2023.03.05

沖縄行きは叶わなかったが、後半戦に向けて浮上のきっかけをつかんだ宇都宮

宇都宮の高島がベンチスタートながら13得点をマーク [写真]=EASL
スポーツジャーナリスト

 3月3日に行われたEASL Champions Week(東アジアスーパーリーグ チャンピオンウィーク)のグループリーグ第2戦に臨んだ、宇都宮ブレックス。この日まではホームの日環アリーナ栃木で大会は行われていたが、翌日から会場が沖縄アリーナに移動。宇都宮は最終日に行われる決勝戦、3位決定戦に進出するには勝利が絶対条件というスリリングな状況の中、中華圏代表のベイエリアドラゴンズと対戦した。ベイエリアはグループリーグ初戦、ソウルSKナイツに最終盤で逆転負けを喫しただけに、宇都宮同様、沖縄に行くためには勝利が絶対条件。まさしくグループリーグ突破のための大一番のゲームとなった。

 ゲーム序盤はベイエリアがペースを握ってゲームを有利に進めていった。元NBAプレーヤーで、カナダ代表でのプレーも経験豊富なエースのアンドリュー・ニコルソンが第1戦と同様に3ポイントシュートやゴール下での得点でチームをけん引。第1クォーターだけで12得点を挙げて、23−17とリードを奪った。

 第2クォーターに入ると宇都宮がオフェンスからリズムを取り戻し、徐々に点差を縮めていく。こちらも日本代表でもある比江島慎が獅子奮迅の働きを見せて3ポイントシュート3本を含む12得点とけん引。それに呼応するように遠藤祐亮の3ポイントシュートやジョシュ・スコットのペイントエリア内での得点などで、49−47と逆転に成功。前半を折り返した。

 後半に入ると、流れは再びベイエリアに傾く。第3クォーターの序盤、7−0のランで一気に逆転すると、そこからは宇都宮に一度もリードを奪わせることなく、ゲームの主導権を渡さなかった。ここでもニコルソンがこのクォーターでも躍動、さらにはこの日20得点の大活躍を見せたセドリック・ベアフィールドが要所でシュートを決めて、リードを広げていく。

ベイエリアのニコルソンはゲームハイの26点の活躍 [写真]=EASL


 ベイエリアの8点リードで勝負の第4クォーターに突入するが、今度は宇都宮が再度ギアを上げて猛追。その立役者となったのが、特別指定の高島紳司だ。高島はボールを持つと躊躇なく放つのが持ち味の3ポイントシュートなどで次々と得点を挙げていく。しかし、ここでも立ちはだかったのがベアフィールドだった。点差を2点まで縮められると終盤にアウトサイドシュートを2連続で決め、逆転を許さない。あとのない宇都宮はオールコートプレスで逆転を狙い、スティールから高島が果敢に3ポイントシュートを放つもリングに嫌われて万事休す。ベイエリアが96−90と勝利し、沖縄アリーナでの3位決定戦新出を決めた。

 ベイエリアを率いるのは、東京オリンピックでオーストラリアに初のメダルをもたらしたブライアン・ゴージャン。南半球の名将は「チーム創設から7カ月、今日のゲームが今までで最高のゲームでした。選手たちを褒めたいです」とコメント。

「日本には素晴らしい若い才能あふれる選手も多く、リスペクトしている中で宇都宮も素晴らしいチームでした。彼らの3ポイントシュートを警戒して対策を練りました。それでも12番の高島が素晴らしいパフォーマンスで僕らを脅かされましたが、それでも勝ち切ることができました。沖縄で試合ができることにも興奮しています」と試合を振り返る。

 ゴージャンHCからも評価を受けた高島は、「Bリーグでは同じディフェンスでも止めることができても、その上をいく形でアタックされました。海外チームと対戦できる数少ないチャンスの中で試合に出させてもらい、元NBA選手など素晴らしい選手とマッチアップできたのはいい経験になったと言えます。これを残りのリーグ戦に活かしていきたいです」と率直な感想を述べる。

 宇都宮の佐々宣夫HCは選手たちのオフェンシブな姿勢を含め、試合としての評価をしながらも勝敗を分けた部分に言及して、試合を振り返った。

「オフェンスでスペースを取りながらアウトサイドシュートをしっかり打って確率も悪くなく、今後に向けていいきっかけとなると思います。反省点とすれば、ディフェンスでプレス時に簡単に相手に破られて6点、そしてボール運びのターンオーバーから6点と合計12点も相手にスコアさせてしまったところです。安易なミスやディフェンスでの徹底する部分が少しできなかったのは我々らしくなかったのかなと思っています。

 こういう経験を持って、これから始まる後半戦は強いチームと対戦も多いので、彼らに勝つためにそういうスキを見せないようにしていきたい。シーズン当初よりは選手もチームも成長しているので、ここから諦めずに最後まで戦っていきます」

宇都宮の佐々HCは終盤戦に向けて手応えを得たようだ [写真]=EASL


 シーズン前半はなかなか流れに乗れなかったが、3週間のバイウィークを経て臨んだ国際大会で、攻防両面において浮上のきっかけをつかんだと思われる宇都宮。沖縄行きは叶わずに悔しい結果となったが、いよいよ始まる終盤戦で昨シーズン王者が反撃を開始。チャンピオンシップ進出争いにも大きな影響を与えることになるだろう。

取材・文=鳴神富一

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