2019.08.28

ジェレミー・リンが中国の北京ダックスへ移籍「新たな一歩にワクワクしている」

2012年2月にニックスでブレイクしたリンが中国リーグへ移籍[写真]=Getty Images
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2012年2月に魅せた“リンサニティ”フィーバーで一躍時の人となったリン

 8月28日(現地時間27日)、中国のプロバスケットボールリーグ(CBA)に所属する北京ダックスが、ジェレミー・リンと契約したことを発表した。

 今夏フリーエージェント(FA)になったリンは、NBAのチームとの契約を望んでいたものの、なかなかオファーが届かず。先日、台湾のテレビ番組に出演した際には「まるでNBAに見限られてしまったように感じる」と涙を流していた。

 そんなリンに対して、ロシアのCSKAモスクワからオファーがあったものの、NBAチームからのオファーを待つべく、そのオファーを断ったという情報もあったのだが、CBAでプレーすることを決断。

昨季途中にラプターズへ移籍し、優勝チームの一員となるもNBAチームからオファーは届かず[写真]=Getty Images

 もっとも、アメリカのカリフォルニア州生まれのリンは、台湾人の両親を持ち、アジアでプレーすることに関心があったという。

「5年くらい前からかな。僕はアジアでプレーすることを考えていたんだ。アジアにおけるファンの熱狂的な様子を見ていたら、プレーしてみたくなったんだ」とリンは同番組で語っていた。

 ハーバード大学出身のリンは、ドラフト外でゴールデンステイト・ウォリアーズと契約を結び、2010-11シーズンにNBAデビュー。その後11年12月に解雇されてしまうも、同月下旬に契約したニューヨーク・ニックスで大きなチャンスをつかむ。

 12年2月に入ってプレータイムを得たリンは、6試合連続で20得点以上を挙げる大暴れ。11日(同10日)のロサンゼルス・レイカーズ戦ではキャリアハイに並ぶ38得点、15日(同14日)のトロント・ラプターズ戦では決勝弾となる3ポイント成功を含む27得点に11アシストとセンセーショナルな活躍。リンとインサニティ(insanity/狂気)という言葉を掛け合わせた造語“リンサニティ”という言葉が生まれ、一躍時の人となった。

 その間、カーメロ・アンソニーやアマレ・スタッダマイヤー(共に現未所属)という主軸が欠場する試合もあったのだが、リンの活躍でニックスは6連勝。ホームにサクラメント・キングスを迎えた16日(同15日)の試合で、リンは10得点13アシストの活躍を見せ、7連勝の立て役者に。

「アジア人としてNBAで活躍するという歴史を作ったことを光栄に思う」

 その後リンはケガのためプレーオフを前にシーズンを終えると、翌12-13シーズンからヒューストン・ロケッツ、レイカーズ、シャーロット・ホーネッツ、ブルックリン・ネッツ、アトランタ・ホークスでプレー。昨季途中に加入したラプターズでは自身初のNBAチャンピオンに輝いている。

 NBAキャリア9シーズンで、リンは通算480試合(うち先発は221試合)に出場し、平均25.5分11.6得点2.8リバウンド4.3アシスト1.1スティールをマーク。先日31歳を迎えたリンは、プレータイムさえ確保できれば平均2ケタ得点を挙げる得点力があったものの、NBAからCBAへ活躍の場を変えることとなった。

ホーネッツでは貴重なシックスマンとして活躍したリン[写真]=Getty Images

 リンは自身のSNSで「NBAや家族の皆、僕の側近にいる人たち、そして僕を見に来てくれたすべてのファンにありがとうと伝えたい。アジア人を代表してNBAレベルで活躍するという歴史を作ったことを、僕はとても光栄に思っている。今は北京ダックスと共に歩む新たな一歩にワクワクしている」(抄訳)と綴り、自身のバスケットボールキャリアにおける新たなチャプターへと踏み出した。

 今季CBAでプレーすることになったリンだが、NBA復帰への道のりがなくなったわけではない。CBAは比較的早くシーズンが終了するため、CBAでリンが殊勲の活躍を見せれば、今季途中にプレーオフを見据えてNBAチームがリンへ触手を伸ばす可能性は残されている。

 リンが新天地でどのような活躍を見せてくれるのか。楽しみに待ちたいところだ。

今季のCBAで、リンが繰り出すクイックリリースのジャンパーは多くの得点を生むことになるだろう[写真]=Getty Images