2024.10.03
名将ショーン・デニスヘッドコーチのもとで3シーズンにわたって進化を重ねてきた名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、集大成と位置付けた昨シーズン、クラブ史上初の地区優勝を手にした。初めてホームで開催したチャンピオンシップでは、長く跳ね返されてきたクォーターファイナルの壁を越えたが、セミファイナルで広島ドラゴンフライズに惜敗した。
ここ2シーズンは継続路線を貫いてきた名古屋Dだが、今シーズンは積極補強を敢行。琉球ゴールデンキングスのエースを務めた今村佳太、茨城ロボッツのB1残留の救世主となったルーク・メイ、昨シーズン王者の広島からディフェンス力のあるアイザイア・マーフィーなどが加入し、頂点を狙うというクラブの覚悟が伝わる陣容となった。
ハードなディフェンスからアップテンポで3ポイントシュートを高確率に決めるバスケスタイルに変わりないが、プレシーズンの戦いを見ると、よりテンポが速くなっている印象を受ける。「デニスHCのバスケは噛み合うまでにすごく時間がかかる」と、中東泰斗も齋藤拓実も口をそろえるが、連携ミスがあっても個々の選手の火力の高さでカバーできている。激戦の中地区であっても、結果を残しながらチームビルディングを進める“両立”ができそうだ。
現在のホームアリーナであるドルフィンズアリーナでの戦いは今シーズンが最後となる。再び真っ赤に染まったドルアリでチャンピオンシップを戦い、今シーズンこそファイナルへ。選手もドルファミも願いはひとつだ。
今村、マーフィーなどの加入により、複数のポジションでプレーできる選手が増え、さらにポジションレス化が進んだなかでも、1番(ポイントガード)から4番(パワーフォワード)までどのポジションでもプレーできる中東のユーティリティ性は際立つ。今シーズンはポイントガードとしての起用が増えそうだ。
また、あえて今シーズンの名古屋Dの不安材料を挙げるとすれば、昨シーズンのキャプテンを務めた須田侑太郎(現シーホース三河)のリーダーシップの部分だろう。デニスHCは「うちのチームは全員がリーダーシップを持っているので、心配していない」と話すが、どんなチームにも長いシーズンでうまくいかない時期はあるもの。バスケ人生で初のキャプテンを務める中東がいかにチームをまとめ上げられるかに注目したい。
文=山田智子
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