2019.08.08

アキレス腱を断裂したデュラントが沈黙を破る「どうなろうとファイナルの舞台に立ちたかった」

大舞台での大ケガはデュラント(中央)にとって屈辱的だったかもしれないが、彼ならば必ずカムバックを果たすだろう[写真]=Getty Images
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ファイナルに向けての当時の心境をデュラントが語る

 2019年NBAファイナルは、様々なドラマに満ち溢れたシリーズだったことだろう。2015年よりファイナルに進出し続けてきたゴールデンステイト・ウォリアーズは、これまで2015年、2017年、2018年と3度のチャンピオンシップに輝き、このファイナルを制して3連覇を成し遂げようとしていた。しかしこの数年間の輝かしい王朝の裏に、選手たちの想像を絶する肉体と精神の疲労が潜んでおり、事実このポストシーズン中にそれらはピークを迎え、主力選手たちはケガに苦しみ続けた。

 その中には、昨シーズンまでウォリアーズの一員だったケビン・デュラントブルックリン・ネッツ)も存在していた。彼はプレーオフ2回戦、ヒューストン・ロケッツとの第5戦にて右ふくらはぎを痛め、それから懸命にリハビリを継続し、トロント・ラプターズとのファイナル第5戦で復帰を果たす。しかし第2クォーターに1対1を仕掛けた際にコートに倒れこみ、後にアキレス腱断裂であることが発覚。悔しさを滲ませた表情を浮かべながらコートを去り、彼の姿に鼓舞されたウォリアーズはその試合を制すも、第6戦はラプターズが制して球団初の優勝を達成。ウォリアーズはこの5年間での4度目の優勝には届かなかった。

 あの出来事が早くも2カ月近く経過し、オフシーズンを経てリーグの勢力図も大きく変化した。ウォリアーズを退団し、ネッツと新たに契約を交わしたデュラントはここまでの沈黙を破り、ファイナルに向けてのリハビリ中の出来事や当時の心境を、『Yahoo Sports』のインタビューを通じて打ち明けた。

デュラントがコートを去る際、ラプターズの選手たちとファンは彼にエールを送った[写真]=Getty Images

デュラントが語る、当時の心境と出来事

 デュラントはまず、自身のアキレス腱断裂の原因とウォリアーズの責任に関して言及。「そんなまさか、どうやってウォリアーズを責められるというんだ? 聞いたよ、ウォリアーズが僕に試合に復帰できるようにプレッシャーをかけていたという話を。僕が復帰に向けてリハビリに取り組んでる間、決して誰もそんな言葉を言わなかった。ただ僕とトレーナーのリックは毎日ワークアウトに取り組んでいただけだ」とコメントし、球団側に責任があったことに関するネガティブな噂を否定した。

「シリーズがまさしく始まった時、僕はゲーム5での復帰を目指していた。そしてそれは起きてしまった。これはバスケットボール。そういう酷い出来事は起きるもの。誰もこのことに関して責任はない。ただのゲームだったんだ」と告げたデュラント。決して特定の誰かが咎められる出来事ではなかったと、ここで自身の見解を明確に示し、「この酷い出来事から僕らは前進する必要がある、何故なら僕は復帰する心でいるから」と続け、来たる新たなキャリアに向けて確固たる意志を見せた。

デュラントは昨季プレーオフ、ケガで一度離脱するまで驚異的なスコアリングをみせていた[写真]=Getty Images

 話題はやや変わり、アキレス腱を断裂したファイナル第5戦の後についてデュラントは語った。「ああ、あの夜のことを今でも覚えているよ。このリーグをとおして僕がここまで経験してきたすべてのこと、それは間違いなく常に僕の中へと深く染みついている。けれど今回の件に関しては、間違いなく常に、僕のキャリアにおけるひとつの大きな出来事としてあり続けるだろう」との言葉は、あの大ケガがどれだけ彼にとって大きなものだったかを物語っている。

 そしてデュラントは、「何故ならそれはもっとも大きなステージであり、経験してきた中でももっとも深刻なケガだからだ。バスケットをプレーしようと出場し、ケガをした。けれど今はただ復帰することを待ち続けている。他の皆にとっても、深刻な問題だと思う。けれどただじっとこらえて、前へ進み続けるよ」と、重ねて前進していく決意を語った。

現在30歳のデュラント。年齢的にキャリアのピークの中、大きな試練を乗り越えようとしている[写真]=Getty Images


 続いてデュラントは、ファイナルのシリーズ中、なかなか復帰時期が明確にならなかったことに関して、「シリーズがどうなろうと、ゲーム5での復帰を目指していた。だからシリーズ3勝1敗の時(この時ラプターズが3勝でリード)に復帰を果たしたんだ。どうなろうとファイナルの舞台に立ちたかった」とコメント。

 「バスケットがしたかったんだ、もしコートへ立てるのであればね。手ごたえは良いものだったんだし、毎日ワークアウトをしてきていた。1日に2回こなすことで、本来の自分へと戻れていたんだ。そして試合に集中し、復帰を目指した。本当にあのシリーズに出場したかったんだ」と、自身のバスケットに対する情熱を垣間見せた。

 これまで数々の個人タイトルや記録を成し遂げて、多くの実績を積んできたケビン・デュラント。リーグでもトップレベルの選手として認知されてきた彼が、ファイナルの大舞台でああいった大ケガをしたことは非常にショッキングな出来事であった。しかし今は復帰に向けて、彼はリハビリに取り組んでいる。今夏契約を果たして新天地となるネッツ、そして揺るぎない闘争心によるアキレス腱断裂からの復帰という要因は、彼にとって新たなスタート地点を示唆するものとなるだろう。

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