2019.05.12
頂点を極めた経験が、これほどまでに大きな意味を持つものだということを感じずにはいられない。4月27日、28日に行われた「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」クォーターファイナルで、アルバルク東京は新潟アルビレックスBBを連勝で撃破。ワイルドカード1位で中地区覇者に挑む形であり、過去の対戦成績でも分の悪い相手にアウェーで臨む厳しい条件だったが、A東京は頂点への道筋を踏み外さなかった。
この2試合、A東京は田中大貴のコンディションが万全でないという難題も抱えていた。そのハンデを解消したのが、代わってスターターに入った馬場雄大だ。「僕がやるしかないという思いでした」という馬場は1戦目で14得点、2戦目で17得点。ピック&ロールや1on1、ワイドオープンなどあらゆるシチュエーションでジャンプシュートを沈め、チームオフェンスの歯車を回し続けた。
対戦相手の新潟は今季ディフェンス面で特に進境著しく、A東京としても崩すのは容易ではなかったはずだ。その新潟に対する攻め方について問うた際の馬場の回答に、昨季王者として各チームから標的にされたA東京の強みが表れている。
「レギュラーシーズンの60試合、僕たちはいろんなディフェンスをされていろんな対応をしてきた。その経験があったので昨日今日は潤滑にやれましたし、60試合やってきたことは間違いじゃなかったんだと思います。この2シーズン勝ち越していなかった相手なので、このハードさでプレーすればどんな相手でも勝ちきれると実感できました」
そしてまたチームとしての準備も、連日の大熱戦においてA東京が新潟を上回った部分。馬場いわく「この2試合に懸けてきたところもあったので、準備の差はあったのかなと思いますし、コーチの今までの経験が活きたんじゃないかと思います」。コーチングキャリアの長いルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、シーズンをとおして“最後に勝てるチーム”になるための過程を着実に踏んできた。
「常日頃からCSの最中のような練習をすることと、レギュラーシーズンもその試合の重要性を感じながらプレーすること。そのメンタリティーでやっていけば、CSでもそれが当たり前になる。あとはそこから気持ち次第でもう一段階ギアを上げられるかどうかです」
新潟との激戦を制した時点では対戦相手が決まっていない状況だったが、馬場は「自分たちのバスケをすれば負けることはない」と豪語。自信を再確認した今、連覇へ向けて視界は良好だ。
文=吉川哲彦
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