2018.04.22

新人シモンズがトリプルダブル! シクサーズが肉弾戦を制してシリーズ突破に王手

1980年のマジック以来初となるトリプルダブルをマークした新人シモンズ[写真]=Getty Images
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第4Q序盤に得たリードを死守したシクサーズ

 4月22日(現地時間21日)、フィラデルフィア・セブンティシクサーズ(2勝)とマイアミ・ヒート(1勝)のシリーズ第4戦が、ヒートのホーム、アメリカン・エアラインズ・アリーナで行われた。

 第1クォーター。シクサーズはフロントラインのダリオ・シャリッチ、ジョエル・エンビードロバート・コビントンを中心に加点し、同クォーター残り5分28秒で20-12と8点をリードする。

 するとヒートはウェイン・エリントンの3ポイントシュートを皮切りに、ゴラン・ドラギッチドウェイン・ウェイドらが得点し、26-26の同点で最初の12分を終える。

 第2クォーター。ヒートはウェイドが決めれば、シクサーズもJJ・レディックが入れ返し、レディックが長距離砲を浴びせると、ヒートはエリントンがお返しという展開に。

チームトップの24得点を挙げたシャープシューターのレディック[写真]=Getty Images

 そこで抜け出したのはホームのヒート。前半残り4分10秒にウェイドがダンクをたたき込み、ヒートが8点リード(54-46)。残り1分18秒にはジェームズ・ジョンソンのフリースローが2本決まって9点リードを得る。前半はそのままヒート優勢となり、61-56でハーフタイムへ。

 第3クォーター。シモンズがジャンパーやレイアップで加点し、シクサーズが追い上げを図るも、ヒートはドラギッチやハッサン・ホワイトサイドのショットでリードを広げ、残り6分53秒でリードを12点(74-62)とした。

 10点前後のリードをキープしていたヒートだったが、シクサーズはアーサン・イリヤソバが貴重な追加点を挙げる活躍を見せた。同クォーター残り1分16秒に3ポイントプレー、残り1.2秒には3ポイントシュートをねじ込み、4点差(79-83)まで追い上げて最終クォーターへ。

 第4クォーター。シクサーズはシモンズが4連続得点を挙げて一気に同点(83-83)に追いつくと、エンビードのフリースローとレディックのレイアップで4点リードに成功。するとシクサーズは一度もヒートに逆転されることなく逃げ切り、最終スコア106-102で勝利した。ヒートはウェイドがこのクォーターだけで12得点を挙げる猛攻を見せて、残り43.9秒に1点差(101-102)まで詰め寄るも、最後はレディックのジャンパーとフリースローに泣き、シリーズ3敗目を喫した。

208センチという恵まれたサイズを活かし、4スティールを奪ったシモンズ[写真]=Getty Images

プレーオフでも成長を続ける驚異の新人シモンズ

 シクサーズではレディックがチームトップの24得点3スティール、シモンズが17得点13リバウンド10アシストのトリプルダブルに加えて4スティールをマーク。エンビードが14得点12リバウンド5ブロックを挙げ、ほか4人が2ケタ得点を記録。

 新人シモンズは、プレーオフでは1980年のアービン“マジック”ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)以来となるトリプルダブル達成。シクサーズの選手としては、91年のチャールズ・バークリー(元フェニックス・サンズほか)以来となった。

 一方、敗れたヒートはウェイドがゲームハイとなる25得点に3スティール。ドラギッチが20得点4スティール、ジェームズ・ジョンソンが15得点8リバウンド5アシスト、ホワイトサイドが13得点13リバウンドを挙げるなど、計6人が2ケタ得点を奪取。

 このゲームは激しい肉弾戦でもあった。シャリッチをジャスティス・ウィンズロウがはねとばし、ルーズボールに4選手が絡み合うシーンも見られた。ドラギッチのドライブに対し、コビントンが突き飛ばした際には、ジェームズ・ジョンソンが詰め寄り、乱闘に発展するかのような緊迫した場面も見られた。

 試合後、コビントンは現地メディア『AP』に対して「彼のことだから、チームメートを守ろうとしたんだろうね」と振り返ると、ヒートのエリック・スポールストラHCも「(プレーオフというのは)フィジカルかつ競争が激しいバスケットボールだからね」とコメント。

 とはいえ、ゲームはヒートの流れだったと言っていい。シクサーズはヒートのディフェンスに対して26ものターンオーバーを積み上げ、3ポイントシュートは31投中成功わずか7本(成功率22.6パーセント)と、苦しい状況にあった。

 「このゲームに勝つことができ、私は驚いている。このゲームに勝つための権利が我々にあるとは思っていなかった」とブレット・ブラウンHCが語ったほど、アウェーで苦戦していた。

 それでも、リバウンド数で57-43とヒートを圧倒し、オフェンシブ・リバウンドはシャリッチの6本を筆頭に17本も奪い、セカンドチャンスにつなげたことは、勝因の1つとなったのではないだろうか。

 そして第4クォーター序盤で一気に同点としたシモンズの活躍だろう。

 「彼はモンスターだ。この大事な試合でトリプルダブルを達成してしまうんだからね。今夜の彼はまるで野獣だった。だからこそ彼は新人王にふさわしいんだ」とエンビードが語れば、レディックも「彼は強じんなフィジカルを持っているが、メンタル面でもタフなんだ。過去4試合ではボーカル面でも急成長している。我々にとって、とても大きな要素だ」と絶賛。

 「僕は自分の役割をこなすようにしている。スタッツ面でもシーズン中とほぼ同じだから、チームとしても、僕自身としても、特に新しいことなんてない。(このチームが)勝っている限り、僕はハッピーだ」とシモンズは冷静に語った。

 シリーズはシクサーズが3勝1敗とし、カンファレンス・セミファイナル進出に王手。ヒートとしては、1勝3敗という窮地に追い込まれた。

 「彼らは我々よりも、より重要なプレーを第4クォーターに決めたんだ」とスポールストラHC。勝てる試合を落として悔んだものの、ヒートは次の試合に勝つしか、生き残る道はない。

 「俺は次の試合にフォーカスしている。勝てるようにするだけ」とウェイドが語ったように、第5戦に向けた準備はこの時点で始まっていると言っていいだろう。

 シリーズ第5戦は25日(同24日)、シクサーズのホーム、ウェルズ・ファーゴ・センターで行わることとなる。

経験豊富なウェイド(左)と指揮官スポールストラ(右)。第5戦で巻き返しなるか?[写真]=Getty Images

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