2024.06.08
6月7日(現地時間6日、日付は以下同)にスタートする今シーズンの覇権争いのクライマックスとなる「NBAファイナル2024」は、ボストン・セルティックスとダラス・マーベリックスによる激突となった。
セルティックスにはジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンによるリーグ最高級のウイングデュオを擁し、その周囲にもドリュー・ホリデー、デリック・ホワイト、アル・ホーフォードがおり、ビッグマンのクリスタプス・ポルジンギスが右ふくらはぎの肉離れから復帰すれば、攻防両面で戦力アップが見込める。
一方、マブスの強みはここまでの3シリーズで合わせて平均51.6得点を誇るルカ・ドンチッチ、カイリー・アービングというバックコートデュオ。1970-71シーズン以降、ファイナルへ臨むにあたって、2人合わせて平均50.0得点以上を残す先発ガード陣は、1991-92シーズンにポートランド・トレイルブレイザーズの主力として出場したクライド・ドレクスラー、テリー・ポーター以来初となる。
マブスがウェスタン・カンファレンス・ファイナル初戦でミネソタ・ティンバーウルブズに勝利した後、セルティックスのレジェンドとして知られるポール・ピアースは『Fox Sports 1』の番組“Undisputed”へ出演した際、ドンチッチとカイリーを絶賛していた。
「あの2人はベストなオフェンシブデュオだ。バックコートとしてだけでなく、NBA史上ベストなオフェンシブデュオなんだ。カイリーのスキルセットについてはみんなよく知っている。NBA選手たちから、彼こそが最もスキルの備わった選手なんだと聞いてきた。そしてルカはリーグの得点王だ。あのチームには60得点も可能な選手が2人いる。俺は本当に、あの2人こそが歴代最高のオフェンシブデュオだと思っている」
ドンチッチとカイリーは、どこからでも点を取れるシュート力と多彩な得点パターンを持ち、勝負所にもめっぽう強い。しかも独力で相手守備陣を切り裂き、得点あるいはアシストでチームメートたちを生かすこともできる。
もっとも、現地メディア『The Ringer』の創設者で“スポーツガイ”の愛称でも知られるスポーツ・アナリストのビル・シモンズは、5月31日に公開された自身のポッドキャスト番組“The Bill Simmons Podcast”で、ドンチッチとカイリーが“歴代ベストのバックコート陣”という意見に異を唱えていた。
昨シーズン途中にカイリーがトレードで加入し、ドンチッチとのデュオを結成したものの、この年はチームとしてフィットしきれず、ウェスト11位の38勝44敗に終わり、プレーオフ進出も逃していた。
「(昨シーズンの)あの2人はシーズン終盤に勝率5割を下回っていた。今年は第5シードで、いくつか(プレーオフの)ラウンドを制したがね」と語ったシモンズが“歴代ベストのバックコート陣”として挙げたのは、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーとクレイ・トンプソン。
「あの2人はファイナルへ6度出場してタイトルを4つ獲得している。カリーはオールNBAのファーストチームに4度、セカンドチームにも4度、サードチームに2度選ばれた。クレイはオールNBAサードチーム入りしていて、歴代最高のシュート力を誇るバックコート陣なんだ。それに(レギュラーシーズンで)2シーズン続けて67勝(15敗)、73勝(9敗)を記録した。あの2人が作った壁はものすごく高いと言っておく」
ウォリアーズで“スプラッシュ・ブラザーズ”を形成するカリーとトンプソンは、今シーズンも2人そろって250本以上の3ポイントシュートを成功。両選手が1シーズンにそろって250本以上の3ポイントを決めたのは2015-16、2016-17、2022-23シーズンに続いて通算4度目。
NBAの歴史において、同一チームの2選手がこの記録に到達したのはウォリアーズ以外にいないのだから、カリーとトンプソンは歴代最高のシュート力を有する唯一無二のデュオと言っていい。
マブスのドンチッチとカイリーは結成2年目の段階であり、まだチャンピオンシップを勝ち取ったわけでもない。もしセルティックスから先に4勝してリーグ制覇したとしても、“歴代ベストのバックコート陣”の称号を与えていいのかは微妙。
ただ、ウォリアーズはカリー、トンプソンにドレイモンド・グリーンが加わった“ビッグ3”が絶対的な中心であり、選手としてのタイプもマブスのガード陣とは異なるため、単純比較するのはフェアではないのかもしれない。
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