2024.07.17

“問題児”ケビン・ポーターJr.を獲得したクリッパーズ…球団社長が契約理由と懲戒処分の可能性に言及

2023年9月に暴行罪で起訴され、直近はギリシャでプレーしていたケビン・ポーターJr. [写真]=Getty Images

 ケビン・ポーターJr.が1年のブランクを経て、ロサンゼルス・クリッパーズNBA復帰を果たす。2023年9月、恋人である元WNBA選手のキズレ・ゴンドレジックさんに対する暴行罪で起訴されたポーターJr.は前所属のヒューストン・ロケッツからオクラホマシティ・サンダーへトレード後に解雇され、ギリシャのPAOKテッサロニキでプレーしていた。

 しかし、クリッパーズのバスケットボール運営部長を務めるローレンス・フランク氏は、彼の前科をなかったことにはしていない。同氏は選手との2年契約を発表してから1週間も経過しないうちに「家庭内暴力を軽視したり、縮小したり、容認したりすることは決してない」と、力強いコメントを発表した。

『AP通信』によると、クリッパーズがポーターJr.と合意に至る前に26週間にもおよぶ虐待に関連するプログラムを完了。保護命令に従ってすべての裁判に出席したことを踏まえれば、ポーターJr.は1年後に罪状を取り下げることができ、事実上は犯罪歴を消すことができるという。

 フランク氏は『The Athletic』の取材に応じ、ポーターJr.との契約について説明。専門家と話し合いながら彼を徹底的に調査し、契約締結に至ったという。

「これは事後に判明したことですが、彼の契約を検討していた球団も同じような調査を行っていたため、我々は彼にチャンスを与える価値があると判断しました。彼はオフシーズンに個人的な改善に取り組み、我々も専門家からの提案をもらいながら責任を負うことになります。前向きな変化は実現可能であり、彼にとってはまたとないチャンスだと考えています」

 また、NBAもポーターJr.のリーグ復帰に伴い、調査を再開しており、結果次第では懲戒処分が下される可能性もあるとされているが、クリッパーズ陣営はそれを理解しており、リーグの決定に従う意向だ。

 クリッパーズは過去にも不祥事を起こした選手に手を差し伸べてきた過去がある。2021年のドラフトでサンアントニオ・スパーズから12位指名を受けたジョシュア・プリモは、2022-23シーズンに球団職員に対して体を露出し、解雇処分を受けていた。そんなプリモにもクリッパーズは救いの手を差し伸べ、トップチームとGリーグのオンタリオ・クリッパーズでプレータイムを与えた。また、クリッパーズは今夏、SNSに攻撃的な動画を投稿した元シャーロット・ホーネッツのカイ・ジョーンズとも1年の無保証契約を結んだ。

 ポーターJr.はかつてロケッツでエースを任せられるほどのタレントで、2022-23シーズンは1試合平均19.2得点5.3リバウンド5.7アシストを記録しており、実力は自他ともに認めるものがある。

 なお、フランク氏は「誰にでも与えられるチャンスではなく、我々は家庭内暴力を軽視することはない」と今回の一件を強調しており、ポーターJr.には間接的に釘を刺している。はたして、ワシントン出身の“問題児”は素行を正し、スター街道に戻ることはできるのだろうか。

文=Meiji

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