2021.08.23

カーメロが最も優勝に近づいた2009年のウェスト決勝、コービーと対戦した当時を回想

09年のウェスト決勝で対決したコービー(左)とカーメロ(右)[写真]=Getty Images
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「俺の方が大きかったから、フィジカルにぶつかっていった。彼は戻ってくると俺にエルボーを入れてきた。俺も負けじとエルボーしたよ。そしたら彼は笑いながら『それだけか?』と話してきたんだ」

 8月20日(現地時間19日)にYouTubeへ公開された「ALL THE SMOKE」に、今夏ロサンゼルス・レイカーズへ移籍したカーメロ・アンソニーがゲスト出演。この人気ポッドキャスト番組内で、カーメロはバスケットボール界のレジェンドで、レイカーズ一筋20シーズンを捧げてきたコービー・ブライアントについて語っていた。

 コービーとカーメロは、2008年の北京オリンピック、12年のロンドン・オリンピックと、2度もアメリカ代表として共演し、金メダルを獲得してきた元チームメート。キャリア19シーズン目となる今季、カーメロは03年のドラフト同期で友人でもあるレブロン・ジェームズとレイカーズで共闘し、王座獲得を目指す。

 そんなカーメロにとって、これまでのキャリアで最もチャンピオンシップ獲得に近づいたのはデンバー・ナゲッツ在籍時の08-09シーズンのこと。開幕直後にアレン・アイバーソン(元フィラデルフィア・セブンティシクサーズほか)を放出し、デトロイト・ピストンズからチャウンシー・ビラップス(元ピストンズほか)を含む3選手を獲得。

 ナゲッツにはカーメロやケニョン・マーティン(元ニュージャージー・ネッツほか)、JR・スミス、ネネ(ともに現無所属)、クリス・アンダーセン(元ナゲッツほか)がおり、特にタフでフィジカルなフロントコート陣は大きな強みとなり、彼らをベテラン司令塔のビラップスが巧みに操り、プレーオフを勝ち上がってカンファレンス・ファイナルへとたどり着いた。

ナゲッツのトップスコアラーとして活躍したカーメロ[写真]=Getty Images

 そのナゲッツとNBAファイナル進出をかけて戦ったのが、コービー率いるレイカーズだった。2年連続のファイナル進出、そして02年以来の優勝を目指すレイカーズは、コービーの周囲にパウ・ガソル、デレック・フィッシャー、ラマー・オドム(いずれも元レイカーズほか)、トレバー・アリーザ(現レイカーズ)といった役者を擁し、盤石の態勢で挑んできた。

 カーメロはこのシリーズを「最高だった」と評し、コービーとのマッチアップについてこう振り返っていた。

「俺とコーブ(コービーの愛称)にとって、あれが思い出なんだ。俺たちはその前にオリンピックへ共に出場して、すごく親密になった。でもいくつか無礼なことがあってね。彼は首あたりまで近づいてきて、俺は当時ブレイズ(編み込み)だったんだけど、彼が触ってきたんだ。で、俺は『俺の頭に触らないでくれ。もう触るなよ』って感じだった。そしたら彼はニヤついていてね。試合前には『さぁ戦争だ』と言ってきた。で、俺も『戦争だ。やってやろうじゃないか。何でも簡単にはいかないぜ』って感じだったよ」。

 両チームによるシリーズは一進一退の攻防で第4戦を終えた時点で2勝2敗のタイとなるも、翌第5戦からレイカーズが2連勝して4勝2敗で突破。コービーは両チームトップのシリーズ平均34.0得点に5.8リバウンド5.8アシストと大車輪の活躍でチームをけん引。一方のカーメロも、チームトップの同27.5得点に4.8リバウンド3.7アシスト1.3スティールをマークし、その年のチャンピオン相手に激闘を演じた。

「あのシリーズで彼が俺に言ってきたことを覚えているよ。『第4クォーターでは俺がお前をガードしてやる。アイツら(レフェリーたち)は俺のファウルをコールしないだろうな。第4クォーターではそんなことしないさ』とね。そこで俺は、彼をめった打ちにしてやろうとしたんだ。俺の方が大きかったから、フィジカルにぶつかっていった。彼は戻ってくると俺にエルボーを入れてきた。俺も負けじとエルボーしたよ。そしたら彼は笑いながら『それだけか?』と話してきたんだ」。

 コービーとカーメロはいずれもエーススコアラーだったため、序盤から相手エースとマッチアップすればファウルトラブルに陥る危険性もあったため、直接対峙することは少なかった。だがカーメロが明かしたとおり、第4クォーターの勝負どころなど、重要な局面では互いをガードする機会もあり、ゲーム中に激しいマッチアップを繰り広げていたことが分かる。

このシリーズでも別格の存在感を見せつけたコービー[写真]=Getty Images

 昨年1月末のヘリコプター墜落事故で他界したことにより、残念ながらコービーはもうこの世にはいない。だがこの男がバスケットボール界に残してきたレガシーは数多くあり、カーメロの脳裏にも焼き付いていることは間違いない。

 NBAファイナルへの道を絶たされた因縁の相手(レイカーズ)へ加入したカーメロにとって、今季は優勝する最後のチャンスかもしれないだけに、是非ともシーズンとおして健康体を維持し、ポストシーズンでも万全の状態で臨んでほしいところだ。

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