2022.11.07
昨季ほどのビッグネームの移籍は多くなかったものの、新天地での活躍を目指す選手は多く、戦力のシャッフルが一層進んでいるBリーグ。これまで成績が振るわなかったチームも補強で虎視眈々と上位進出を狙っており、チャンピオンシップ常連チームも安閑としてはいられない状況だ。
その中で重要となるのはやはり新たに加わる選手であり、特に移籍した選手に関して、それまでにどのような活躍をしてきたかという点は、ファンにとってもシーズンの行方を見極める上で見落としてはならない要素となる。
その見極めにおいて必ず必要なのがスタッツ。スタッツをより理解することで、プレーの裏に隠された戦術や戦略が見えてくるだけでなく、選手価値を測るバロメーターにもなる。スタッツをどう扱うか、どう楽しむかという点もバスケットボールの醍醐味の一つと言えるだろう。
そこで、今回はB1の各クラブから1名ずつ、今季大きく飛躍する可能性を持つ選手をピックアップ。活躍を期待されるルーキーから昨季伸び悩んだ選手、移籍で成長を期する選手まで、その特徴はさまざま。どのような選手がブレイクするのか、各選手の過去のスタッツやそれぞれのチーム事情などもふまえた上で選んでみた。Bリーグをより一層楽しむために、少しでも参考になれば幸いである。
吉井裕鷹(アルバルク東京)と同様、この夏に日本代表戦初出場を果たした期待のホープ。高校3年時にB2ライジングゼファー福岡の特別指定選手としてBリーグを経験し、一昨季も三遠ネオフェニックスでプレー。SR渋谷の一員となった昨季は18試合出場で1試合平均4.8分、同1.2得点にとどまったものの、評価がうなぎ上りの今季は確実に出場時間が増えるだろう。201センチの長身ながら3ポイントシュートを得意とし、昨季のフィールドゴール試投数のうち3分の2以上が3ポイントだった。将来性豊かな逸材が、今季本格的にそのベールを脱ぐ。
富山グラウジーズ時代の2019-20シーズンに1試合平均11.5得点、3ポイントシュート成功率39.9パーセントを記録して新人王に輝いた実績の持ち主だが、選手層の厚い川崎に移籍した昨季は1試合平均出場時間を一昨季から約10分減らし、同得点も5.8点と半減した。ただ、3ポイントシュートは試投数を減らしながらも成功率は37.2パーセントと未だ高確率を維持し、その持ち味は消えていない。実績のある熊谷尚也や天皇杯ベスト5の経験を持つ増田啓介など、同じフォワードポジションにはライバルが多いが、チームトップクラスのシュート力で出場時間を伸ばしたい。
196センチにしてプロ入り前にはポイントガードの経験があり、2シーズンプレーした千葉ジェッツではチーム事情で外国籍選手のバックアップ役を務めた時期もあるオールラウンダー。選手層の厚い千葉では役割を限定され、出場時間は必ずしも多くなかったが、横浜では主軸の1人としての期待が高く、昨季の1試合平均11.7分出場、2.9得点、1.0リバウンドなど各スタッツは大幅に更新することになるだろう。Bリーグに特別指定選手でデビューした2019-20シーズン以来となる横浜でのプレーは、持てるスキルを全て解放するチャンスだ。
抜群の得点感覚を備え、アンダーカテゴリーでその名を馳せたスコアラー。大卒1シーズン目の昨季はわずか18試合の出場で1試合平均3.3分と満足な出場機会を与えられなかったが、特別指定選手だった一昨季は大ケガにより7試合のみの出場ながら3ポイントシュート成功率は50パーセントと素質の片鱗を披露した。その時に目をかけられた平岡富士貴ヘッドコーチの下で再びプレーすることになり、出場時間大幅増は必至。2ケタ得点試合を連発する可能性も高く、改めてその才能を余すところなく発揮することになる。
現在のBリーグのレギュレーションでは非常に価値の高い帰化選手で、Bリーグ以降では富山が4チーム目。昨季プレーした熊本ヴォルターズでは54試合全てに出場し、主に外国籍選手のバックアップとして1試合平均13.1分コートに立ち、5.1得点3.0リバウンドを記録した。富山では、ジョシュア・スミスとブライス・ジョンソンのいずれかをベンチに下げる際に、ガードのコーディ・デンプスとともにコートに立つことが多くなるだろう。昨季38.5パーセントの成功率を残した3ポイントシュートとリバウンドで、貴重な働きを見せるはずだ。
3シーズンを過ごした横浜では主戦ガードとして活躍し、一昨季には故障に苦しみながらも出場した30試合のうち28試合でスターターを務めたが、昨季は1試合平均出場時間が一昨季の22.1分から15.9分に減少、同様にアシストも3.2から2.0に減らした。今季の信州はガードの層がやや薄く、出場機会は確実に増えると予想される。チーム全体のアシスト数がリーグの平均を下回っていることもあり、コントローラーとしての生原の存在は貴重。バスケIQも高く、システムにいち早くフィットして良いパスを供給するだろう。
ルーキーだった一昨季にフィールドゴール成功率50パーセント、3ポイントシュート成功率40パーセント、フリースロー成功率90パーセントを全てクリアするBリーグ初の大記録を達成。昨季はそのシュートがやや不調だったものの、代わって1試合平均アシストは一昨季の2.2から3.9まで増やし、シーズン終盤にはシュート力を取り戻して2ケタ得点を連発した。B1でのプレーは今季が初めてとなるが、180センチの身長でダンクもできる身体能力はB1でも日本人トップクラス。スティールも得意とあって、B1でも良いスタッツを残すことを大いに期待して良いだろう。
大学時代の4シーズンは全て異なるチームに在籍し、昨季までの2シーズンは韓国KBLでプレー。京都ハンナリーズでプレーした2019―20シーズンは全41試合に出場し、ベンチスタートも1試合のみ。23.5分という1試合平均出場時間で、190センチの大型ポイントガードとして同6.3得点2.7アシストも記録し、Bリーグデビューを果たした三河に凱旋する今季も、司令塔としてチームの中軸の一角を担うことになるだろう。プロの舞台で既に6シーズンプレーし、経験値は十分にあるが、まだ25歳。伸びしろはまだ多い。
Bリーグ7シーズン目となる2022-23シーズンの開幕を目前に控え、ファンタジースポーツゲーム「B.LEAGUE #LIVE2022」も幕を開ける。これは、オンライン上で実在のBリーグ選手をゲームユーザーがドラフトで獲得し、オリジナルチームを編成して他のユーザーと対戦するシミュレーションゲームだ。ゲームには実際の選手の活躍が反映され、ドラフトした選手の活躍度をポイント化し、その合計で勝敗が決まる。
ただし、チーム編成時には予算の制限があり、既に実績があって有名な選手は当然ながらその価値が高く、1つのチームにスター選手を多数抱えることができないシステムになっている。したがって、チームには過去の実績がまだない選手を上手く組み込むことが必要であり、各選手が持つポテンシャルを見極める目が何よりも重要となってくる。実際にドラフト制度を導入しているプロ野球において、ドラフト下位指名で年俸の安い選手が急成長して個人タイトルを獲得するようなケースを想像するとわかりやすいだろう。
今回紹介した各クラブの注目選手は、今季の飛躍が期待される有望株ばかり。彼らを獲得することで、コストパフォーマンスの面で有利にゲームを進めることができるだろう。
上手くチームに組み込んで、ぜひ「B.LEAGUE #LIVE2022」でのBリーグ制覇を目指してほしい。
文=吉川哲彦
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