2023.11.26

スパーズ指揮官が試合中に“ファン叱責”も、レナードは「今後もブーイングするだろう」

古巣との試合に臨んだレナード[写真]=Getty Images
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ポポビッチHCが試合中に「我々のスタイルではない。ブーイングをやめてくれ」とファンへ発言

 11月23日(現地時間22日、日付は以下同)。ロサンゼルス・クリッパーズは敵地フロストバンク・センターでサンアントニオ・スパーズを109-102で下して3連勝を飾った。

 クリッパーズではカワイ・レナードがゲームハイの26得点に4アシスト2スティールと活躍。さらにポール・ジョージが24得点8リバウンド2スティール、ジェームズ・ハーデンが16得点6リバウンド9アシスト、イビツァ・ズバッツが12得点8リバウンドを記録。

 レナードにとって、スパーズはNBAキャリア最初の7シーズンをプレーした古巣で、2018年夏にトレードでトロント・ラプターズへ移籍した。するとこの試合の第2クォーター残り3分6秒に、NBAの試合では珍しい出来事が起こった。レナードが1本目のフリースローを決めた後、会場内のブーイングが強まり、スパーズのグレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)がスコアラーテーブルへ向かってマイクを手にした。

「ちょっといいかな。ブーイングをやめて、選手たちへプレーさせないか? これじゃ品がない。我々のスタイルではない。ブーイングをやめてくれ」

 ポポビッチHCは会場に集まったファンへそう語り、フランチャイズの成功に貢献した功労者へのブーイングをやめるように訴えた。その後レナードはフリースロー2本目を決め、この試合でスパーズがリードする時間帯はなかったものの、異例の展開となった。

2014年のファイナルでMVPに選ばれたレナード[写真]=Getty Images

 レナードはティム・ダンカン、マヌ・ジノビリ(いずれも元スパーズ)、トニー・パーカー(元スパーズほか)によるビッグ3とともにスパーズでプレー。2014年には球団史上5度目の優勝に大きく貢献し、ファイナルMVPに選ばれたほか、2015、2016年には最優秀守備選手賞にも選ばれた。

 試合後、レナードは「あの瞬間、僕はただフリースローを決め切ろうとしていた」と振り返り、自身へのブーイングについては冷静にこう話していた。

「スパーズのジャージーを着用していないなら、彼ら(スパーズファン)はたぶんこれから先もずっとブーイングするだろう。それは仕方ないこと。彼らはリーグでもベストなファンの1つで、すごく負けず嫌いだからね。僕がここのコートへ足を踏み入れたら、彼らは対戦相手なんだということを示すのさ」

 スパーズは25日終了時点でウェスタン・カンファレンス15位の3勝13敗。11連敗を喫していることから、ファンとしてはなんとかチームが勝ってほしいと願っているだけに、いくら球団の優勝に貢献した選手であろうと、対戦相手としてリスペクトを込めつつ、ブーイングしていたということなのだろう。

 レナードが「けど僕が路上にいたり、レストランへ行くと、彼らは愛情を示してくれるよ。そういうものなんだ」と語っていたことからも、スパーズファンのレナードに対するブーイングは、あくまでコート上だけのものであり、この男がチームのためにこなしてきたことには感謝しているに違いない。

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