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ワールドカップ出場権獲得とプレミア残留…アイシン渡嘉敷来夢が“2つのミッション”を完遂

運命の第3戦、渡嘉敷は自身を、そしてチームメートを鼓舞した [写真]=W LEAGUE
フリーライター

 3月18日から20日の3日間、国立代々木競技場第二体育館にて「Wリーグディビジョン入替戦2025-26」が行われ、アイシンウィングス(プレミア7位)が山梨クィーンビーズ(フューチャー2位)に2勝1敗とし、プレミア残留を決めた。

「だから大丈夫って言ったじゃないですか!」

 残留を決めた後、笑顔を見せながら”らしい”一言をさらっと言い切ったアイシンの渡嘉敷来夢

「やっぱり最後は自分が決めるという気持ちで戦っていましたし、なかなかシュートが入らない、うまくいかない時間帯もありましたけど、その中でもずっと(周りの)選手たちには『大丈夫』と伝え続けていました。案の定、坂本雅が最後に来ましたね(4クォーターだけで8得点)。そうなると信じていました。それに長年一緒にやっている岡本(彩也花)がいると、このタイミングでは何をしたらいいかがお互いに分かるし、ENEOS(サンフラワーズ)時代からの勝つメンタリティはまだ宿っているので、そこがうまく出せた4クォーターだったかなと思います」

 こう声を弾ませた渡嘉敷だが、入替戦前には女子日本代表として「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2026予選トーナメント」(トルコ・イスタンブール)に出場。事前合宿を含めた代表活動で約1カ月チームを不在にしただけでなく、トルコからの帰国が入替戦前日と、ハードスケジュールの中での戦いを強いられていた。

 その入替戦では初戦を50-76と黒星スタート。「受けてしまったのが敗因。私自身も様子を見てしまったというか、仲間を生かそうと思ったことが裏目に出たと思います。チームもこの1カ月、私がいなかったので、インサイドにパスが入ったときの合わせをそこまで練習していなかったと思うんですね。それなのに(インサイドでボールを保持した)私がパスを探してしまっていたので、そこは反省点です」と渡嘉敷は、13得点12リバウンドをマークしたものの、潔く敗戦の責任を負った。

 後のない第2戦はアイシンが出だしから山梨QBを圧倒。後半は追い上げられながらも最後は65-55で振り切った。この試合でも渡嘉敷は約30分の出場で23得点10リバウンドという数字。そして「あとは気持ち」と臨んだ最終戦では31得点11リバウンド5アシスト3ブロックショットと、最後まで集中力を切らすことなく役割を全うした。

「若い選手たちに成功体験をしてもらいたいという思いで昨シーズンからやってきているので、自分が引っ張ることによって、付いてきてくれる若い選手たちが絶対にいると思っていました。あとは自分がいて降格したら、渡嘉敷がいるのにって自分の名前使われるじゃないですか(笑)。プライドと意地ですね」

 アイシンは渡嘉敷だけでなく、カナダ代表としてワールドカップ予選を戦ったナヤ・ベッカーが同じく前日にトルコからチームに合流。3月上旬には野口さくら、高橋未来、近藤京と3名が3×3女子日本代表の合宿での不在期間があり、ほかにもケガ人など、全員そろっての練習ができずに「ぶっつけ本番」(渡嘉敷)の状態だった。相手の山梨QBは、混戦のフューチャーにおいて入替戦出場の切符をつかんだ実力派。入替戦に向けて仕上げてきた精度の高いチームプレーに翻弄されたシーンは幾度となくあった。

試合後のオンコートインタビューでは激戦を繰り広げた山梨を称える言葉を忘れなかった [写真]=W LEAGUE

 それでも終わってみれば、「2つ取ります」という公言のとおり、渡嘉敷はワールドカップの切符獲得とプレミア残留を決めた。

「かっこいいですよね(笑)。本当にホッとしています」と、屈託なく笑った渡嘉敷は、「正直、ワールドカップの出場権を取ったことはとてもうれしかったんですけど、そこからプレッシャーが。これは今までにないプレッシャーで不安のほうが大きかったですね」と、本音も吐露した。

 実は渡嘉敷、第2戦後には「これは絶対に書かないでほしいんですけど」と前置きをしたうえで、「全然寝られていないんです」と打ち明けていた。ヨーロッパからの帰国による時差ボケに加え、「たぶん、追い込まれていたんですね」という精神的な重圧もあったという。そうしたこともすべて、「言い訳はしたくない」と受け止めて戦った3日間。「今日解放されたので、たくさん寝られます」と、アイシンの大黒柱は、ほほを緩めた。

 なお、入替戦を勝ち抜いた後、睡眠の話についての記載は本人から許諾を得ている。

 試合後のコートインタビューでは3月28日から始まるプレーオフに触れた渡嘉敷は、記者たちの前でも「日本代表メンバーが『頑張って』と送り出してくれて力になりました。でも、プレーオフに出る選手たちのほうが、まだあと2、3週と試合があるので大変だと思います」と、仲間を思いやった。

 入替戦をもってアイシンとしてのシーズンは終了。束の間の休息となる今は、「1カ月家を空けたので、“会いたい”が強すぎる」という飼い犬たちとの再会を楽しんでいるに違いない。

文=田島早苗

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