2019.09.26

ウォリアーズのカーHC「2016-17シーズンはまさに絶頂期だった」

ウォリアーズ時代のデュラント(右)とカーHC[写真]=Getty Images
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ウォリアーズのシステムについて述べるデュラント

ㅤ2014-15シーズンから5年間、NBAファイナルに連続して出場し、歴史的な強さを誇ったゴールデンステート・ウォリアーズ。その間に3度チャンピオンシップの座に輝き、2017年と2018年のNBAファイナルで2連覇を達成した。

ㅤウォリアーズの連覇の中心的な選手の1人として、当時在籍していたのはケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)。圧倒的なスコアリングによってゲームを幾度となく支配してきた姿は印象的であるが、ネッツへ移籍後、ウォリアーズのオフェンスシステムに関して、現地新聞の『ウォール・ストリート・ジャーナル』にて明かしたそうだ。

ㅤデュラントは、「ウォリアーズで僕たちが導入していたモーションオフェンスは、たった1つのことだけに機能していたのは明白なことだよ」と話すと、「僕たちが完全にシステムに委ねることができたのは、(プレーオフ)最初の2ラウンドくらい。それからの2ラウンドは、個人プレーをミックスしていかないといけない」とコメント。続けて、「プレーオフにおいて皆は賢いプレーができるから、“チーム”という殻を脱ぎ捨てなければならなかった」と語る。そして、「だから僕は自らの手で、ボールを持っていない時、アイソレーション、ピック&ロールといったプレーを作り出していかなきゃならなかった」と言葉にし、ウォリアーズ時代でのシステムと自分の役割に関してつづった。

ウォリアーズの2連覇に大きく貢献したデュラント[写真]=Getty Images

カーHCが語るシステムとスーパースターの重要性

ㅤこれに対して、ウォリアーズのスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が反応し、『The Athletic』を通してコメントを残したという。カーHCは、「ケビンが言ったことに関して、全く気分を害してはいない。なぜならそれは真実だからだ。様々なシステムを目にしてきて、私はマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)とトライアングル・オフェンスを行った」と、自身の現役時代の経験を交えて、見解を述べ始めた。

「トライアングルによって、レギュラーシーズン中はよりスムーズにプレーが成立し、それはプレーオフの最初のいくつかのラウンドでも同様だった。カンファレンス・ファイナルとファイナルと比べるとね」と話すと、「皆がマイケル・ジョーダンケビン・デュラントコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)といった存在が好きな理由はここにある。彼らはあらゆるディフェンスを超越することができる」と、歴代でもトップクラスのスコアラーの名を挙げる。

「ただプレーオフのディフェンスというのは、ラウンドが進めば進んでいくほどに肉体的な戦いが含まれていくんだ。それは毎回レフリーが笛を吹くことができないほどで、スーパースターはそれを乗り越えていかなきゃならない」とコメント。続けてカーHCは、「システムそのものが、ファイナルのディフェンスを攻略するわけではない。個人のプレーに委ねなきゃならない。(デュラント)のコメントを攻撃的に捉えないよ、事実であるとみなしているからね」と、スーパースターによる個人技の重要性を述べた。

優勝にはシステムだけではなく、ジョーダンのような圧倒的な個人技が求められる場面があるのだろう[写真]=Getty Images

ㅤまたカーHCは、「我々にとって、ケビンと初めてともに戦った2016-17シーズンはまさに絶頂期だった」と告げると、「我々は毎年素晴らしいオフェンスを展開しているが、あの年は素晴らしいムーブメントのコンビネーション、自然な攻撃の流れと、チームの成功をケビンの1on1とともに組むことができていた。あれこそが、我々にとってオフェンスの最高潮だった」と、当時のデュラントとウォリアーズのオフェンスシステムの完成度に関して語った。

 チームがチャンピオンシップの座を狙いにいく時、必ずチームメート同士の連携やコミュニケーションが必要となり、その軸としてチームのシステムが必須になることは自明の理だ。カーHCも現役時代、ブルズではトライアングル・オフェンスを通して3連覇を経験しているが、ジョーダンというスーパースターが存在していたのも事実。今回彼がコメントで述べているように、戦術はゲームの強度がより高まった時に、機能が難しくなり、故に圧倒的な個人技が必要となってくるのだろう。

 チームのベースとしてのシステムと、ゲームを支配するスーパースターの絶大な力。カーHCが最後に述べたように、優勝にはその2つの融合が必要なのだろう。

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