2023.05.28
NBAは5月17日(現地時間16日、日付は以下同)から、今シーズンのチャンピオンシップ獲得をかけた「NBAプレーオフ2023」のカンファレンス・ファイナルがスタート。
この日はウェスタン・カンファレンス決勝の第1戦が行われ、デンバー・ナゲッツがホームのボール・アリーナでロサンゼルス・レイカーズ相手に132-126で勝利を飾った。
そして翌18日からは、ボストン・セルティックスとマイアミ・ヒートによるイースタン・カンファレンス決勝がシリーズ初戦を迎える。この2チームがNBAファイナル進出をかけて戦うのは2020年、2022年に続いてここ4年間で3度目となる。
イースト第2シードのセルティックスは、ファーストラウンドでアトランタ・ホークス(第7シード)を4勝2敗で撃破。続くカンファレンス・セミファイナルではフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(第3シード)相手に最終第7戦までもつれたものの、見事勝利を手にして4勝3敗で制した。
シクサーズとのシリーズでは、ジェイソン・テイタムが平均29.0得点11.1リバウンド5.0アシスト1.4スティール1.3ブロック、ジェイレン・ブラウンが同22.9得点5.3リバウンド3.7アシスト、マルコム・ブログドンが同16.0得点4.4リバウンド3.0アシスト、マーカス・スマートが同15.1得点4.0リバウンド5.0アシスト、デリック・ホワイトが同9.0得点2.6リバウンド、アル・ホーフォードが同7.3得点7.6リバウンド2.7アシスト1.4スティール2.1ブロックをマーク。
一方、第8シードのヒートはミルウォーキー・バックス(第1シード)とのファーストラウンドを4勝1敗で制し、セカンドラウンドではニューヨーク・ニックス(第5シード)を4勝2敗で突破。第8シードがカンファレンス・ファイナルまで勝ち上がるのは、1999年のニックス以来初の快挙である。
イースト準決勝では、ジミー・バトラーがシリーズ平均24.6得点7.2リバウンド6.0アシスト1.6スティール1.2ブロックと八面六臂の活躍。さらにバム・アデバヨが同18.7得点9.7リバウンド2.2アシスト、マックス・ストゥルースが同14.7得点3.5リバウンド、カイル・ラウリーが同12.2得点3.7リバウンド5.7アシスト1.3スティール1.3ブロック、ケイレブ・マーティンが同10.5得点5.2リバウンド、ゲイブ・ビンセントが同10.3得点4.7アシスト1.2スティールと続いた。
セルティックスとヒートは2022-23レギュラーシーズンで2勝2敗。プレーオフでは2020年が4勝2敗でヒート、2022年は4勝3敗でセルティックスと、いずれも6戦以降まで競い合ってきた。
シリーズの注目はやはり両チームのベストプレーヤーの活躍だろう。テイタムは今年のプレーオフ全体で平均28.2得点10.6リバウンド5.2アシスト1.1スティール1.2ブロックを残しており、シクサーズとのシリーズ最終戦では51得点と、NBAプレーオフの第7戦として史上最多得点記録を塗り替えてみせた。
一方のバトラーも同31.1得点6.6リバウンド5.4アシスト1.7スティールと猛威を振るっており、フィールドゴール成功率52.7パーセントの高確率で、フリースローは平均10.1本も獲得して79.2パーセントで沈めている。
セルティックスにはブラウンやスマート、ホワイト、さらにはテイタムといった有能なディフェンダーが複数おり、バトラーには彼らを交互にマッチアップさせるだろう。
だがヒートのベストディフェンダーはバトラーのため、試合序盤からテイタムへマッチアップした場合はファウルトラブルに陥ってしまう恐れがある。この男はトップスコアラーでもあるため、それだけはなんとしても回避したいところ。
そこでエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)はバトラーをブラウンと対峙させる可能性もあるのだが、そうするとストゥルースかマーティンがテイタムのディフェンダーを務めることになり、いずれも苦戦することになるかもしれない。
セルティックスで2番手の得点源を務めるブラウンは、今年のプレーオフで平均24.6得点5.3リバウンド3.4アシスト1.0スティールを残す実力者で、ディフェンスにも秀でたリーグ有数の2ウェイプレーヤーだけに、ヒートは両選手をどれだけスローダウンさせることができるかがカギとなる。
また、セルティックスは先発にホワイトを起用して、ビッグマンのホーフォードがアウトサイドへポジショニングすることで、ヒートのディフェンシブ・アンカーを務めるアデバヨをペイントエリアから引き離し、簡単にヘルプへ行かせないようにする布陣にしてくることも予想できる。
ヒートとしては、レギュラーシーズンでバトラー、アデバヨに次ぐチーム3位の平均20.1得点に5.4リバウンド4.2アシストを残したタイラー・ヒーローが戦列復帰できればオフェンス面の底上げが大いに期待できる。ただ、4月17日に行われたバックスとのシリーズ初戦で右手を骨折したスコアラーは今月16日の時点でシュートもドリブルもできておらず、セルティックスとのシリーズ中に復帰できるかは微妙。
そのため、現地メディアの予想でも『NBA.com』が4勝2敗でセルティックス、『ESPN』でも専門家18人のうち15人がセルティックス、『The Athletic』では匿名のスカウト、コーチ、エグゼクティブがいずれも6戦以降にもつれるとしながら勝者はセルティックス、『The Sporting News』は4勝3敗でセルティックス、『NBC Sports』では4勝1敗でセルティックス、『CBS Sports』は8人全員がセルティックス勝利と、セルティックスがヒートを下して2年連続のNBAファイナルへ進出するという結果に。
ただ、ヒートにはバトラーという1人で試合を支配してしまう闘将がおり、試合中のアジャストに秀でたスポールストラという指揮官の下、その判断に対応できる選手たちがそろっている。それにラウリーやケビン・ラブといったベテラン陣がシリーズを通して、または複数の試合で大活躍できなくとも、1試合や1クォーター、あるいは重要な時間帯でインパクトを与えることはできるはず。
下馬評ではセルティックス優勢も、第8シードながらカンファレンス決勝まではい上がってきたヒートがそう簡単に4度も負けるとは思えないだけに、例年と同様に第6戦以降までもつれることになりそうだ。
文=秋山裕之
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