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オーストラリアのシドニーにて9月22日〜10月1日の期間で開催された「FIBA女子ワールドカップ2022」は、アメリカの優勝で幕を閉じた。
4連覇を達成したアメリカは、これまで15年以上チームを引っ張ってきたスー・バード(今シーズンを持って引退)とダイアナ・タウラシが代表から退き、インサイドでも、203センチと圧倒的な強さと高さを持つブリトニー・グライナーが不在(ロシアにて拘束中)。昨年の東京オリンピックから7名が入れ替わっての戦いとなった。
また、WNBAのプレーオフもワールドカップ直前まで行われていたこともあり、チーム全員がそろったのは大会が始まってから。大会公式のSNSではWNBAで優勝したラズベガス・エーシズのエイジャ・ウィルソンが大会2日目となる現地23日の夜に宿泊地に着いた様子が動画で挙げられていたほどだ。
そのような中、22日の大会初日は、前回3位のベルギーと対戦。12名がそろわない中だったが、ブリアナ・スチュワートの22得点の活躍もあり貫禄勝ち。その後も、3戦目では快勝を重ねていた中国に勝利し、4戦目には1試合得点の大会記録となる145点を奪って韓国を退けた。決勝トーナメントに入っても、準々決勝でセルビア、準決勝ではカナダに勝利し決勝へ。決勝では、グループフェーズでも対戦した中国と再戦となった。
オーストラリアには在住の中国人も多く、決勝戦は中国の応援で埋め尽くされたが、時折起こるブーイングも意に介せず、アメリカは83−61で完勝。3戦目から出場したウィルソンの19得点をはじめ、4人が2桁得点を挙げる働きを見せた。
「私たちにはプレッシャーが伴いますが、そのプレッシャーに対処し、可能な限り最高のパフォーマンスを発揮できる素晴らしいプレーヤーがいます」と、優勝後に語ったのはキャプテンのスチュワート。やっぱり強い!と思わせた女王の戦いぶりは見事だった。
そのアメリカと決勝で対戦した中国は、大会序盤から実力をいかんなく発揮。初戦で韓国を107−44と叩きのめすと、アメリカ戦以外は負けなしで勝ち進む。そして準決勝では地元オーストラリアと対戦。勝負は最後の最後までもつれる大接戦となったが、61-59で競り勝ち、1994年以来の決勝進出を果たした。
一方、中国との死闘には敗れたものの、3位決定戦に勝利し、地元開催となった大会を銅メダルで終えたオーストラリア。
今大会は、41歳で現役復帰したローレン・ジャクソンに注目が集まったが、そのジャクソンは、試合に出れば必ず得点を挙げ、その度に観客も歓喜の渦に。ハイライトは3位決定戦で、それまでのアウトサイドシュートが中心のプレーから、全盛期を彷彿とさせるようなインサイドでの力強プレーでも加点。終わってみればジャクソンは30得点を挙げて勝利に大きく貢献した。
来年には女子アジアカップが開催予定(開催場所・時期は未定)。これまでどおりのレギュレーションならパリオリンピック予選の出場権をかけた戦いとなる。それだけに今大会で存在感を示した中国とオーストラリアは日本に大きな壁となって立ちはだかるだろう。中でも中国は、確実に成長の跡を見せており、6連覇を目指す日本にとって脅威となる存在だ。
今回は、ヨーロッパのチームがベスト4入を逃す結果となった。昨シーズンまでデンソーアイリスのヘッドコーチを務めていたマリーナ・マルコヴィッチ氏が率いるセルビアは、2021年ユーロバスケット(ヨーロッパ大陸選手権)を制したものの、今は世代交代の時期。それでも、グループフェーズでは2戦目で日本を見事封じるなど、指揮官の策が冴え、確実に白星を重ねてのベスト8入りだった。準々決勝ではアメリカに敗れたものの、第1クォーターでは健闘を見せるなど、マルコヴィッチHCも選手も試合後の表情には達成感にあふれていたのが印象的だった。
新指揮官のもとで出場したフランスは、WNBAでも活躍したマリヌ・ジョアネスが大会直前、シドニー入りしてから負傷となりエントリー変更に。ベルギーもエマ・メッセマンが大会終盤に足を負傷し、グループフェーズ最終戦からは欠場を余儀なくされた。上位進出が期待されたこの2カ国はエースを欠いたことも影響し、準々決勝で姿を消すこととなった。
今大会は前回大会の16チームから参加チームが12に減ったものの、スポーツ大国・オーストラリアを舞台に集まった観客は合計14万5519人。女子ワールドカップでは史上最高の観客数を記録。
取材・文=田島早苗
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