2025.08.07

Bリーグとともに挑むプーマの新戦略…千葉ジェッツと築くバスケ市場への挑戦

プーマ ジャパンの安藤悠哉氏にバスケへの取り組みになどについてインタビュー [写真]=兼子愼一郎
バスケットボールキング編集部

プーマ ジャパンは2025年7月2日、Bリーグの千葉ジェッツとパートナーシップを締結した。今回の契約は、サッカー、ランニング、ゴルフに続く”第4の柱”としてバスケットボールを据える同社のパフォーマンスカテゴリー強化戦略を象徴するもの。同社の日本市場におけるバスケットボール事業の方向性や展望について、プーマ ジャパンのマーチャンダイジング本部マーチャンダイザーの安藤悠哉氏に話を聞いた。

インタビュー=入江美紀雄
写真=兼子愼一郎

“第4の柱”としてのバスケットボール、その挑戦

日本バスケの盛り上がりを自身の周囲からも感じているという安藤氏 [写真]=兼子愼一郎

――今回の千葉ジェッツとの契約は、プーマにとってどのような位置づけになりますか?
安藤
 弊社にとってバスケットボールは、サッカー、ランニング、ゴルフに続くパフォーマンスカテゴリーの”第4の柱”として明確に位置づけています。グローバルではアメリカ市場を中心にすでに高いシェアと評価を得ており、日本でもようやく本格的に取り組む段階に入りました。今回の千葉ジェッツとの契約は、その象徴的なスタートとなるものであり、非常に意義のある取り組みです。

――日本国内でのバスケットボール人気について、どのように分析されてますか?
安藤
 代表チームの国際大会での活躍、特に女子の東京オリンピックでの銀メダル獲得や八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)らのNBAでの実績などをきっかけに、競技全体の関心が高まっていると感じています。私の身の回りでも、これまでバスケに縁がなかった人たちが試合を観に行くようになったという声を聞きますし、Bリーグ自体のエンターテインメント性も非常に強く、今後の成長に大きな可能性を感じています。

――バスケットボールという競技の魅力を、どのように捉えていますか?
安藤
 競技としての迫力やスピード感はもちろん、NBAに代表されるように、オフコートでのファッション性やカルチャーとの親和性も大きな魅力です。プーマはパフォーマンスとファッションの両面を強みとするブランドなので、バスケットボールとの相性は非常に良いと考えています。

千葉ジェッツとの共創と、育成層へのアプローチ

今後は育成層へのアプローチも進めていくとのこと [写真]=兼子愼一郎

――千葉ジェッツとの取り組みについて、具体的な内容を教えてください。
安藤
 ユニフォーム開発においては、弊社の製品部とジェッツさんのデザインチームが連携し、素材やフィット感、デザイン面でも多くの工夫を凝らしました。立体感のあるロゴや、地元・船橋を象徴する要素、チームスローガンのあしらいなど、ファンの皆さんにとっても特別な一着になるようこだわっています。

――若年層へのアプローチは、どのように展開していく予定ですか?
安藤
 私たちがメインターゲットと位置づけているのは中高生を中心とする”シリアスプレーヤー”層です。まずは影響力のある選手やチームとの契約を進め、試し履きの機会(トライオン)を通じて、実際に体感してもらうことで認知を広げていきたいと考えています。大学・高校世代を含め、段階的に展開していく方針です。

――バスケットシューズの新モデルについて教えてください。
安藤
 7月21日に発売した「ALL PRO NITRO™ 2」は、弊社独自のクッショニング素材”NITRO™ SQD FOAM”を採用し、反発性と安定性の両立を実現しています。PWR TAPE SQDによるサポート性能や、20パーセント以上のリサイクル素材を使ったメッシュアッパーなど、機能性と環境配慮を兼ね備えたモデルになっています。さらに、日本市場のニーズに応じたモデル開発も進めており、たとえば「スカイブレイク」は日本発信のインプットに基づき、幅広の足型に対応する設計や軽量構造、接地感の強化などが盛り込まれています。こうした製品は海外市場でも販売される予定で、日本からの提案がグローバル展開につながる例としても注目しています。

7月21日に発売された「ALL PRO NITRO™ 2」 [写真]=兼子愼一郎

――選手との契約やサポート体制についてはいかがですか?
安藤
 現在は原修太選手(千葉ジェッツ)、佐々木隆成選手(三遠ネオフェニックス)と契約していますが、今後もパフォーマンス面でプーマの価値を伝えてくれる選手との連携を拡大していきたいと考えています。単に有名というだけでなく、ブランドの理念に共感してくれる選手と一緒に歩むことを大切にしています。

――最後に、今後の展望についてメッセージをお願いします。
安藤
 日本でのバスケットボール市場への本格参入は、我々にとって”新たな挑戦”です。もちろん簡単な道のりではありませんが、千葉ジェッツとの連携を皮切りに、着実にカテゴリーを育てていきたいと考えています。

 ファッションアイテムとしても人気の「スウェード」のルーツは、1970年代にNBAで活躍していたウォルト・フレイジャーが着用していた「クライド」であることでも知られています。そうした歴史的背景から見ても、実はプーマとバスケットボールは昔から深いつながりがあったとも言えるかもしれません。

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