2019.10.30
Bリーグの3代目王者を決める最終決戦、「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」のファイナルが5月11日に横浜アリーナで開催。会場は過去最高12972名の観衆が集結し、千葉ジェッツとアルバルク東京のチームカラーでもある赤一色に染まった。
昨季王者のA東京は今シーズン、最も多くの公式試合数をこなし、タフな1年を過ごした。チャンピオンシップにはワイルドカード上位で進み、中地区王者の新潟アルビレックスBB、西地区王者の琉球ゴールデンキングスをいずれも敵地で下すと、東地区王者も撃破して連覇を成し遂げた。
レギュラーシーズンからスタートで出場し続け、激しいディフェンスでチームにけん引してきた菊地祥平は、この日は約3分の出場であったものの満面の笑みでミックスゾーンに現れた。
「うれしいですね。後付けになってしまうけど、中地区チャンピオンと西地区チャンピオンを倒して、そして東地区チャンピオンである千葉さんを倒して優勝することができたので。全チームがアルバルクに対してという想いで立ち向かってきて、苦しいシーズンになるのはわかっていたけど、その中で正中(岳城)のような出られない選手から若手でたくさん出る選手まで、みんながやるべきことを理解して遂行できたシーズンだったと思っています」
続けて、ファイナルでの勝因をこう振り返った。
「やはり千葉は昨シーズン以上の怖さがありましたし、できるだけ彼らの良さを消すことができればと思っていました。千葉が最高勝率、僕たちがワイルドカードという立場の中、千葉に分があると思われているかなと感じていて。相手のいい部分を消して、自分たちのいい部分を出せば勝てるというのを信じていたので。そういった面では自分たちの長所が出せたのが良かったですね」
チャンピオンシップではチャレンジャーとして戦う精神を持って厳しいアウェーに乗りこんだ。ファイナルの舞台にたどり着くまでも新潟、沖縄という移動距離に加え、沖縄から帰ってきて中3日での頂上決戦。チームの誰もがギリギリの状態で戦った格好となったが、菊地はアウェーでの戦いが頂点を目指すモチベーションになったと語る。
「コーチも1つ2つギアを上げて戦おうと僕たちを鼓舞してくれましたし、僕たち自身もワイルドカードで出場しているのでチャンピオンシップでのアウェーでの戦いは厳しくなると想像していました。その中でアウェーの環境で戦えたというのはいいモチベーションになりました。今日も千葉さんの声援が大きくなる場面もありましたが、新潟や琉球の素晴らしいホームコートで戦えた経験を出せたと思います」
さらにこの日はA東京ファンの大声援が選手たちを後押しして、力を与え続けた。「アウェーでの戦いが続くことなって、応援になかなか来れない現実があって、それは僕たちの責任でもあったと思います。それでもアウェーでの戦いを勝ち抜けば昨シーズンのファイナル以上に横浜アリーナに来ていただけるという思いを持っていたので、今日の大声援は本当に力になりました」と感謝の言葉を口にした。
3連覇に向けた来シーズンへは「今は考えたくないです、ゆっくり休みたいですね」と笑顔で率直な気持ちを語った菊地だが、すでに今まで以上にベテランとしての仕事を遂行する覚悟を持っていた。
「今シーズンはチーム状況も昨シーズンより不安定な時期があって、そんな時にルカ(パヴィチェヴィッチヘッドコーチ)から正中と竹内(譲次)と僕に『しっかりしろ』と喝を入れられた時がありました。そういった意味では優勝を果たしてルカの期待に応えられたかわからないですけど、自分たちなりには仕事はできたかなと思っています。来シーズンはもっともっとキツいシーズンになると思うので、僕らベテラン3人でしっかりと共通認識を持ってやりたいと思います」
優勝を果たしたことによって、彼にはシーズン中にセーブしてきた大好きなスイーツがご褒美として待っている。その話題に及ぶと「ここからはハメを外しすぎるのは良くないと思うけど、何も考えずにこのあと1週間くらいは大丈夫かなと思っています。普段は練習や試合を考えて食事しているので、ここからはもう好きなことをして、好きなものを食べて、子どもたちと遊ぶということができるのでホッとしています」と満面の笑顔を見せた。
ディフェンス面で相手にとって非常に嫌な存在となり、ハードワークを続けてチームに貢献した菊地。彼のハードワークはA東京にとって、非常に欠かせない。大好きなスイーツで心身ともにエネルギーを補給して、来シーズンはよりパワーアップしてコートに戻ってくるだろう。彼の笑顔がそう物語っていた。
文=鳴神富一
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