2023.08.23

【ワールドカップ注目国】フランス代表「国際大会での勝ち方を熟知、ベテラン揃いの金メダル候補」

優勝候補の一角に数えられるフランス代表[写真]=Getty Images
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者に。国内だけでなく、取材フィールドは海外もカバー。日本代表・Bリーグ・Wリーグ・大学生・高校生・中学生などジャンルを問わずバスケットボールの現場を駆け回る。

8月25日から9月10日にかけて開催される「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」。4年に一度の世界一決定戦を前に、バスケットボールキングでは今大会で注目すべきナショナルチームをピックアップした。

文=小永吉陽子

■強みは継続性とチームケミストリー

 経験豊富な選手を擁し、優勝候補にあげられているフランス。ワールドカップの出場回数は8回目、2006年大会からは5回連続での出場。過去の最高成績は3位で、2014年、2019年大会に連続して銅メダルの成績を収めている。

 フランスが世界屈指の強豪であることを示したのは2014年大会。開催国で優勝候補だったスペインに準々決勝で勝利し、世界大会で初となるトップ4入りを果たした。3位決定戦でリトアニアを制した長時間にわたるファウルゲームは、ワールドカップにおける名勝負といっていいだろう。

今大会が“最後のワールドカップ”となると予想されるニコラ・バトゥーム [写真]=Getty Images

 前回の2019年大会でも準々決勝で優勝候補のアメリカを89-79で下し、銅メダルまで勝ち上がっている。そして、東京2020でも予選ラウンドでアメリカに勝利。決勝ではアメリカに敗れるものの、堂々の銀メダルへと躍進したのだ。これまで、ビッグゲームにおいてスペインとアメリカの野望を打ち砕いてきたフランスは、正真正銘の金メダル候補として今大会に臨む。

 フランスの強みは、ここ数年、主軸が変わらない安定感とチームケミストリーにある。2009年から長きに渡ってフランスの指揮を執るヴィンセント・コレットヘッドコーチのもと、強力なディフェンスからカウンターに持って行くハーフコートバスケを展開。ベテラン揃いなだけにFIBA大会での勝ち方を熟知しており、タフな粘り強さも持ち併せている。

 チームの主軸は、2016-17から2021-22まで6シーズン連続でNBAオールディフェンシブファーストチームに選ばれらインサイドのルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)、得点源のエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)とニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)らNBA選手だ。また、 ケガなどもあって休養していたベテランのナンド・デ・コロが代表に復帰したのも心強い。このナンド・デ・コロに加えて、グーション・ヤブセレ、エリー・オコボなどもNBAでのプレー経験がある。

フランスの守護神として金メダル獲得を目指すルディ・ゴベア [写真]=Getty Images

 大会直前に行われたリトアニアとの強化試合では、フォーニエを足の故障で欠きながらも90-72と快勝。日本との強化試合からはフォーニエが復活。昨季、ニックスではプレータイムを得られなかったが、フランス代表ではエース格であることを証明してみせた。

 残念なのは、今年のNBAドラフトで全体1番目の指名を受けたビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)が大会を辞退したことだ。ゴベアとのツインタワーが実現していれば、強力な高さをもってインサイドを制圧したことだろう。その楽しみは来年のオリンピックまでお預けとなったが、ウェンバンヤマ抜きでも厚い選手層を誇るフランスは優勝候補であることに変わりはないだろう。

日本代表・原修太とマッチアップするエバン・フォーニエ。フランス代表は日本との強化試合に88-70で勝利している [写真]=Getty Images

【フランス代表メンバー】
#0 エリー・オコボ(ASモナコ)
#00 シルバン・フランシスコ(バイエルン・ミュンヘン)
#5 ニコラ・バトゥーム(ロサンゼルス・クリッパーズ)
#7 ガーション・ヤブセレ(レアル・マドリード)
#10 エバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)
#12 ナンド・デ・コロ(ASVEL)
#17 バンソン・ポワリエ(レアル・マドリード)
#22 テリー・ターペイ(ASモナコ)
#24 ヤクバ・ワタラ(ASモナコ)
#27 ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
#30 イサイア・コルディニエ(ボローニャ)
#93 ムスタファ・フォール(オリンピアコス)

BASKETBALLKING VIDEO