2026.09.12
約6年前の2020年7月に立ち上げが発表され、同年10月に「長崎ジャブズ」、「長崎ハレット」、「長崎ヴェルカ」という最終候補のなかからクラブ名が決定。3部に該当するB3から参入したクラブがわずか5シーズンでBリーグの頂にたどり着いた。
長崎ヴェルカ(NAGASAKI VELCA)。Vには「勝ち(Victory)にこだわる。V・ファーレン長崎のように、長崎で親しまれるクラブになってほしい。長崎らしく良い文化を取り込みながら、それと同時に地域創生も目指して欲しい」(リリース原文)という想いが込められている。
2005年誕生のV・ファーレン長崎(Jリーグ)に続く形で長崎県に産声を上げたプロスポーツクラブは、創設1年目の2021-22シーズンから45勝3敗と圧倒的な成績でB3を制覇。翌シーズンは43勝17敗の成績を残し、プレーオフの末にB1昇格を決めた。最高峰の舞台では27勝33敗、26勝34敗と勝ち越せなかった。それでも、元NBA選手のスタンリー・ジョンソン、韓国代表のイヒョンジュンなどを加えた今シーズンは47勝13敗で西地区優勝。「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26」ではアルバルク東京、千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスと、優勝経験を持つ難敵を軒並み退け、節目の10シーズン目を迎えたBリーグの歴史に新たな名前を刻んだ。
クラブを知る創設メンバーの狩俣昌也は、この“夢物語”を次のように振り返る。
「(5年で優勝するとは)思っていなかったですね。本当に(優勝したいと)強く思っていましたけど、想像できなかったです。妻から『優勝して、コートに降りてきて家族で写真を撮りたい』と言ってもらった時もあって。正直、フィフティーフィフティーというか、厳しいだろうなと思いながら。でも、もちろん可能性があって、僕自身もそこを目指してきたので、それが本当に叶うというのは特別でしたね」
今シーズン限りでの現役引退を表明している狩俣にとってキャリア最後の舞台。横浜アリーナのコートに立つことはかなわなかったが、ベンチからチームメートを鼓舞し続けた。

ベンチからチームメートを鼓舞する [写真]=B.LEAGUE
旧リーグ時代から日本のバスケットボール界をけん引し、5年連続でBリーグファイナルに駒を進めた琉球との頂上決戦。初戦に敗れ、あとがない状況で迎えた24日の試合には、同じくシーズンを戦うV・ファーレン長崎の選手やスタッフが応援に駆けつけ、ゴール裏から「GO!GO!VELCA」と声援を送った。ファンも含め長崎が一つになり、強豪に立ち向かったのだ。
狩俣は「琉球さんが相手で、ファイナルはちょっとどうなるかなという不安もありましたけど」と明かしつつ、「もうそんなの関係なくて。特にゲーム2、ゲーム3はたぶん琉球さんよりも僕たちのところに声が届いていました。会場に来られないファンの皆さんもいろいろなところで応援してくれているのを知っていました。本当に僕たちに届いていたので、『一緒に戦っていただいてありがとうございます』と伝えたいです」と感謝の言葉を送った。
琉球をはじめ、千葉Jやシーホース三河などでプレー経験を持つ狩俣は「次のチームがラストという気持ち」で33歳の時、長崎への移籍を決断。「バスケットボールをとおして、長崎という場所に文化(を根づかせ)、街を変える。そういう思い。アリーナの工事も始まっていましたから。どういうプランでいくのかを丁寧に話してもらいました。本気度を見られた部分(が加入の決め手)でした」。今では、ハピネスアリーナはチケット完売が相次ぐほどの人気ぶりで、V・ファーレン長崎も含めスポーツで街が賑わう。
B1王者への仲間入りを果たした長崎は新シーズン「B.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)」への移行とともに、次のステップへ進むことになる。38歳でコートを去る司令塔はクラブへの期待を口にした。
「チームの色として、目の前のことというか、自分たちにできる正しいことを正しくやり続けるカルチャーがあるので。その積み重ねが今日のような優勝。僕が抜けたあともチームのカルチャーとして残っていくと思います。優勝できたことでまたそれが強くなると思っていて、そのためにもこの優勝がチームに必要だとも思っていたので。もっと、もっとヴェルカらしくなっていくと思いますし、より勢いが加速していく。日本を代表するようなチームになっていけると思うので、成長していくチームを本当に楽しみにしています」

ネットカットで笑顔を見せる [写真]=B.LEAGUE
文=酒井伸
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