2025.04.04

「意図的に裏切られた」ドンチッチの新刊著者がマブスの衝撃トレードについて語る

ドンチッチとマブスの間に何が起きていたのか[写真]=Getty Images

■6年間にわたってご機嫌取りをされていた

 ルカ・ドンチッチロサンゼルス・レイカーズ)の書籍『The Wonder Boy: Luka Doncic and the Curse of Greatness』の著者である『ESPN』のティム・マクマホン記者が、今冬に起きたドンチッチのトレードについて、自身の見解を明かしている。

 マクマホン記者は『ESPN』所属以前、ダラスの地元紙『Dallas Morning News』に在籍していたことから、ドンチッチやダラス・マーベリックスと長い間、密接な関係を築いてきた。

 今年2月に起きたスポーツ史に残るトレードには大きな衝撃が走り、ニュースを最初に報じた『ESPN』の名物記者であるシャムズ・シャラニア記者は、アカウントのハッキングが疑われ、自身も投稿の際に動揺が隠せなかったという。

 マクマホン記者のドンチッチに関する著書は、ドンチッチのキャリアと共に、スター選手を満足させるためのフランチャイズのあり方や試みを描いている。同記者は『ClutchPoints』の番組に出演した際に、ドンチッチを絡めた前代未聞のトレードに言及。新刊の内容にも触れながら、リーグ取材と並行しての執筆についても赤裸々に明かしている。

現地時間2月25日、LAで古巣マブスと対戦したドンチッチ[写真]=Getty Images


 マクマホン記者によると、マーベリックスはドンチッチの機嫌を取り続けていたが、トレードによってその状況が裏切りに変わったと感じており、この行為に至るまでの詳細を解説した。

「本件で起こったことですが、基本的にルカは6年間にわたって組織からご機嫌取りをされていました。戦略的観点から見ても、それは当然だったと言えるでしょう。彼はそれほどのスーパースターです。6年間、媚びへつらいを受け、7シーズン目の途中で裏切られたのです。これはただの事実であり、実際に起こったことです。彼は深夜にトレードされ、意図的な不意打ちを受け、意図的なショックを与えられました。なぜなら、彼ら(マーベリックスのフロント)は、この件の情報漏洩を避けたく、ルカにトレードが起こることを気付かせたくなかったのです。ルカの代理人であるビル・ダッフィーにも気付かせたくなかったのです」

■「“忠誠心がなかった”とは誰も言えないはず」

 このトレードの仕掛け人は、マーベリックスのニコ・ハリソンゼネラルマネージャーだった。ドンチッチは今夏、マーベリックスと5年最大3億4500万ドル(約516億3900万円)のスーパーマックス契約を結ぶ権利を所有していた。しかし、ハリソンをはじめとする球団の意思決定者たちは、ドンチッチの健康管理能力に疑問を持ち、新契約を結ぶ自信を喪失。そして、このトレードには、前オーナーのマーク・キューバンの影響力の低下も起因していると語った。

マブスの象徴になることが期待されていたドンチッチ[写真]=Getty Images


ニコ・ハリソンは上層部に働きかけて、パトリック・デュモン(現マーベリックのオーナー)に『ルカとのスーパーマックス契約は悪い投資になる』と説得しました。NBAの関係者の中で、この判断に同意する者を見つけるのは簡単なことではありません。そして、決定的な瞬間だったのは、キューバンがフランチャイズの過半数の株式を売却し、一切の発言権を失ったということでした」

 マーベリックスがドンチッチに不満を抱いていたのは周知の事実である。しかし、マクマホン記者はそれがトレードに至るまでのものとは想像していなかったという。また、球団のフランチャイズプレーヤーとして忠誠を誓ったダーク・ノビツキー(元ダラス・マーベリックス)からのバトンを受け継いだプレーヤーを手放すことは、球団の信念やファンの信頼にも直結することと考えている。

ショックを受けたマブスファンからはハリソンGMの解任を求める声も[写真]=Getty Images


「(ファンの)抗議活動が行われたアリーナの外にある銅像には『忠誠心は決して消えない(Loyalty Never Fades Away)』という文字が刻まれています。私は、ルカの欠点や体調管理、そして時折見られるワガママな態度について報道してきました。しかしながら、彼に“忠誠心がなかった”とは、誰も言えないはずです」

 マクマホン記者が伝えたマーベリックスフロントの裏切り行為。大胆な改革に踏み切り、このネガティブを払拭するためには、結果で証明しなければならないだろう。

文=Meiji

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