2024.02.08

約6カ月の練習参加も「心が折れることはなかった」…益子拓己がインパクトある本拠地デビュー

本拠地デビュー戦で4本の3ポイントを沈めた川崎ブレイブサンダースの益子拓己 [写真]=B.LEAGUE
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 2024年初陣となったアルバルク東京戦で負傷したニック・ファジーカスが離脱してから5連敗。第19節で秋田ノーザンハピネッツを相手に連勝したものの、その後はファイティングイーグルス名古屋京都ハンナリーズから白星を逃すなど、川崎ブレイブサンダースは中地区首位争いから後退した。

 2月7日にホームの川崎市とどろきアリーナで行われた琉球ゴールデンキングスとの第22節は、ファジーカスに加えて、試合当日に全治1カ月程度の負傷と発表されたジョーダン・ヒースも欠場。ビッグラインナップを形成する琉球に対し、結果的に75-87で敗れたが、チームを盛り立てた“新顔”がいた。ホームデビューを飾った益子拓己だ。

 益子は2022-23シーズンに京都ハンナリーズで特別指定選手としてBリーグデビューを果たしたが、わずか11試合の出場でシーズン終了後に契約満了で退団。所属先が決まらず、2023年8月から川崎の練習に参加していた。「第70回関東大学バスケットボール選手権大会」で3ポイント王に輝くなど、拓殖大学で主力として活躍した23歳は「いろいろな選択肢があった」とした上で、練習参加の経緯を明かした。

「自分がプロバスケットボール選手としてプレーしていくなか、成長できるチームに行きたいという意思がありました。(エージェントには)『練習に参加する期間で頑張ったから、来シーズンはどこかのチームに行けるわけではない。プレータイムを求めるのも大事なこと』と言われました。ただ、自分にはすごくいい縁があって、人との縁を大事にしたいと思っていました。環境も含めて、川崎でチャレンジしたいという気持ちでした」

 簡単には契約を勝ち取れず、開幕してからもコートの外から試合を見守る日々。選手としてプレーできない約6カ月の期間だったが、益子は「僕1人に対して、コーチ陣5、6人が一緒にワークアウトしてくれました。大学のバスケットとは違った新しいものをいろいろと教えてもらって、毎日発見がありました。キツい期間ではありましたが、毎日が楽しくて、心が折れることはなかったと思います」と前向きに日々を過ごした。

ハッスルプレーでチームを盛り立てた [写真]=B.LEAGUE

 指揮を執る佐藤賢次ヘッドコーチは、「難しい立場」にいた益子の姿勢を高く評価した。

「試合に出られるチャンスがないなかでも自分を高めなければいけない。加えて、チームを助けるために、チームの成長のために、100パーセントコミットして練習に取り組んでくれました。その積み重ねが契約につながったと思うし、積み重ねがあるからこそあのようなパフォーマンスを発揮してくれたのかなと。彼の人間性と努力と積み重ね。あとは周りのサポート。アシスタントコーチが根気よく付き合ってくれていました。みんなの力で益子の今のいい状態を作れていると思います」

 選手契約締結発表翌日の3日にデビューし、4日の試合で11得点をマーク。琉球戦では第4クォーターの3本を含む計4本の3ポイントシュートを射抜き、沈みかけていた川崎市とどろきアリーナを沸かせた。積極的にゴール下へ飛び込めば、声を張り上げてチームメートへ指示。指揮官はそんな益子に大きな期待を寄せた。

「一番の強みはハッスルプレー。常に先頭を走っていますし、常にオフェンスリバウンドに絡んでいます。ディフェンスでもプレッシャーを掛けています。あとは手がすごくいい。パスコースに手が出たり、相手の嫌なところに手を出していたり。細かなところで相手のリズムを狂わしてくれます。中心選手になってほしいです」

 川崎は第22節を終えて20勝17敗で中地区4位。まずはチャンピオンシップ進出に向けて、練習参加から這い上がった男がチームの救世主になれるか。

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