2019.05.21
「B.LEAGUE FINAL 2018-19」はリバウンド数で明暗が分かれた。総リバウンド数は敗れた千葉ジェッツの36に対し、勝利したアルバルク東京が49。A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ、長身センターのアレックス・カークが試合後、ビッグゲームにおける「リバウンド」の重要性を口にしたとおり、制空権を握ることができたのは大きかった。
その空中戦で主役を演じたのは外国籍選手ではなく、馬場雄大だった。レギュラーシーズンでは1試合平均3.7にとどまったが、この日は先発起用に応え9リバウンドのカークを上回る、シーズン自己最多の12リバウンドをマーク。自慢の跳躍力と粘り強さを発揮し、大型選手がひしめく戦場で何度もボールをもぎ取った。これは千葉にとって誤算だっただろう。
ゴール下での奮闘もさることながら、背番号6は持ち前のオフェンス力も存分に見せつけた。第1クォーター開始3分58秒、十八番とも言えるスティールからのワンハンドダンクで12-6とリードを拡大。第2クォーター残り2分24秒にはペイントエリアに進入し、30-30の同点に追いつくバスケット・カウントを決めた。そして64-45で迎えた第4クォーター、相手の猛追を受け一時は64-59と5点差まで詰め寄られるも、残り3分31秒、同2分32秒にジャンプショットを決め、悪い流れをせき止めた。
チームは71-67で勝利を飾り、Bリーグ2連覇を達成。12得点12リバウンド6アシスト2スティールの活躍を見せた馬場は文句なしのチャンピオンシップMVPを獲得した。もっとも、記者会見で「一番良かったプレー」を問われると、展開を変えるような得点やボール奪取などではなく、「周りに(効果的な)パスを配給したこと」を挙げた。
ファイナルでのパフォーマンスを見てもわかるとおり、馬場はオフェンスだけでなく、リバウンドやディフェンス、運動量なども特長とする。抜群の身体能力を活かしたダンクなど派手なプレーに目を奪われがちだが、セルフィッシュとはほど遠いチームプレーヤーで、泥臭い仕事も率先してやり、味方にお膳立てもする。
自身も以前こう話していた。「自分は1試合で30点取るタイプではなく、得点、リバウンド、アシスト、平均的に記録するタイプ」。ファイナルでは、まさにそういう働きを見せ、それがシーズン最後の大一番での勝利につながった。
プロ2年目の今シーズンを迎えるにあたって、馬場は宣言していた。「自分がチームを引っ張るつもりでプレーする」。レギュラーシーズンでは出場した59試合中、先発は12試合。それでもチャンピオンシップでは全7試合でスタメン出場を果たし、プレータイムを伸ばすと同時に存在感を高め、言葉どおりチームをけん引した。
まだ23歳、成長の余地は十分にあり、見据えるゴールもはるか先にある。「これが終わりではなく始まり。満足せず、3連覇を目指してやってきたい」。現役大学生プレーヤーとして昨シーズンBリーグ初制覇&新人賞受賞、今シーズンは連覇を果たしチャンピオンシップMVP、そして3連覇へ――。
日本バスケ界のエリートコースを歩み、日本代表でも欠かせないピースとなった馬場のさらなる飛躍が楽しみだ。
文=安田勇斗
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