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6月2日(現地時間1日、日付は以下同)に幕を開ける2022-23シーズンの「NBAファイナル2023」は、ウェスタン・カンファレンスを制したデンバー・ナゲッツと、イースタン・カンファレンス・ファイナルを4勝3敗で突破したマイアミ・ヒートの対決となった。
ヒートは5月30日に敵地TDガーデンで行われた「NBAプレーオフ2023」のイースタン・カンファレンス・ファイナル最終第7戦で、ボストン・セルティックスに103-84で勝利。シリーズ3連勝で一気に王手をかけながら、相手の粘りに遭い、第6戦ではデリック・ホワイトによる劇的なティップショットを許して惜敗して3連敗と、逆王手をかけられていたのだが、見事に第7戦で勝ち切ってみせた。
このチームの指揮官として通算6度目のファイナル進出を決めたエリック・スポールストラHC(ヘッドコーチ)はこう話す。
「プロスポーツというのは物事が思うようにうまくいかないという、まるで人生を反映するようなことがある。避けることのできない挫折の数々が起こり、どのようにして向き合っていくかなんだ。それが活力そのものを奪ってしまう。それがどんな理由であれ、チームへ恥をかかせてしまうこともある。このグループとしては、そのことが自分たちの心を固くし、みんなをより親密にしてタフにしてくれるんだ」
この試合、セルティックスは試合序盤に5点リードをつけて突き放しを図るも、ヒートは徐々に巻き返して逆転すると、そこから選手たちが次々に加点していき、一度も逆転を許さずに快勝。
ジミー・バトラーがゲームハイの28得点に7リバウンド6アシスト3スティール、ケイレブ・マーティンが26得点10リバウンド3アシストと主にこの両選手が引っ張ったのだが、バム・アデバヨやゲイブ・ビンセント、ダンカン・ロビンソン、マックス・ストゥルース、カイル・ラウリー、ヘイウッド・ハイスミスと、コートへ立った選手たちがそれぞれの役割をこなし、チーム一丸となって3年ぶりとなるファイナルへの出場権を獲得したのである。
パット・ライリー球団社長、スポールストラHCという勝負師を擁するヒートは、プレーオフのファーストラウンドでタイラー・ヒーロー、ビクター・オラディポがケガで離脱したため、戦力ダウンに陥っていたのだが、そのシリーズでミルウォーキー・バックスを、カンファレンス・セミファイナルではニューヨーク・ニックスを、そしてカンファレンス・ファイナルでは昨年3勝4敗で悔しい思いを味わったセルティックスを撃破。
このチームでリーダーを務めるバトラーは、ヒートというチームの強みでもある“ヒート・カルチャー”をこう話していた。
「誰かが(ケガで)欠けたら、次に出てくる男がそのギャップを埋めることができる。しかもハイレベルでこなすんだ。で、その男が戻ってきたら、一歩後退してもとの役割に戻る。誰も不満なんて言わない。彼らはいつだって求められたことをしっかりとこなすんだ。だからこそ、俺たちは多くの試合に勝ってきたのさ」
バトラー、アデバヨというヒートの主軸の周りには、マーティンやビンセント、ストゥルース、ロビンソンというドラフト外からはい上がってNBAで居場所を勝ち取った男たち、さらにはラウリーやケビン・ラブといった実績豊富なベテランたちがおり、このチームが勝利を飾るべく、それぞれの役割を忠実にこなすことで粘り強くてタフなチームを形成している。
「俺は彼らのことをロールプレーヤーたちだなんて呼ばない。チームメートたちと言っているんだ。だって、どんな日であろうと役割というものは変わるからね」(バトラー)
現在のロスターのうち、2020年のファイナルでロサンゼルス・レイカーズと対決した経験があるのはバトラー、アデバヨ、ロビンソン、ナゲッツとのシリーズ中の復帰が予想されているヒーローの4選手のみ。
だがラウリーとラブはキャリアのなかで数多くの修羅場を経験してきたベテランで、たとえプレータイムが短くとも、思うようにショットが決まらなくとも、目的意識をしっかりと持ってチームのために献身的な働きをしてくれることだろう。
マーティンやビンセント、ストゥルースらにとっては初のファイナルとなるが、ヒートにはライリーにスポールストラHC、さらにはバトラーといった強力な後ろ盾がいることで、頂上決戦という大舞台でも物怖じせずにプレーするに違いない。
ヒートが2013年以来初、球団史上4度目のチャンピオンシップを勝ち取ることができるかは必見だ。もし今年リーグを制することになれば、第8シードとして初めて王座を獲得するチームとなるだけに、ナゲッツとのファイナルは歴史的なシリーズになるかもしれない。
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