2018.01.15
ジェームズ・ハーデンを軸としたヒューストン・ロケッツは、昨季までの4シーズンで50勝以上を3度記録し、プレーオフには毎年出場してきた。2015年には、1997年以来となるウエスタン・カンファレンス・ファイナルへと駒を進めた。
しかし、94、95年に2連覇してからというもの、ロケッツは優勝どころかNBAファイナルの舞台にも立てていない。ここ3年、プレーオフではサンアントニオ・スパーズ(17年)とゴールデンステート・ウォリアーズ(15、16年)に敗れて、悔しい思いをしてきた。
そこで今夏、ロケッツのジェネラルマネージャー、ダレル・モーリー氏は7選手と現金、そしてドラフト指名権を放出し、ロサンゼルス・クリッパーズからリーグ屈指の司令塔クリス・ポールを獲得するという大胆な補強に出た。
ロケッツにポールが加入したことを受けて、当初は多くの人が疑問を持っていた。昨季就任したマイク・ダントーニHCがハーデンをポイントガードにコンバートしたことで、役割が重複してしまうのではないかと批判されることもあった。しかしモーリーGMは「ポールのような選手を獲得できるチャンスがあるならば、手を出さない理由などない」と切り返し、スターポイントガード獲得を喜んだ。
今季が開幕して約2か月が経過した12月22日(現地時間21日)、ロケッツはリーグトップの勝率(83.3パーセント/25勝5敗)と、見事な成績を残している。ポールはロケッツでも自慢のゲームメイクと得点力、そしてディフェンス力をもたらし、うまくフィットしている。
もっとも、モーリーGMにとって、ここまで達成してきたことは特に重要ではない。この男の中で最も関心があるのは、ウォリアーズを倒すことにほかならないからだ。ウォリアーズといえば、ウエストを過去3シーズン制し、15年と17年にはチャンピオンシップを獲得したチームだ。現地メディア『ESPN』ラジオの『The Ryen Russillo Show』という番組で、モーリーGMは「(打倒ウォリアーズこそが)我々が唯一考えていることだ。口に出すようにしているわけではないが、『どうしたらウォリアーズを倒すことができるのか』ということに取りつかれているようなものだ」と語ったという。
また、モーリーGMは「昨年、スパーズが我々をプレーオフで下した後、スパーズのことを心配していた。スパーズという組織は常に一歩先におり、ほかのチームよりも我々をガードすることにたけていた。同時に、もし我々がウォリアーズを倒すことができていれば、約90パーセントの確率でチャンピオンシップを獲得していたと、我々は計算した。今季の我々は、この考えをベースに戦っているようなものだ」と自身の考えを述べた。
スタッツ分析力に秀でたモーリーGMが構築した今季のロケッツは、オフェンシブ・レーティング(攻撃回数100回における平均得点)でウォリアーズ(113.4)を僅差で超える、リーグトップの113.7を誇っている。また、ウォリアーズのステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ケビン・デュラントらが放つ3ポイントシュートという脅威に、ほとんどのチームが悩まされている中、ロケッツは真っ向勝負できる数少ないチームの1つである。3ポイントシュート成功率ではウォリアーズ(39.8パーセント)にかなわないが、1試合における平均試投数(43.2本)と成功数(16.0本)でロケッツの右に出るチームはいない。また、今季はディフェンシブ・レーティング(100回のディフェンスにおける平均失点)でリーグ7位と、ディフェンス面でも成長を遂げている。
それだけに、モーリーGMにとって打倒ウォリアーズに対する思いは強い。「プレーオフ全体をとおしてホームコート・アドバンテージを得ることのできる第1シード(今季のリーグ最高勝率)、またはチーム最多勝となる58勝を目指すのか。どちらも良いことではあるが、最も重要なのはプレーオフの7ゲームシリーズで、どうしたらウォリアーズに4勝できるかだ」とモーリーGM。
今季の開幕戦で、ロケッツはウォリアーズのホーム(オラクル・アリーナ)に乗り込み、122-121で勝利しているのだが、開幕時と比較すると、直近まで14連勝していた現在のほうが、確実に戦力の厚みを増している。そのため、モーリーGMも手ごたえを感じているのではないだろうか。
ロケッツとウォリアーズの“第2ラウンド”は来年の1月5日(同4日)、ロケッツのホーム、トヨタ・センターで行われる。シーズン中盤とはいえ、ウエストの頂上決戦とも言える両チームによる直接対決は、世界中から注目を集めるに違いない。今からこの対決が、楽しみでならない。
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