2025.05.03
アメリカの高校バスケットボール史上、最も脚光を浴びた選手の1人であるマイキー・ウィリアムズが、セントラルフロリダ大学を離れ、サクラメント州立大学へ移籍すると『ESPN』が報じた。
現在のインスタグラムのフォロワーは、330万人超。その数は並の選手どころか、現役のオールスター選手さえも凌ぐ。地元サンディエゴのサン・イシドロ高等学校に在籍していた1年生のシーズン、ウィリアムズは平均29.9得点を記録し、1試合77得点というカリフォルニア州のフレッシュマン最多得点記録を樹立した。また、class of 2023の同学年には、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)の息子であるブロニー・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)や、2025年の新人王に選出されたステフォン・キャッスル(サンアントニオ・スパーズ)、プロ初年度ながら46試合でスターターに抜擢されたアイザイア・コリアー(ユタ・ジャズ)などがおり、ウィリアムズはこれらの選手よりもパワーランキングで上位に位置し、一時は学年トップ5にも名を連ねるほど、“神童”としてその将来が期待されいた。
しかし、ウィリアムズに待ち受けていたのは明るい未来ではなく、失われた2年だった。2023年4月、同選手は自宅前で車に向け発砲したとされ、9件の重罪で起訴。ウィリアムズには最大30年の実刑判決が下る可能性があったが、最終的には脅迫罪1件の有罪答弁に減刑され、2024年8月に1年の保護観察処分で決着している。しかし、進学先となったメンフィス大学では、司法手続きの長期化により試合出場は疎か、施設への出入りや活動への帯同が禁止されるなど、その環境はドラフト入りに向けた準備とは真逆のものだった。
法的リスクが解消した2024-25シーズンは、セントラルフロリダ大学でのリスタートを選択した。ベイラー大学やカンザス大学など、名門ひしめくビッグ12カンファレンスでの1年は、お世辞にも華々しい結果とはならなかったが、平均14.0分のプレータイムを与えられ、5.1得点、1.9リバウンド、0.7アシストを記録。数字こそ平凡だが、シーズン後半はプレータイムも増加し、最後の6試合ではその半分で2ケタ得点をマークするなど、復調の兆しが垣間見えた。
そして、ウィリアムズは同学年のライバルたちからの遅れを取り戻すべく、来シーズンからサクラメント州立大学で再起を図る。
サクラメント州立大学は今年3月、2000年代にサクラメント・キングスで主力を務め、大学時代にはNCAAチャンピオンに輝いたマイク・ビビー(元メンフィス・グリズリーズほか)を新監督に迎えたほか、現在は名物コメンテーターやご意見番としても名を馳せる歴代最高センターのシャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)をGMに迎え、体制を一新。昨季の成績は7勝25敗とビッグスカイ・カンファレンスを最下位で終える不本意なシーズンとなったが、今秋には新アリーナが完成予定で、ルーク・ウッド学長は「スポーツで大学ブランドを刷新する」と宣言しており、ビビーHCも「都市とファンが愛した勝者のDNAを学生に注入する」と鼻息は荒い。
ビビーHCの地元ネットワーク、シャックのマーケティング手腕、そしてウィリアムズの加入。スターガードが不在の同校では、ウィリアムズにプレータイムが与えられる可能性が高く、ボールを保持し、選手としての真価を証明するためには十分な環境が揃う。
ピック&ロール主体のビビー・システムでポイントガードとして覚醒し、サクラメント州立大学をNCAAトーナメントに導けば、ウィリアムズは挫折を経てブランドを再定義した最初のZ世代スターとして語り継がれるだろう。
キャリアを占う勝負の1年。消えた天才が、再びスポットライトを浴びる。
文=Meiji
2025.05.03
2025.05.03
2025.05.02
2025.05.02
2025.05.02
2025.05.02