DI)の中でも指折りのカンファレンス、アトランティックコースト・カンファレンス(ACC)に所属するボストンカレッジで、31試合のうち24試合に出場、1試合平均8.5分の出場で1.6得点1.2アシスト。だが、2月27日(現地時間2月26日)のスタンフォード大学戦で後半11分出場して5得点2アシスト1リバウンド1スティール。相手はまだ主力がプレーしていたが、テーブスは自らが出場中に24点差から14点差に追い上げたチームに貢献した。

 その次のカリフォルニア大学バークレー校戦では、前半残り7分51秒で13-24だった試合を同6分23秒に19-24とした6得点をすべて自らで決めると、残り4分7秒には再び自らの4連続得点でチームを2点差に引率。この試合、前半だけで12得点するなど、今季自己最多の14得点を記録した。同チームのアール・グラントヘッドコーチは、「流河は、私たちがボストンカレッジで今後やっていこうと計画していることにおける重要な選手。1年生だが、通常の1年生よりもずっと成熟したプレーをしている」と期待を寄せる。

 テーブスは、報徳学園高校(兵庫県)2年生のインターハイを終えたあと渡米し、アメリカの高校と、高校のオフシーズンにいくつもの大会を戦うAAUのチームでプレー。しかも、どちらもトップレベルで、有望選手が勢揃いする中で頭角を現し現在に至る。

 時には自信を失いかけながら前を向き続け、最後には結果を出した。そんな1年目のシーズン終了を目の前にしたスタンフォード大戦後、話を聞いた。

文・インタビュー=山脇明子

次第にチームのスタッフの信頼を獲得

メンタル面でも成長したとテーブス [写真]=Eddie Shabomardenly/Boston College Athletics

――今日は後半に出場機会を得て、11分で5得点、2アシスト。かなり落ち着いてプレーしていたように見えました。
テーブス ここ数試合あまり出場時間がなかったので、出たら思い切ってバスケをしようと深く考ずに挑んだら、こういう結果になりました(笑顔)。

――出場チャンスがない間は、どうやって気持ちのコントロールをしていましたか?
テーブス コントロールできることを全部コントロールしようとやっていました。チャンスが来るかどうかも自分にはコントロールできないので、いつチャンスが来てもいいようにメンタルの準備だけはしていました。自分のことを責めすぎず、ポジティブな思考で頑張ろうと思って。難しいですけどね。

――コントロールできない分、悪いことを考えてしまうということもあると思いますが。
テーブス そうですね。やっぱりシーズンの途中、結構ネガティブになってしまった時期があったんですけど、コーチとも話して、「(まだ)自分の時間じゃないから。今年中にチャンスが来るかもしれないし、来年もっと出るような立場になるかもしれない。今はフレッシュマンだから、あまり活躍できなくてもソフォモア、ジュニア、シニアのときのために準備しておこう」というメンタルでやっていけば、ちょっと楽になるかなという感じでいました。

――1月26日のノースカロライナ大学戦では、接戦のオーバータイムでいきなり出場機会が訪れました。4分のプレーで、同点に繋がるスティールや同点とするアシストを決めるなど、しっかりプレーできるところを見せられた試合だったと思います。
テーブス あの試合は正直言って、自分は出ないと思って全然準備していませんでした。ところが、スタートのポイントカードの足がつって、もう1人のポイントガードがファウルアウトして、もう自分が出るしかなくなって。でも「ここで失敗しても、ずっと(出場機会を)待っていたので、自分のせいではあるけど、自分のせいには強くできないから、とりあえず思い切って全力でやろう」と割り切ってやったら、まあまあの活躍ができました。

――あの活躍のあと、考え方が変わりましたか?
テーブス そうですね。あの試合が終わって、自分の中で気づいたのは、「いつチャンスが来るかわからないし、いつ(状況が)変わるかわからないから準備をしておく」ということです。あのノースカロライナ大戦で(96―98の残り1分12秒に放った)3ポイントシュートが入って勝っていたら、やっぱりその後のシーズンが全然違う結果になってたかもしれませんから。

――D1の強豪カンファレンスでプレーしてみてどうですか?高校のときと全然違いますか?
テーブス 全然違うというわけでもないですけど、一つレベルが上がったなという感じです。フィジカル面でも、あと主に戦略が、IQが高くなったと感じます。でも自分はフレッシュマンだとしてもIQはチームの中でも高い方だと思うので、その部分ではあまり困っていません。フィジカルの部分で困っている感じです。

――高校でもAAUでもかなり高いレベルでやっていましたが、大学に行く前にそのレベルを経験して良かったと思いますか?
テーブス そうですね。入ったばかりのときは、フレッシュマン全員同じ感じでしたけど、自分は高校で学んだことが結構今活きていて、そこで差がついたと感じます。

――例えば、どういうところですか?
テーブス やっぱりまたIQのところとかフィジカルの部分ですね。自分のやっていた高校のレベルは、このフィジカルに似てると思うので、そういった部分ではいい感じです。

兄の海と一緒にロス五輪出場が夢

家族のアドバイスに支えられた [写真]=山明明子

――昨年の夏は、一昨年AAUで忙しくてできなかったディベロップメントキャンプにも参加しましたが、どうでしたか?
テーブス あの経験もこっち(DI)に来てから活きたと思っています。ディベロップメントキャンプも高いレベルのIQのバスケを習うので、こっちのプレシーズン中は、自分の方が進んでいると感じました。

――ディベロップメントキャンプでの手応えはどうでしたか?
テーブス はい、感じました。ああいう日本のトップレベルの選手の中でも、自分のプレーができるという自信もつきました。

――お兄さんの海選手(Bリーグ・アルバルク東京)からは、どんなふうに言われていますか?お兄さんとライバルになりますが。
テーブス ライバルですけど、夢としては、兄弟揃ってロサンゼルス(オリンピック)でやれればいいなと思っています。今もライバルっていうよりは、お互いをサポートしてという感じですね。

――大学1年生で、試合に出られない辛さも経験している中で、海選手とお父様(Wリーグ・富士通レッドウエーブのBTテーブスヘッドコーチ)からは、どのようにアドバイスされていますか?
テーブス 「兄からは、今の時期にいっぱい活躍しても、あんまり意味がないっていうか、今は結果にこだわらず、試合に出て活躍するとか気にせずに、自分の実力をどんどん進化させていった方がいいと言われています。大学でバスケキャリアが終わってしまう人もいっぱいいますが、僕と兄は10年先もバスケをするから、10年先のこと考えて今に挑めと。

 父からは、試合に入ったらもうちょっと思い切ってやれみたいに言われたので、その結果、こう(スタンフォード大戦のいい結果)なりました(笑)。

――海選手のようにアメリカの大学(DIのノースカロライナ大ウィルミントン校)で1年生からバリバリ出場していた人にそう言ってもらえると、安心するのではないですか?
テーブス そうですね。兄が経験したことを全部自分が今経験しているので、同じ道をたどった兄からそう言われるのはやはり安心します。

――しかも、海選手は大学1年生の時にアシストでジャ・モラント(現メンフィス・グリズリーズ)に続いて全米2位でした。自らが大学でやって、改めてすごいことだと感じましたか?
テーブス そうですね。あの中で、ああいう活躍できたのは尊敬します。

――この1年で、どういうところが一番向上できたと思いますか?
テーブス DIのゲームのスピードの中でも自分のプレーをするというスキルです。ここに来るまでは、そういうスキルが存在していると思わなかったので、こっちに来て、レベルの高いフィジカルなディフェンスにあたって、そういう実感が湧きました。

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