2021.05.22
昨季のファイナルの顔合わせでもあるアルバルク東京と千葉ジェッツの対戦は、天皇杯を含めて3勝1敗と千葉が優位に立っているものの、すべて5点差以内という激戦。しかし、好勝負が期待された3月13日の第27節、アリーナ立川立飛での激突は思わぬ展開となった。
試合はアレックス・カークの豪快なプットバックダンクで幕を開けたが、その後は石井講祐の3ポイントを皮切りに千葉がたたみかける。アキ・チェンバースのバスケットカウントが決まった残り7分37秒でA東京は早くもタイムアウトを取るが、千葉に傾いた流れを変えることはできず、最初の10分間で27-12と思わぬ大差がつく。

この試合ではコントロール役も担った馬場 [写真]=B.LEAGUE
出だしから強度の高いディフェンスでA東京を抑えこんだ千葉は、続く第2クォーターも相手のターンオーバーを誘い、タフショットを打たせてA東京に巻き返しのきっかけを与えない。A東京は田中大貴に加えて馬場雄大にもゲームコントロールを任せるなど手は打つものの大きな効果は得られず、43-28と15点差は変わらないまま前半が終了。
第3クォーターも序盤のカークの連続得点でアリーナ全体に反撃ムードが漂いかけたが、千葉は「アウェーなので、相手のリズムになる前に止めたかった」(大野篤史ヘッドコーチ)とすかさずタイムアウトで流れを断ちきり、点差が縮まるどころかクォーターが終わる時には59-39と逆に開いてしまった。そして第4クォーターもA東京が続けて得点したところで千葉は早々にタイムアウト。先手を打ったことでわずかな傷口を広げることなく、76-62とセーフティーリードを保ったまま千葉が白星を勝ち取った。

この試合でチーム最多の20得点でチームに貢献したダンカン [写真]=B.LEAGUE
連勝したとはいえ失点がかさんで苦戦した前節を踏まえ、大野篤史HCは「ここ数試合ないくらい、選手たちが集中して自分たちのバスケットをしてくれた」とこの日の出来には満足している様子だった。興味深いのは、勝因となったディフェンスについて「強いチームと対戦する時はいつもサプライズを用意しようと思っているが、この試合では使わなかった」と言及した点だ。「選手たちが僕以上に『勝ちたい』という気持ちを持ってくれていた結果だと思います」と続けたように、この試合は従来の戦術でA東京を圧倒し得るほどパフォーマンスレベルが高かったということに他ならない。
手の内を見せずに勝ちきった千葉がここからどのような戦いぶりを披露するか、ますます目が離せなくなりそうだ。
文=吉川哲彦
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