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日本バスケットボール協会(JBA)は10月17日、都内で「強化委員長就任および強化体制の一部変更」に関する記者会見を実施した。9月27日の評議員会で強化委員長就任が決定していた伊藤拓摩氏(Bリーグ・長崎ヴェルカ代表取締役社長兼ゼネラルマネージャー)が、メディアの前で初めて今後の方針を語った。
会見では渡邊信治事務総長がまず登壇し、組織再編の背景と目的を説明。続いて伊藤氏が新体制の方向性や強化方針について自らの言葉で明らかにした。
渡邊事務総長は冒頭、「技術委員会という名称が活動実態にそぐわない部分があった。より包括的かつ中長期的に強化を考える組織として“日本バスケットボール強化委員会”へ名称を変更した」と説明した。2016年の協会再編時にFIFAやJFAの制度を参考に設置された「技術委員会」からの転換であり、「単なる技術議論にとどまらず、育成から代表強化、3x3やエリートコーチ養成、スポーツサイエンスまでを横断的に担う」と語った。
新体制では、男子・女子・アンダーカテゴリー・3x3の各代表強化部会を中核に、ユース育成、エリートコーチ養成、スポーツパフォーマンス、テクニカルハウスなどの部会を設置。女子代表の強化副委員長と部会長には萩原美樹子氏(東京羽田ヴィッキーズ)、3x3担当は調整中で、男子代表強化部会長には安永淳一氏(琉球ゴールデンキングス)が就任する。さらに代表活動を統括する新ポスト「代表ダイレクター」を新設し、選手招集や合宿調整などチーム運営全体を担う体制とした。
渡邊事務総長は「長崎ヴェルカとの兼任となるが、業務の整理と分担を行うことで十分に遂行可能と判断した。むしろ現場との距離が近いことが強化面でのメリットになる」と述べ、Bリーグと代表活動の橋渡し役として期待を寄せた。
一方、壇上に立った伊藤氏は「このような重要な役割を任せていただき、身が引き締まる思いです」と語り、「日本バスケットボール界はこの10年で大きく発展した。その歩みを支えてきた多くの先輩方の熱い思いを引き継ぎたい」と決意を示した。
短期的な目標として「3人制・5人制、男女すべてのカテゴリーで2028年ロサンゼルスオリンピック出場」を掲げ、「最強のチーム、そして最高の一体感をつくり出していきたい」と力を込めた。島田慎二会長からは「代表活動を全面的にサポートする」との後押しを受けたといい、「精神面だけでなく予算面でも力強い支援をいただいている」と語った。
さらに伊藤氏は長期的ビジョンとして「世界を意識し、世界を知り、触れ、現状を把握することが重要」と強調。「世界基準での育成と再現性のある強化を実現するため、スポーツパフォーマンス部会の役割も拡充する。フィジカルやサイエンスの分野で日本が当たり負けしない体をつくっていく」と話した。
代表活動に関しては「まず日本代表、日本バスケットボールへの思いがあるかを最優先にする。それがない選手は招集しない」と明言。「強いチームとは技術だけでなく、一体感と高い志を持つ集団である」との姿勢を示した。海外組の招集については「それぞれのモチベーションを理解し、チームで共有することが一体感の出発点」と語った。
また、11月に予定されている男子ワールドカップ予選(第1ウィンドウ)については、「Road to LAを考えた時に非常に重要な大会。協会、Bリーグ、クラブ、コーチ、GM、全員で危機感を共有することが必要」と述べ、国内全体での意識統一を呼びかけた。
最後に伊藤氏は「これまでも選手、コーチ、スタッフ、家族、そして支えてくれるすべての方々とともに日本バスケットボールは成長してきた。今後も日本一丸となって世界基準の強化を進めていきたい」と締めくくった。