2021.10.07
「何が起こるかわからない」、これはNBAのオフシーズンにおける常套句だ。各球団のフロントは来シーズンや将来に向けてチーム構想を練り上げ、契約の延長や選手の出入りを行う。
今夏も例に漏れることなく、チーム・選手間で積極的な取引が行われており、中には複数のチームが絡むような大規模かつ複雑なトレードも実施されている。
36歳のトレバー・アリーザは今夏にFAとなり、2009年に優勝を経験した古巣ロサンゼルス・レイカーズへ復帰する。経験豊富でクレバーなベテランは、行く先々で貴重な戦力してロスターを支え、これまで計10チームでプレーしてきた。その経歴からジャーニーマンとしての印象も強いアリーザだが、『Dribble Media』によると、同選手はこれまで9度のトレードを経験し、“NBA史上もっともトレード回数の多い選手”だという。
最初のトレードは2006年2月、ドラフト指名されたニューヨーク・ニックスからオーランド・マジックへ。このトレードにはペニー・ハーダウェイとスティーブ・フランシスが絡み、同年のホットトピックのひとつとなった。アリーザはそこから1〜3年ごとに所属球団を変え、キャリア最長の在籍は2014年から4年間を過ごしたヒューストン・ロケッツ。3ポイントシュートの確率も高く、エースキラーとして相手を封じ込める優れたパフォーマンスには、毎年のように複数球団が触手を伸ばした。
アリーザ以降のトレード回数ランキングには、1997年にオールスターにも選出されたクリス・ガトリング(トレード回数:8回)、オールNBAサードチームやMIP選出経験もあるデール・エリス(トレード回数:8回)、2007年に最優秀守備選手賞を受賞したマーカス・キャンビー(トレード回数:7回)、3度のNBAチャンピオンに輝いたサム・キャセール(トレード回数:7回)ら、いぶし銀な往年の名手たちが名を連ねる。
だが、プレーをした所属球団数に置き換えると、アリーザを凌ぐ選手が存在する。現役選手では、昨シーズンまで八村塁の同僚だったイシュ・スミスがシャーロット・ホーネッツに移籍したことで、歴代所属球団数が歴代トップタイの12球団に。この記録には、現在解説者を務めるジム・ジャクソンをはじめ、1995年のドラフト1位ジョー・スミス、キャリア晩年のサンアントニオ・スパーズ時代に優勝を経験したトニー・マッセンバーグ、CBA(コンチネンタル・バスケットボール・アソシエーション)でのプレー経験もあるチャッキー・ブラウンが肩を並べている。
Jim Jackson is one of four players to have played for 12 NBA teams in his career (the others are Joe Smith, Tony Massenburg & Chucky Brown). In his 14-year career, Jackson played for the:
Mavericks
Nets
76ers
Warriors
Trail Blazers
Hawks
Cavaliers
Heat
Kings
Rockets
Suns
Lakers pic.twitter.com/8erygb7bRH— NBA Cobwebs (@NBACobwebs) March 30, 2020
ちなみに、アリーザの所属球団10チームという記録は、ブルックリン・ネッツに所属するジェフ・グリーンも同様とのこと。
コービー・ブライアントやダーク・ノビツキーのように、チームのアイデンティティとしてフランチャイズを全うする選手もいれば、上記選手のようにロールプレーヤーとして縁の下の力持ちを任される選手も少なくない。こうして改めてリストを眺めてみると、トレード回数・所属球団数の多い選手はそれだけ、プレースタイルやパーソナリティに需要がある選手ということがわかる結果となった。
文=Meiji
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