2025.02.11

マブスの共同ガバナーであるキューバンはドンチッチのトレード中止を望んでいた?

ドンチッチへ深い愛情を抱いていたマーク・キューバン(左)[写真]=Getty Images

 ダラス・マーベリックスの共同ガバナーの1人であるマーク・キューバンは、ルカ・ドンチッチのトレードを望んでいなかったようだ。

 ドンチッチのトレードは、今冬最大のサプライズとなり、全米は疎か、世界中のバスケファンたちを震撼させた。マーベリックスはマーケット締切目前の2月3日(現地時間2日)、ロサンゼルス・レイカーズとの間で、ドンチッチとアンソニー・デイビスのトレードを敢行。球団のレジェンドであるダーク・ノビツキーからバトンを受け継ぎ、誰しもが新時代のフランチャイズプレーヤーになると思っていた矢先のビッグディール。レイカーズ入団会見ではドンチッチ本人も事実を受け入れられていない様子で、リーグに在籍する他の選手たちは試合中にもかかわらず、その報道に目を疑っていた。

 しかし、NBAインサイダーのマーク・ステイン記者によると、キューバンは決定を下した球団のニコ・ハリソンGMからドンチッチのトレードについて事前通達がなく、報告を受けた際にショックを受けたという。
 
 ステイン記者は、ドンチッチ移籍に関するキューバンの状況を以下のように説明している。

「キューバンが、ルカとADのトレードを知ったときにはすでに手遅れでした。マーベリックスの株式の過半数を保有するマジョリティオーナーのパトリック・デュモントは、彼に相談すらしませんでした。情報によれば、キューバンはハリソンGMにトレードを中止するよう懇願しましたが、そのときにはすでにレイカーズとの間で口頭合意が交わされていました」

『Sports Illustrated』のトム・ディアバーガー記者は、ドンチッチのトレードにおいて、球団内におけるキューバンの影響力低下を指摘している。

かつての名物オーナーも球団内での影響力の低下は否めない [写真]=Getty Images

 キューバンは2023年11月、マーベリックスの過半数株式をデュモントとその家族に売却。デュモントは、ラスベガスに本拠地を置く総合リゾート会社「ラスベガス・サンズ」の社長であり、同氏は現在、チームの経営全般を監督すると同時にガバナーとしてNBA理事会で球団を代表する立場にある。一方、キューバンも引き続き株式の27パーセントを保有しており、これまではバスケットボール運営の管理権を保持しているとされていたが、今回のドンチッチ移籍によって、内情に変化があることが明らかになった。

 キューバンは過去に「ドンチッチを手放すよりも妻と離婚する方が可能性が高い」というユーモアを言うほど、ドンチッチへ深い愛情を抱いていた。

 一方、デュモントはファンの悲しみを理解しつつも、「(マイケル・)ジョーダンやコービー(・ブライアント)のように、勝つことに集中して本当に毎日ハードに練習しなければ、ダラス・マーヴェリックスの一員になるべきではない」と、ドンチッチの労働倫理に疑問を呈し、今回のトレードが勝利のための決断だったことを強調している。

 デイビスはマーベリックスでのデビュー戦から攻守で躍動し、ドンチッチに変わるチームのコアとして存在感を示した。しかし、もしキューバンがオーナーのままであれば、この歴史的なトレードは実現しなかったのかもしれない。
 
文=Meiji

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