2021.11.20

アデトクンボがバックスにいるのはあと数年?「次のチャレンジはここではないかも」

[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 ファッション誌の権威『GQ』がその年の顔となった男性を表彰する“MEN OF THE YEAR”において、年間最優秀アスリートに輝いたヤニス・アデトクンボ。同誌は、ギリシャ郊外の自宅でオフの休暇を過ごしていたミルウォーキー・バックスのエースとコンタクトを取り、オンコートとオフコートの二冠を讃え、同時にインタビューを実施している。

 インタビューでは念願のタイトル獲得となったNBAファイナル2021の振り返りや次男マーベリックの誕生など、アデトクンボが自身にまつわるさまざまなエピソードに言及。とりわけ、未来へのモチベーションを語るパートは興味深いものとなった。

 優勝を決めた2020-21シーズンの開幕前、“バックスでは優勝できない”というレッテルから、アデトクンボは去就が大きく取り沙汰にされていた。それでもチームに残った理由について、バックスのエースは以下のように語っている。

「みんなが僕に『チームを去れ』とテキストを送ってきました。僕だって人間です。偉大なプレーヤーとプレーしたいと思いますよ。KD(ケビン・デュラント)やレブロン(・ジェームズ)、ステフ(ステフィン・カリー)が敵ではなく、味方だったらってね」

「プレッシャーがあってもここに残ることを選んだのは、去る方が簡単だからです。映画に出ることだって簡単なことですよ。僕はそれを望んでいません。人生はつらくて当たり前。僕は1人の男になりたいんです」

デュラントらスターとの共演への切望をにじませつつも、より困難な道を選択した[写真]=Getty Images


 そんな逆境を乗り越えて悲願のチャンピオンに輝いたアデトクンボ。彼の代理人を務めるアレックス・サラトシスは「彼は楽な道を選んだことがないのだと思います。人生のあらゆる局面で、彼は挑戦したいのです」と、その底無しの探究心を賞賛。しかし、NBA優勝という大きな目標を達成した今、グリークフリークは胸のうちに何を思っているのだろうか。

「ひとつのチャレンジは、ここにチャンピオンシップをもたらすことで、僕らはそれを実現しました。とても大変でしたが、やり遂げることができたのです。本当に、とてつもなく険しい道のりでした」

「僕はチャレンジが大好きです。次のチャレンジは何になるでしょう? そのチャレンジは、ここ(バックス)ではないかもしれません。僕と僕の家族は、僕らが愛し、僕らにも愛情を示してくれるこの街に留まることを選びました。ですが、2年後には変わるかもしれません。僕はいつも正直でいるように心がけています。この街、そしてこの街のコミュニティが大好きです。できるだけの恩返しをしたいと思っています」

 この発言は、アデトクンボがバックス退団を示唆しているのだろうか。代理人のサラトシスは、そうではないことを強調している。

「バックスを離れたいとか、そういうことではないと思います。ただ、彼は純粋に『よし、俺は頂点に立った。次の課題はそれを繰り返すことだ』と考えているのではないでしょうか。でも、再びその目標を達成したとしたら、次の課題や壁はどうなるのでしょう? バスケットボールの観点からすると、彼は26歳ですべてを達成したことになります。だから、彼には次の課題を生み出す必要があるのです」

 これまで1試合平均28.0得点、11.2リバウンド、5.8アシストと、今シーズンも躍動を続けるアデトクンボ。果たしてこの先、同選手はどのようなキャリアを描いていくのだろうか。ひとつわかることは、フランチャイズプレーヤーになったとしても、退団を選んだとしても、そこには常に「挑戦」の2文字があるということだ。

文=Meiji

BASKETBALLKING VIDEO