2018.04.30

イースト準決勝プレビュー Part.1 セルティックス×シクサーズ/プレーオフ特別企画⑳

シクサーズの新人PGシモンズ(右)とセルティックスの大黒柱ホーフォード(左)[写真]=Getty Images
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4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。

<プレーオフ特別企画⑳>
イースタン・カンファレンス・セミファイナル プレビュー Part.1
ボストン・セルティックス×フィラデルフィア・セブンティシクサーズ

■2017-18シーズン成績
セルティックス>55勝27敗(イースタン・カンファレンス2位)
シクサーズ>52勝30敗(イースタン・カンファレンス3位)

■2017-18シーズン直接対決戦績
セルティックスの3勝1敗

■セルティックス

堅実なディフェンスが最大の武器

 チーム最高のスコアラーであり、クラッチシューターでもあるカイリー・アービング不在で臨んだプレーオフ。セルティックスはミルウォーキー・バックスを最終戦の末に下し、イースト準決勝へと勝ち上がってきた。

 バックスとのシリーズではベテランのアル・ホーフォードがチームトップの平均18.1得点に加え、8.7リバウンド3.3アシスト1.4ブロックでチームをけん引。ジェイレン・ブラウンが平均17.9得点と続き、テリー・ロジアーが平均17.6得点6.7アシスト、ジェイソン・テイタムが平均15.4得点、ベンチからマーカス・モリスが13.3得点をマーク。

バックスとの最終戦でハムストリングを痛めたブラウン。この男がどこまで復調できるかもポイントとなりそうだ[写真]=Getty Images

 ディフェンス面では、シリーズ平均でバックスに50.0パーセントのフィールドゴール成功率、37.2パーセントの3ポイントシュート成功率を許したものの、セカンドチャンスからの得点は平均7.0失点に抑え、着実にリバウンドを奪い、相手チームに流れを渡さないようにしてきた。

 ただ、バックスとの第7戦でブラウンがハムストリングを痛めたため、もし仮にシリーズ初戦に出場できたとしても、万全のコンディションでは臨めないだろう。そのため、ホーフォード、ロジアー、テイタム、モリスがそれぞれさらにステップアップすることが求められる。

■シクサーズ

第4Qで強さを増した新進気鋭のチーム

 マイアミ・ヒートとの1回戦を4勝1敗で制したシクサーズは、ボールムーブメントを頻繁に行い、アンセルフィッシュなオフェンスを武器にセルティックスとのシリーズへ臨む。

 ベン・シモンズジョエル・エンビードというヤングコアと、JJ・レディックやアーサン・イリヤソバといったベテランが融合したシクサーズは、プレーオフで勝負強さが増した。シーズン中、第4クォーターの100ポゼッションあたりの得点で相手チームに対して-4.8得点とリーグワーストだったものの、プレーオフの5試合では100ポゼッションあたり31得点も上回るチームへと進化。セカンドチャンスからの得点では16.2得点と、1回戦に出場したチームの中で最も多い数字だった。

 ヒートとの1回戦ではレディックの平均20.0得点を筆頭に、3試合出場のエンビードが平均18.7得点10.3リバウンド3.0ブロック、シモンズが平均18.2得点10.6リバウンド9.0アシスト、マルコ・ベリネリが平均16.6得点、ダリオ・シャリッチが平均16.6得点、イリヤソバが平均10.8得点9.2リバウンドをマークしており、バランスの良さが特徴と言えるだろう。

万能型ビッグマンのエンビードは、ヒートとのシリーズで平均3.0ブロックをたたき落とし、ペイント内で脅威を与えた[写真]=Getty Images

 セルティックスとのシーズン中における対戦成績は1勝3敗となっているが、プレーオフでこのデータは参考外。セルティックスが勝利した試合ではいずれもカイリーが出場していたこと、そしてこの4試合はすべて1月中旬までのスケジュールだったからだ。シクサーズは2月以降にベリネリとイリヤソバを加えて選手層を増しており、新たなチームとしてセルティックスとのシリーズを迎えることとなる。

■シリーズ予想 シクサーズ 4-2 セルティックス

タレントレベルの差でシクサーズ優位は明らか

 セルティックスはシーズン中の4試合で、シクサーズの得点を100ポゼッションあたり94.9失点に抑え、19.9回のターンオーバーを誘発している。シクサーズとしては、得点でワースト、ターンオーバー数でワースト2位となっており、セルティックスのディフェンスには注意が必要となる。

 しかし、シーズン終盤にかけてベテランを補強したシクサーズは、セルティックスと最後に対戦した1月中旬時よりも破壊力を増しており、持ち味であるボールムーブとレディックをはじめとするアウトサイドシュートでセルティックスを攻め立ててくるに違いない。

 このシリーズを語るうえで見落とされがちなのは、シクサーズのディフェンスだろう。シーズン中の被フィールドゴール成功率は2位のセルティックス(44.0パーセント)を抑えてリーグトップ(43.4パーセント)、被3ポイントシュート成功率では1位のセルティックス(33.9パーセント)に次ぐ僅差の34.2パーセントで2位を記録している。ディフェンシブ・レーティングでも、1位はセルティックス(101.6)ながら、シクサーズは4位(103.0)という好成績を残しており、両チームとも強固なディフェンスを誇っている。

ホーフォードには攻防両面において、毎試合高いレベルのパフォーマンスが求められる[写真]=Getty Images

 そう考えると、このシリーズでポイントとなるのは両チームのオフェンスと、セカンドチャンスからの攻防となってくる。

 豊富なオプションを持つシクサーズに対して、セルティックスはブラウンが本調子であっても、どうしても駒不足に映ってしまう。ペイント内の攻防でも、エンビードとシャリッチ、シモンズが先発を務めるシクサーズは、ベンチにイリヤソバやアミア・ジョンソンといったベテランが控えており、タレントレベルでもシクサーズに分があるだろう。

 そのため、接戦に持ち込んで終盤にセルティックスが粘り勝ちする試合もあるだろうが、シリーズとして見ると、シクサーズが勝ち上がる可能性が高いと言わざるをえない。

3ポイントがないとはいえ、208センチの長身からドライブでペイント内に侵入し、高確率なショットを決めるシモンズも要注意だ[写真]=Getty Images

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