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「不思議な感情」から3日後、強い覚悟で24得点を挙げたホーキンソン…桶谷ジャパンでも“強み”生かし貢献

韓国戦で日本代表を支える活躍を見せたホーキンソン[写真]=fiba.basketball
スポーツライター

■「試合を見ていると少し緊張しました」

 男子日本代表(FIBAランキング22位)が「FIBAバスケットボールワールドカップ2027 アジア地区予選」で韓国代表(同56位)に78-72で勝利し、価値ある一勝を手にした3月1日の3日前、ジョシュ・ホーキンソンの心中に「不思議な感情」が湧いていた。

 JAPANのユニフォームを着た仲間たちが目の前のコートで中国代表(同27位)と熱戦を繰り広げている。いつもであれば自身もその渦中に身を投じているはず。しかし、この日はベンチ裏から試合を眺め、応援で声を枯らす自分がいた。

 2023年に日本国籍を取得して以降、トム・ホーバス前ヘッドコーチ(HC)の体制下で帰化選手枠の一番手として定着したホーキンソン。しかし、桶谷大HC体制での初陣となった中国戦は「コンディションを見たときに間違いなくアレックス(・カーク)の方が良かった」(桶谷HC)という理由でロスター外に。2月28日にあった韓国戦の前日練習後、ベンチ裏での心境をこう振り返っていた。

「すごく不思議な感情でした。プレーしている時は全然緊張しないんですけど、ベンチの後ろから試合を見ていると少し緊張しました。チームメートを応援すること、感じたことを選手に伝えることを心掛けましたが、いま振り返っても、試合を外から見るのは不思議な気分でした」

 言葉にしづらい感情に「悔しさ」が含まれていたかは、このコメントからは読み取れない。ただ、ひとりの選手として、そして代表チームをけん引してきた主力として、コートに立ちたい気持ちは当然あったはずだ。サイズがそこまで大きくはない韓国戦に向けて「僕自身のペイントエリア内での働きが重要になる」と決意を語る姿からは、強い覚悟がうかがえた。

■泥臭い役割を徹底…クラッチタイムに決定的な仕事

[写真]=fiba.basketball


 迎えた韓国との2勝1敗同士の大一番。ホーキンソンは晴れてベンチ入りを果たすと、開始早々、齋藤拓実の華麗なバックビハインドパスを受けてトップから3ポイントシュートを射抜く。その後は献身的なスクリーンやリバウンドからのセカンドチャンスポイント、相手のドライブに対する素早いカバーなど、泥臭い役割を徹底した。

 韓国に一時6点のリードを許した第4クォーターでは、残り5分を切ってからのクラッチタイムで決定的な仕事を連発する。それまでチームとして対応に苦慮していた相手のハードショーに対し、齋藤へのスクリーンからショートロールし、ポケットパスを受けて柔らかいフローターシュートを沈める。残り約1分で齋藤が一瞬フリーになり、接戦に決着をつける3ポイントシュートを決めた際も、その前段にはホーキンソンの巧みなスクリーンがあった。

 試合後の会見で「中国と韓国はスタイルが全く違うので、短い時間の中で意識を変え、しっかりこの試合に集中することができました。中国戦の敗戦は本当に痛かったので、絶対に勝つ必要がありました。最後まで諦めない闘志を持った選手がたくさんいたチームを誇りに思います」と喜びを語ったホーキンソン。スタッツは、いずれもチームハイの24得点8リバウンドに加え、2アシスト1スティール1ブロックと大車輪の活躍を見せた。

 出場時間は渡邊雄太に次いで多い35分7秒に上ったが、最後まで動きのキレや集中力は落ちなかった。結果的に、中2日で心身をすり減らす重要な試合を立て続けに戦った日本代表にとって、ホーキンソンがフレッシュな状態で韓国戦に臨めたことは、白星を手繰り寄せる要因のひとつになったはずだ。

■新戦力との融合、そして新体制でより“強み”を発揮できるか

[写真]=fiba.basketball


 共に試合を決める活躍を見せた齋藤については、「彼は自分でアタックできて、ピックアンドロールからいろんなバリエーションを持った選手です。相手のハードショーに対して僕のショートロールからコーナーにキックアウトしたり、ハイローのアクションをしたりできました。彼のパスがあったからこそ、いろんなプレーにつなげることができました」と好感触を語る。

 共にJAPANのユニフォームを着てプレーし始めたのは、昨年11〜12月にあったWindow1から。互いへの理解が深まってきた影響だろう。3試合目にしてコンビネーションが徐々に深化してきていることが見て取れる。日本代表にとって新たな武器と言えるだろう。

 今回のWindow2では、ホーバス体制の頃に比べてペイントタッチへの意識がより高まった日本代表。それに伴い、人とボールが活発に動き、得点を決める場面が増えた。良好なスペーシングを保ちながら内外でスコアするこのスタイルは、ピックからのロールとポップのいずれでも高いフィニッシュ力を持つホーキンソンの強みをより引き出せる可能性があるようにも思える。広い視野を生かしたアシスト力もオフェンスの流動性を高める上で欠かせない能力だろう。

 もちろん、まだ新体制下で1試合しかプレーしておらず、本人は明確な変化の実感は薄いかもしれない。それでも、「ピックアンドロールからのダイブでは、ペイントエリア内でしっかり両足で止まることを意識しています。そうすることでシュートや味方のカッティングへのパスも狙える。ポップした時は空いていたらシュートを狙いますし、他の選手のスペースを空けることもできます」と語り、動きの中でまわりの選手も生かしながらプレーできる部分は自身の大きな強みであると自覚している。

 桶谷ジャパンにおいても変わらぬ存在感を発揮したホーキンソン。大黒柱として、新たなスタイルを追究していくチームを力強くけん引していくに違いない。

文=長嶺真輝

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