2025.05.02
NBAは、6月26日(現地時間25日)にブルックリン『バークレイズ・センター』で開催されるNBAドラフト2025に向けて、アーリーエントリーの候補者リストを発表した。
今回の発表では、アメリカの大学から73名、インターナショナルから27名、Gリーグを含むプロチーム所属選手が6名、総勢106名がエントリーを発表。近年はNIL(氏名、イメージ及び肖像)契約の発展も後押しして大学残留傾向も顕著となっており、エントリーは2015年の91名以来、最少人数となった。
それでも1年で大学生活を終え、19歳でNBA入りを果たす“ワン・アンド・ダン”がスター選手の主要ルートであることに変わりはない。事実、最新版のモックドラフトでは上位をフレッシュマン(大学1年生)が独占。そして、今年はすでにオールスタークラスの選手とも張り合っている次世代の怪物、クーパー・フラッグ(デューク大学)の存在もあり、即戦力級の実力者が揃っている。
本稿では、NBAドラフト2025の予習として、上位指名が予想される注目のフレッシュマンを、最新スタッツやスカウティングレポートをもとに見ていきたい。

[写真]=Getty Images
デューク大学のエースは、ザイオン・ウィリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)や、ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)に匹敵する来シーズンのルーキーとして、世界中がNBA入りを待望している。タレント揃いのデューク大は、惜しくもNCAAトーナメントをファイナル4で敗退となり、タイトル奪還の夢は叶わなかったが、それでもフラッグが与えたインパクトは、プロ入り後の期待を膨らませるには十分だった。
フラッグは、知性と闘争心を兼ね備えながら、コート面積の全てをカバーするプレー領域の広さが魅力の万能型フォワードだ。ピックアンドロールやウィークサイドローテーションにも即応可能で、ディフェンスではペリメーターからリム周りまで至るエリアの隙間を埋める。また、3ポイント成功率も38.2パーセントと好成績で、隙という隙は見当たらない。
この怪物は、まるでジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)のスキルセットに、ショーン・マリオン(元フェニックス・サンズ)のモーターを積んだ選手のようであり、博識者からは「現代版ケビン・ガーネット(元ボストン・セルティックス)だ」と、その完成度の高さを絶賛する声も上がる。
再建中のチームの即戦力となると同時に、球団の未来を託せる選手。1位指名を獲得した球団は迷うことなく、フラッグを指名することだろう。

[写真]=Getty Images
高校時代にマクドナルド・オール・アメリカンとジョーダン・ブランド・クラシックの双方でMVPを獲得した元高校生スターは、カレッジでもその才能を遺憾なく発揮。サウスポーのコンボガードはこの1年間、強豪ひしめくビッグ・テン・カンファレンスを席巻した。
5度のNBAチャンピオンであるロン・ハーパー(元シカゴ・ブルズほか)を父に持つハーパーは、ピックアンドロールで相手のディフェンス網をいなしながら、低重心のドリブルを武器に適切な位置でスコアを重ねていく。巧みなハンドリングとステップで縦への突破からレイアップを沈めるシーンは、ジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)を彷彿とさせる
優れたポジションサイズ、判断力、勝負強さはプロでも即通用する水準に到達済み。バックコートでの存在感と沸かすプレーでは、フラッグを上回る才能と言える。

[写真]=Getty Images
ラトガース大学は、先に紹介したハーパー、そしてベイリーという2025年のドラフトトッププロスペクトの2人を擁していながらも、マーチマッドネス進出を逃すという不本意な結果に終わった。しかし、同校はロスターの半分以上を1年生が占め、まとまりのあるチームという印象からは程遠かったのだ。そうした環境下でも、ベイリーは素晴らしいショーケースを披露し、上位指名を受けるに十分なポテンシャルを示してくれた。
ベイリーは、長身ながらも滑らかなプルアップショットを得意とする、208センチのショットメーカーだ。ブロックやリバウンドなどゴール下での貢献から、そのままボールをフロントコートまで運びフィニッシュまで持ち込む一連の働きは大学でも指折りであり、トランジションでもレーンを一気に埋めてハイライトを量産してきた。
エナジー溢れるダンクなど優れた身体能力に注目が集まるが、ハンドリングやスペースを見つけてからのショットメイキングスキルも抜群。選手としての特徴は、ブランドン・ミラー(シャーロット・ホーネッツ)や、マイケル・ポーターJr.(デンバー・ナゲッツ)、ポール・ジョージ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)と比較され、長身スコアラーを求める球団にとっては格好のプレーヤーとなるに違いない。
ハンドリング、ショットセレクション、華奢な体格など、課題にも言及されているが、プロ入りによって改善されれば、ナショナルレベルでも高水準なプレーヤーに成長する見込みだ。

[写真]=Getty Images
エッジコームは、バハマ生まれの爆発的なアスリートである。
1歩目でオフェンスの勝敗を決し、空中で体勢を崩さずにフィニッシュする姿は、まるで全盛期のビクター・オラディポ(元インディアナ・ペイサーズほか)そのもの。オフボールでは鋭いカッティングやバネのある跳躍からパワフルなダンクを叩き込み、ディフェンスでもその運動能力を活かしながら、優れた嗅覚で今シーズンは平均2.1本のスティールを記録している。
今年のNCAAでも指折りのハイモーターを搭載するエッジコームは、チームの士気を高める素質の持ち主。また、3ポイントの精度が安定すれば、仮にエースクラスに到達できずとも、プラスアルファを兼ね備えた需要の高い3&Dとして、長くリーグに居場所を見つけるとリクルーターたちも太鼓判を押している。

[写真]=Getty Images
今回紹介する選手の中で、フィアーズは最もカレッジ生活でバリューを高めた選手である。選手番付の代表格である『247 Sports』では、全米65位の評価で高校を卒業。しかし、イリノイ州出身のガードは、わずか1年でモックドラフトでトップ10入りを果たすまでステップアップをしている。
フィアーズは、独特なリズムの攻撃スタイルを特徴とするプレーヤーだ。リズムとスピードの緩急、そしてフローターや左右問わないレイアップなど、自身のスキルを巧みに使い分け、オープンコートでは常に相手への脅威となる。NBAレベルで空間が与えられれば、ピックアンドロールやアイソレーションでは、より効率的な得点加算が見込めそうだ。
また、サウスイースタン・カンファレンスのシーズン記録となる183本のフリースロー成功と、クラッチタイムの勝負強さも特筆すべきポイントだ。一方で、3ポイントの成功率はわずか28.4パーセントのため、ガードとしては些か物足りない。また、ターンオーバーの多さや、スイッチディフェンダーとしての働きも求められるNBAにおいてフィジカル面では改善の余地がある。
アウトサイドが成長すれば、NBAでもジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)のように得点を量産できるだろう。
文=Meiji
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